表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/244

32.侵入ループですけど何か?

ピィピィと警告音がけたたましく響く、

近くの無人の戦闘機体が破壊された音だ。俺の乗る機体に直接的な影響はそこまでないが、


「次に攻撃が来れば、死ぬか」


俺の乗る機体の周りには、護衛のように無人の機体が囲んでいた。

しかし、すでにその周囲の機体はほとんど破壊され、俺の乗る機体以外五体満足な機体はない。破壊されているか、それとも一部に損傷があるかのどちらかだな。

守ってくれるような存在はもうほとんど残っておらず、次に敵の攻撃がこちらへ来れば俺は高確率で死ぬ。いや絶対死ぬ。


「新しい機体が来ているからこちらを狙う数は少ないと思われるが、絶対ではないか」


俺の乗る機体は、最初に出た戦闘機体の第1陣ではなく、それが半分くらい減らされた後に出た第2陣である。第1陣の方で狙っている1隻のシールドはほとんど削っているようで、あとは到着さえできればいいような状況だ。

一応さらに第3陣の方も出ているようだから敵の注意は全滅しかけの俺たちではなくそちらへ向かっている。だが、だからと言って俺の方を狙う敵がいないとは言えないのだ。


『ゴトー君。そろそろ到着します。備えてください』


色々と考えていると、ダリヤから通信が入ってくる。

どうやらもうそろそろ敵の船に着くらしい。俺の方のレーダーは非常に範囲が狭いから、言ってもらわないと分からないんだよな。

そうして身構えた直後、レーダに敵艦の反応が映る、


「こちらはいつでも行けます。殿下のタイミングでどうぞ」


『分かりました。では行きます」


俺の乗る機体は、弱っちい武装を使って敵の船のシールドに攻撃を加える。そして数秒後、そのシールドが砕け散った。

後は敵の船に乗り込むだけであり、


『では作戦通りに行きます!衝撃に備えてください!』


ダリヤの声と共に、第1陣として敵の近くを漂っていた戦闘機体の1機がそのまま体当たりを繰り出した。

武装は弱いが、さすがに体当たりをすればかなりの被害は出せる。敵の船の装甲は歪み、直後戦闘機体は爆散した。

そこへ続いて俺の乗る戦闘機体が、


「侵入成功しました。これより、制圧を行ないます」


『はい。お気をつけて。頑張ってきてください』


ここからは時間との勝負である。味方に大きな被害が出る前に、この船を制圧して周囲の船と戦わなければならないのだ。

このシールドのない船でまともに他の戦闘艦とやりあうなどできるわけがないのだが、それでもやらなければならない。


「まともにできないなら、まともでない手を使えばいいだけだ」


まず船を乗っ取る。ここでやることは最低限だ。

いつものように無理に敵の艦長を殺害しにはいかず、最低限の武装だけを奪う。

その武装が敵の方へ向かうように仕向けて適当な仕掛けをしたら、すぐに敵の戦闘機体を奪って逃走だ。

敵もかなり混乱しているようで、幸いなことにこちらへ攻撃してくるような船はいない。誰かが脱出した程度に考えているのかもしれないな。

味方だと考える存在を狙うことは当然なく、どちらかと言えば周辺への攻撃は避けてくれているくらいだ。


「いやぁ~。仲間思いの素晴らしいものたちなことだ」


心にもない事をつぶやく。直後、激しい衝撃が俺の機体を襲った。


「………………………………計画通り」


衝撃の緩和を試しつつ、俺は薄く笑う。

この衝撃は俺が攻撃を受けたことによるものではなく、機雷の爆発の影響によるものなのだ。

機雷が爆発したのは、先ほどの俺が侵入した船の中。仕掛けておいた魔法が発動して、機雷を起動させたのである。


周囲にいた船は当然この機雷の爆発により甚大な被害を受け、


「ん?あの船は小破したか。ならあれを狙うのが1番だな」


俺はその機雷の影響により損傷が出た敵の船を狙っていく。

戦闘機体で穴の開いた場所へ入り込み、そのまま空気が逃げないように閉まっていたシャッターのようなものをこじ開ける。

後は空気が張ってくるからまた先ほどと同じように侵入して制圧してということを行ない、


「また爆破、と」


船内にあった機雷を爆発させる。当然、事前に戦闘機体に乗って逃げてな。

其の後も同じようなことを何度も繰り返し、敵の内側に大きな穴を作っていく。

俺を見たためかはよく分からないが同じように戦闘機体に乗る連中も増えてきていて、俺が識別されるということはない。

お陰でかなり敵の内部を順調にかき乱せていた。


「だが、さすがに限界が近づいてきたか」


こんなことを繰り返したため戦闘機体が警戒され始め、途中からは容赦なく戦闘機体も破壊されるようになった。同じ味方同士でつぶしあっているのを見ると悲しくなるな(大嘘)

で、そんな状況では俺もなかなかに動きづらい。

これで俺に戦闘機体の運転技術があればよかったのだが、残念なことに大した腕はないし、しかも敵国の戦闘機体であるから運転方法にもなかなか慣れない。


「そろそろ戦い方を変える必要があるか」


仕方がないのでここまでで一連の作戦は諦め、次の段階へ移行することにする。

とはいっても今ほど危ないことをするつもりはないから、気楽にやっていくことにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ