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30.打合せ不足ですけど何か?

こちらへ向かってきていた敵が。それこそ最高速度でやってきていてかなり俺たちに危機感を感じさせた敵が。


「機雷の爆発に巻き込まれた、だと?」


機雷に接触して沈んだらしい。しかも、俺たちが仕掛けたわけではない機雷に、だ。

意味が分からない。

だが部下は真面目な顔で、


「反応を見た限りそうだと思われます。あれだけの威力が短時間で出るということは、それくらいしか考えられないかと」


「ステルス機能の起動で生じたものの可能性は?」


「非常に低いかと。信じられないのですが、敵軍が使用している機雷の爆発時の反応によく似ているのです」


「………………………………余計に意味が分からないな」


俺は頭をかかえる。

何で敵が機雷接触して次々に沈んでいくのか。いったい誰が機雷を仕掛けたのか。そして、どうして機雷の反応が敵軍のものに似ているのか。

そんなことを言われたらまるで、


「近づいてきた敵は味方が仕掛けた機雷の存在に気づかず自滅したということになるぞ?」


「そうなりますよね。ありえないとは思うんですけど、反応を確認する限りそうだとしか………」


部下が言いづらそうに。しかしそれ以外ありえないとばかりに俺に言ってくる。

何とも混乱させられる話だ。


「………………敵の動きはどうなっている?」


「今までこちらを追ってきていたと思われる敵はそのままですが、前線から撤退した敵はすべて一旦動きを止めました。機雷関係の確認を取っているのではないかと思われます」


「本当に連絡不足なのか……」


仕掛けた機雷の位置を共有していなかった。それにより多くの勇敢な兵士が犠牲となった。

何ともばかばかしい話である。

今までの敵の司令官の動きからは考えられないほどの大ポカなのだが、敵の動きを見る限りそうとしか思えない。


「これがこちらの味方が仕掛けた機雷だというのならまた話は変わってくるのだがな」


「敵が仕掛けたものっぽいですからねぇ。このミスはあまりにも大きすぎます」


今機雷の情報が共有されているのだろうが、この連絡不足は必ず仇となるだろう。

恐らく一部が独断で動き出してしまうだろう。連絡しなくても許されるのだなどと言い出して。


「しかし伝えなかったことを考えると、スパイでも警戒されたか?」


「あぁ。それはあり得ないわけではないですね。もっと深く考えれば、スパイだから行かせたとか」


「それもあり得るか」


もし意味があったならどんな意味があるだろうかと考えるが、まああまりそういったことを考えるのに意味はないだろう。

それよりも、だ。ここから俺たちに求められるのは、この状況をいかに利用していくかだ。


「目標とするのは、本隊との合流だな」


「はい。すでに敵が撤退したため隊長や殿下の戦闘機体は戦闘を辞めて船内に戻ったようです」


「そうか。本隊の方はこちらへ向かってきているのか?」


「はい。他にも一部の味方も動いてくれているようですが、さすがにこの機雷の数を考えると簡単には来れないとのことです」


「それはそうだろう。予想できたことだ」


予想はできたが、だからと言ってどうにかできることでもない。本当ならすぐにでも合流したいところだが、どうしたって簡単にはいかないな。

まず俺たちは、追ってきている敵と俺たちがすれ違って戻っていくか、本隊の方に敵を突破してもらって追いついてもらうかしかない。今の状況で追いついてもらうのはかなり難しい事であるため、やることとなると俺たちがUターンしていくしかない。


「ただ、ここでターンしても敵に先回りされて包囲されるだけだろう」


「そうですね。その可能性が高いと思います。しかしこれ以上離れると戻るのにもかなりの時間がかかることになりますよ?」


「それもそうなのだがな……」


まっすぐ逃げているが、このままでは駄目だというのはわかっている。そろそろ曲がるなりしなければならない。

となると、


「動くぞ。目標地点は30,80,20だ」


俺は船の進行方向を曲げさせる。戦場の中央部から離れるように。つまり外側へそれていくように。

当然敵の数が多いのは中央部だ。やってくる敵も中央部の方が圧倒的に多い。

俺が決めた方向へそれていくのは誰もが考えつくような当たり前のことだろう。


しかし、


「やはり読まれているな?」


「そうですね。近づいては来ていませんでしたが、かなりの数の戦闘艦が待機しています」


この動きは定石過ぎて簡単に対応されてしまう。

外側の方にもまだ敵がいなかったわけではなく。俺たちが向かう先には相当な数の敵が待ち構えていた。もちろん時間はあっただろうから、戦闘艦だけでなく仕掛けられているだろう機雷にも注意をしておかなければならない。


こんな状況であれば、通常ならあきらめるだろう。

だが、


「これさえうまくいけば、ある程度楽にもどれる。成功させるぞ」


「そうですねぇ。気合の入れ時ですか~」


俺たちは真正面からぶつかりに行く。俺たちが戻るためにはこの選択が1番楽なのだ。

苦しいのは一瞬だけで済むのだから、その苦しみをどう乗り越えるのかというのが問題だな。

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