表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/244

26.長細くしますけど何か?

どう考えて俺たちの本隊ではなく、やってくる味方に攻撃を仕掛けることにしたのかは分からない、

ただ俺としてはそうなること自体はかまわないのだが、何もしていないと味方があっけなく逃げるか負けるかしてしまうという事態になることが予想できた。

味方が逃げても負けても構わないのだが、


「あっけなく終わるというのが問題ではあるな」


「ですね。狙いを今度こそ本隊に変えられるだけですし、味方がやられ損でしょう」


少しは時間が稼げるので、多少被害を増やすことも可能だ。

味方も一方的に撃たれることはせず反撃をするだろうから、かなり敵の数が少なくなるのは間違いない。

ただそれでも、味方を犠牲にして得られる利益として正当かと言われるとそんなことはない。


「本隊にも動いてもらうか?」


「どうでしょう?逆にそうさせることが敵の狙いかもしれませんよ」


俺は本隊にも動いてもらって敵を挟み撃ちのようにすることも考えたのだが、部下からそれこそが敵の狙いなのではないかと言われてしまう。

疑わしい本隊と味方。その両方を破壊するのであれば、確かに今の状況は適していると言えるかもしれない。


「………………であれば、味方が対応しやすいように敵の陣形を崩しにかかるか」


「と言いますと?」


「敵の陣形の外側を積極的に削っていき、敵の並び方を直線状にさせる」


「なるほど。直線状となれば味方が対応しなければならない敵がその直線の先端部分だけに限られるため負担が軽減されるというわけですね」


「その通りだ。とはいえ、そううまくいくとも思えんがな」


上手くいくとは思えない。だがやらないよりはマシだと思えた。

継続して敵の中心部への攻撃は繰り返しつつ、近くはあまり密度が高いわけではない外側を狙わせる。

若干効率は落ちるが、目的は多くの敵を沈めることから変更されたので構わない。


「あの、包囲をするような動き方に見えますが」


「ふむ。それならそれでいい。できるだけ外側を狙わせろ」


「イェッ、サー」


俺たちが直線状にしようとしたことなど意味がないとばかりに、敵は横に広がっていく。味方を包囲しようとするような形だ。

しかしそれでも俺は外側の方へ攻撃を繰り返させ、


「あっ。動きが鈍化しました。様子を見る限り、もめていそうですね」


「まあだろうな。あそこまで士気が低下している状態で、狙われると分かり切った外側へ行きたがるものなどそうはいない」


俺たちが外側を積極的に狙っているというのは敵も気づいたようだ。だからこそ外側へ行って狙われたくないと、敵はもめ始めているようだった。

さすがに士気が低下し過ぎていて、敵の指揮官でもすんなりと言うことを聞かせることは難しいらしい。

であれば、


「継続だ。外側と、陣形の中央部の微妙に分厚くなっている場所を狙わせろ」


「「「イェッ、サー!」」」


外側を狙わせることで、、さらに敵の不安をあおる。誰もが外側に行きたくはないと思わせるわけだ。

それと共に、膨らんでいる内側にも攻撃を仕掛けさせる。

ここで艦隊が薄くなっていかずに分厚さを保っているということは、そこに守りたいものが何かあるか、そう思わせたいということのはずなのである。

なのであればこちらもその誘いに多少のってやり、内側を崩そうとするわけである。

さらにそれで攻撃されたところへ外側にいたくない船が入ってくるのだから、


「あっ。数か所で事故が起こりましたね。撤去作業もうまくできなかったところがあるみたいで、2か所で渋滞が起こっています」


「よし。であればそこは直接的に狙わず、その周辺と新しい敵中心部への穴をあけることにするぞ」


「「「「イェッ、サー!」」」」


その後は、本当に何も起こらずと言って良いほどに進んでいき、敵がひしめき合いながら味方へと近づいて行く。中央によって敵は密集し長細くなっているので、味方も狙う箇所が少なくてどうにかなるようで、


「おぉ~、すごいですね。もう20%近く削れたんじゃないですか?」

「早いねぇ。さすがに私たちがおぜん立てしてあげただけはあったかな」


味方は敵にかなりの被害を与えていた。

そうなると中央部にいると狙われないが、密集しているとすぐにやられてしまうというのは敵に広まる。

動揺したとみられる敵は、急激に移動速度を落とし始めた。


「少しでも戦いになるまでの時間を稼ごうとしているのか」


「ですね。あまり意味があるとも思えませんが」


少しでも時間を稼いで、何か打開策を考えようとしているのだろう。もしくは、指揮官に打開策を求めたりしているのかもしれない。

どちらにせよ敵の動きが鈍化して、さらに味方が処理を楽に行えることは間違いない。


「ここでこちらも手が空いてよかった」


「そうですねぇ。やられることはないでしょうけど、いい加減追ってくる連中もうっとうしかったですし」


俺たちは味方が善戦している間に、追ってきていた敵の細々といたやつらをフィネークに狙撃させていた。

もちろん、たまに敵の本命の方が広がろうとすればそっちに攻撃対象は移してもらっているがな。


「さて、あとは敵の指揮官がどうここから味方を倒しにかかるかが重要なのだが……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ