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21.ちょっかいをかけるのは得意ですけど何か?

セシル達が奮闘し、敵の戦闘機体は9割以上が破壊されたようである。モニターには撤退していく敵の戦闘機体が映し出されていた。9割もやられたのにセシル達は2,3機程度しか墜とされてないから当然だよな。

しかもこちらの戦闘機体が落ちたのは攻撃を受けたからでは無く、単純に運転技術が無かったからだ。漂流物を避けきれずに自滅していた。


「隊長達は安全圏から小型艦を刺激するとのことです」


「分かった。ご武運を、と返しておけ」


セシルは敵艦隊の小型艦にちょっかいをかけるつもりのようだ。流石に戦闘機体で大型艦を狙うとなると時間が掛かりすぎるからな。それよりも貧弱な小型艦にちまちま攻撃してストレスを掛ける方が得策だと考えたんだろう。

攻撃された小型艦がセシル達を攻撃しに行ってくれるなら艦隊から小型艦を1隻切り離せて好都合。何もせずにストレスを溜めるだけなら何かしらのミスを誘発できる可能性があり好都合。どちらにしろ俺たちにはメリットになることだ。

油断してセシル達が攻撃を受けない限りは大丈夫だ。

……なんて言うとフラグみたいに聞こえるかもしれないが、


「っ!敵艦3隻が隊長達に向かって高速で移動を始めました!」


「よし!では作戦通りに動け!」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


敵としてはこちらの想定を超えたつもりなのだろう。だが、残念ながらこれも想定済みである。部下達が急いで動き、俺の乗る大型艦の主砲からレーザーが発射された。


何のためのレーザーかと言えば、勿論セシル達を狙う小型艦の足止めだ。

セシル達は今、安全圏という名の漂流物のたまり場にいる。本来であれば船がそこに行くとなると漂流物がぶつかりまくってシールドが激しく消耗してしまうのだが、それでも3隻が近寄った。つまりこの3隻はおそらく、シールドがかなり固い船だと思われる。

シールドが固いなら俺たちが主砲を打ったところでどうにもならないのでは無いかと思うかもしれないが、これが意外とそうでも無い。フィネークによって多少とは言え通常より強化されたレーザーは、かなり高い威力を誇る。それが直撃するとなると、


「敵艦反転!艦隊に戻っていくようです!」


戻らざるを得ない。

このまま漂流物のたまり場まで狙い撃ちされ続け、更にそこから漂流物の海に飛び込んでいくとなると、最悪1隻墜とされかねないのだ。それよりは艦隊に戻って隊列を組み、他の防御力の低い船の盾になった方が良い。


「これを受け、隊長達も反転。また細かい攻撃を続けて注意を引くとのことです」


「了解。B地点までは作戦通りにと伝えておけ」


「イェッ、サー!」


またちょっかいをかけるのを再開するらしい。狙われた小型艦は災難だな。……と思ったが、今頃隊列の組み方を変えて狙われていた小型艦にちょっかいをかけにくくしている可能性がある。小型艦がいた位置に大型艦が来ていたりする可能性もあるな。


「……B地点への到達は2分後と予想されます」


セシルの次の目標地点まで2分ほどで到着するらしい。部下達の顔にも緊張の色が浮かんでいた。恐らくここからがキーになるからな。

ただ、次の目標地点では俺たちにできることはほとんど無い。


「信じて待つのみ、だな」


「セシル様。大丈夫でしょうか……」



《sideセシル》

「そろそろB地点に入りますわ!用意を始めて下さいまし!」


『『『『了解!!』』』』


次のB地点は、この漂流物がある宙域を抜けた地点、つまり障害物がなくなる地点ですの。そこまでは漂流物という盾がありますが、抜けてしまえばもう身を守るものはありません。敵艦隊からの一斉攻撃が予想されますわ。


「……地点到達5秒前、3,2,1」


最初は少し前にやったことと同じ事をやりますわ。私たちがこのエリアを出るか出ないかギリギリのとこころで、


「全機体!止まりなさい!」


私たちはまた強引に機体を止めますわ。直後、本日二度目ではありますが目の前が真っ白に。最初に一斉射撃が来たときよりも使った武装の数が多いですわね。ミサイルらしきものも見えましたわ。

敵はまだまだ攻撃は続けるつもりのようですわね。

……でも、このタイミングで私は出ますわ!なぜなら、


カッ!と、先程とは違ったまばゆい光が。そんな光に包まれながら、私は戦闘機体を漂流物の海から脱出させ、敵艦隊と反対方向に飛ばしますの。周りの護衛達も同じように飛んでいますわ。光が強すぎて目視による位置の把握はできませんが、センサーの類いでどうにかぶつからないようにはしています。


「上手くいきましたわね。……5隻ほど落ちましたかしら?」


私のレーダーでは幾つかの敵の反応が消えましたわ。流石にどの船が落ちたかまではわかりませんが、仕掛けてあった機雷が効いたのは間違いないですわね。


「このまま計画通りに地点Cまで行きますわ!!」


『『『『了解!!』』』』


さて。ここまでは計画通りですわ。当初の計画以上に此方の損害は少ないですし、ここからの敵の行動が気になるところですわね。

機雷で沈んだ船の人員を回収するのか、それとも放置してそのまま基地へ向かうのか。

私個人としては回収してくれた方が時間稼ぎになって良いのですが……どうなりますかしらね。

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