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27.狙われますけど何か?

敵の数は少しずつ減っていく。

細長くなってゆっくり俺たちの味方に近づいて行くが、ただ先頭が狙われ続けて消し飛ばされていくだけである。このまま続けたとしても味方は数隻落ちる程度で終わるだろう、


ただその状況を打開しようにも、敵は恐怖を抱いていて士気はがた落ちしている。

時間稼ぎをしているようだし何か打開策を考えてはいるのかもしれないが、実現するかどうかというのがまず課題だな。部下に言うことを利かせられないままであればこのまますり減らされて終わるだけだ。


「何かをしてくるまでに、できるだけ鬱陶しい連中を片づけられていればいいのだが」


「このペースだと全滅させるのには相当時間がかかりますからね。簡単に計算して、敵があの陣形を組み出してから半分くらいに数が減るまでに、こちらは7割近くを削れるかと」


「敵が半分になるまでに鬱陶しい連中の7割を削れるか。3割にまで減るというのは悪くないな。とりあえず敵の数が半分となるまでは今の状態を継続することとする」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


鬱陶しいのをわざわざ全滅させるまでする必要はない。もしかするとその中に指揮官がいるのかもしれないが、そこから探していたら時間がかかりすぎる。こういう鬱陶しい連中はたいしてこちらにダメージを与えることはできないが、代わりに積極的につぶそうとするとすぐに逃げていくから厄介なのだ。

どうせ指揮官なんて言う役職についているやつが乗る船は、気づかれない程度に逃げに徹していることだろう。


そうだとしてもこちらにとっては非常に有利なので構わないがな。


「………ただ、少し厄介ではあるな」


「厄介、ですか?」


「うむ。予想より周辺に敵の機雷が多い」


「あぁ~。確かにそうですね。どのタイミングに仕掛けられたのか分からないものも多いですし、困りますよね」


俺は今回常に機雷を警戒させている。そんな俺の警戒は正しかったようで、かなりの頻度で警戒用に放ったレーザーが機雷を爆発させるのだ。

どのタイミングでどの敵が放出したものなのかもよく分からない物が多いし、常に警戒していなければならないのは非常に面倒だ。


「………しかしこの機雷の数を考えると、敵はやはりあそこから逃げるつもりなのかもしれんな」


「その心は?」


「機雷を仕掛けておくことで、追手の速度を落とさせることが狙いだろう。そして、追いつかれる前に新しい殲滅対象を仕留める」


「新しい殲滅対象?」


部下が首を傾げる。いったい誰のことなのか分からないといった表情だ。

だが、そんな中数人は頭を抑えたり首を振ったり。

つまりそう。


「小官たちだ。殿下がいると考えていた集団には近づけないとなると、あとはもうただできるだけ大きな成果を作るしかない。たとえそれがどれだけ収支を合わせればマイナスになったとしても、だ」


「それが私たちって、ことですか?」


「その通りだ。遠距離から艦隊を沈めてくる強力な兵器は、敵も潰したいと考えるだろう。しかもそれが専用機であればなおさら、な」


「………………うわぁ」


心底嫌そうな顔で部下が声をこぼす。

ここからもう1戦自分たちがかなり本気で動かなければならないと考えるとそんな顔をしたくもなるだろう。

気持ちは分かるが、


「この距離がある。追ってきてから逃げる判断をしても間に合わないことはないだろう」


「本当ですか~?」


俺の言葉に、部下は疑うような声をあげる。まさかこんなことで疑われることになるとは思っていなかったな。

もちろんそこまで不安なのであれば、俺としても配慮はする。


「良いだろう。そこまで言うのであれば、機雷を放出する」


「え?機雷って……」


そんなものあっても意味なくね?みたいな顔をされる。

まあ少し前までであればそうだったかもしれないが、今なら意味はしっかりとあるはずだ。


「敵の士気は低下したままだ、機雷があると分かれば、誰も好き好んで突撃してきたりはしないだろう」


「え?でもそれって結局向こうが警戒しながら進むだけだから意味がない………あっ。なるほど。私たちは逃げることが目的だから、敵の移動速度を低下させるだけで良いってことですか」


「その通りだ」


部下もそこまで言えば納得するようだ。

たった1つ機雷を放出するだけだが、もしこれに敵が引っ掛かるようであれば簡単に問題は解決する。

後はどれだけ俺たちが逃げ続けられ、どう敵を減らしていくのかということが問題になってくるのだが、


「二等兵に適当にいろいろな場所を狙撃させていれば、勝手に敵の数は減るか」


逃げながら狙撃。

変わらない作業だが、それで十分なのだ。何せこれまで敵はそれに全く対処できていないのだから。


「さて、では今のうちに戦況の報告を。戻ることもそろそろ考えていいだろう」


「ああ。そうですね。では報告します。現在色々なところで手が空き始めていて、劣勢な部分や敵が多いところを支援する動きが出てきているようです。全体で見ると圧倒的に優勢であり、こちら側の勝利も時間の問題ではないかと」


「そうか。では小官らが逃げ続ける時間はあまり長くせずに済むな」


俺たちが本隊に合流する時間ももうすぐと言ったところだと思う。

せいぜい敵の足止めと嫌がらせを頑張るとしよう。

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