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35.撮られてましたけど何か?

どうにか味方のところにまで戻ってこれた。

俺たちは残りの追ってきた敵を味方に丸投げして、本隊と合流しいったん基地で休憩することに。


「終わった終わった~」

「お疲れぇ~今日は長かったねぇ」

「いやぁ~長かったねぇ~疲れたよぉ」


部下たちもかなり疲れたようで、全員背もたれにもたれかかったりしていて魂が抜けているような様子だ。

俺も動いたから少し疲れたが、後処理とかいろいろあるから休んでいるわけにもいかない。

俺の乗ってる船の方に隊長であるセシルも帰ってきて、


「ゴトー、また単独で行動したんですの?」


「ええ。まあそこが小官の得意分野ですので、必要なのであれば迷わず行ないます」


「もぅ。あまり危ないことをしないでくださいまし。せっかく婚約したんですのに」


セシルがぷくっとほほを膨らませる。

ここで婚約者が危ないことをしているのが心配であるということを普通なら受け取って可愛く見えるものなのかもしれないが、


「隊長もほぼ単独行動では?あまり小官に言えるものではないと思うのですが」


「むっ。それはそうですけど、私にはダリヤの支援がありますし」


「支援がある割には独走していたという風に聞いておりますが」


「………………………………気のせいですわ」


セシルが全力で顔をそらす。自分のことは棚上げにするつもりのようだ。

基本的にセシルは他者が追いつけないほどの圧倒的な運転技術があるから、1人で突っ走りやすいんだよな。そしてそのおかげで戦闘機体運転時には連携というものをほとんど考えないような状況になってしまっている。

またその状況はダリヤも似ていて、たいてい2人は一緒に動いてもあまり協力して動くということはしない。


たまにダリヤが気を配って、危なそうな場面で敵の気を引いたりするくらいだ。

シミュレーションを使って俺やフィネークと訓練をするときは協力することもあるのだが、あれは少数の敵である俺たちだけに対してだからな。単体での高火力を持ち狙われにくいから、連携するよりもそれぞれバラバラに動いた方が結果も出るんだよな。

今後の考えておくべき課題かもしれないな。


と、まあ考えることはいろいろとありつつも話を進めていって。重要なことはあらかた話し終わる。

そうして少しまったりしながらあまり重要でないことを話している時だった、


「セシル様!」


「ん?フィネーク。どうしましたの?」


部屋にフィネークがやってくる。今は会議というような雰囲気でもないので入ってくることに問題はないのだが、なかなか珍しい行動ではあるな。

平民としての意識が強いから、俺たちみたいな上の存在がはっきりとその存在を示して会話をしていると萎縮したり関わらないようにしたりすることが多いし。

で、そんな彼女の珍しい行動の理由は、


「見てください!もうさっきの戦いの動画が上がってますよ!」


「………………動画、ですの?」


セシルは首をかしげる。そんなものを撮ったつもりはないとでも言いたげな顔だな。実際本人が何かをしていたわけではないから気持ちは分かる。

ただ、あそこまで大規模な戦いの際には誰かしら記録を残していたりするものだ。そして、その記録が何かしらの()()で、外へと漏れてしまうこともある。


「ほら。セシル様が敵艦を倒しまわっているところもしっかり映ってますよ!!」


「あら。本当ですわ。でも、戦闘中に動画撮影なんて随分と緊張感がない者もいるものですわね」


セシルは少し棘がある様子で言葉をこぼす。

自分がかなり集中して命を懸けている時に、他人が動画を取ってましたなんて言われたらそれは少しむかつきもするだろう。

だが、その表情はまたすぐに変わることになり、


「しかも見てください!この動画を投稿したの、『宇宙の奥地に行ってみた』ですよ!」


「………………え?あの、『宇宙の奥地に行ってみた』ですの!?」


「そうです!あの『宇宙の奥地に行ってみた』です!!」


何度も連呼される『宇宙の奥地に行ってみた』。

この名前、聞き覚えはないだろうか?


……………え?ない?そういう呼びかけとかいらんからさっさと説明しろ?

まあ、気持ちは分からんでもないから説明してやろう。この『宇宙の奥地に行ってみた』は、逸脱者の1人であり動画投稿者であるフィニアの持つチャンネルの名前だ。

フィニアのチャンネルで、セシルたちの戦いの様子が撮影されていたわけだな。


「一応目的は、英雄的な扱いを受けているダリヤ様のお兄様の後継者たちの様子を映すってことと、ドワーフの専用機の様子を映すってこと見たいですけど」


「それだけではないと思ってしまいますわね。どういう目的なのかよく分かりませんわ」


セシルやダリヤは警戒した様子を見せている。どういう目的で動画が投稿されたのか、とな。

だが、その投稿の目的は単純に2人の支持強化だ。影響力の強いフィニアのチャンネルで2人の強さを見せることで、より国民から2人の支持を獲得していこうと考えたのだ。

もちろんフィニアの投稿した動画を撮影したのは俺だ。

まあ、バレないように少し特殊なカメラを使ってはいるが。


「不気味ですね」

「ですわね…………」

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