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20.半分以上悪役令嬢視点ですけど何か?

《sideセシル》

「タイミングを合わせて下さいまし」


『『『『了解!!』』』』


通信機から返ってくる、私の言葉への反応。

反応したのは私の護衛でちょっと小うるさいものたちですわ。でも、それが仕事なので私としても普段はあまり言い返したりはしませんが。

しかし、今回は私が隊長として軍事作戦を行なっている最中ですの。少しでも私に楯突くようなことをしたものは軍人として必要ないですし、船に残してきましたわ。大尉には良い迷惑でしょうけど、その分私が頑張るので許して欲しいところですわね。


「……3,2,1」


私はカウントダウンの言葉を。今隠れている星の残骸が漂う空間を抜けると、敵の艦隊と接触することになりますの。向こうのレーダーには捕らえられているでしょうが、私たちはかなりの速度で残骸の間を移動し、


「全機体!止まりなさい!」


私が指示を出し、戦闘機体が一斉に今までとは逆方向に加速を。戦闘機体の緩和装置では耐えきれないほどのGが襲いますが、私は歯を食いしばって耐えます。


直後、私たちの目の前が真っ白になりましたわ。

私たちの機体が出てきた瞬間を狙ったようで、多くの主砲からの攻撃が来たようですの。もし機体の動きを止めるタイミングを間違えていれば一瞬で宇宙のチリに変わっていましたわね。

それでも私はともかくとして、護衛達は優秀。誰一人としてかけること無く機体が動きを止めていましたわ。とりあえず私に求められていた役割を果たす上での第一段階は終了。

ここからは、時間との勝負ですわ。


「全機反転!地点Aまで最高速度で撤退しますわ!」


『『『『了解!!』』』』


私の乗る機体を含め、周囲にいた全ての戦闘機体が反転。敵艦に攻撃をすることも一切無く、高速で後退していきます。

そんな私達を1人で良いから仕留めたいというように主砲や副砲など先程以上の数のレーザーが飛び、バックモニターが真っ白になりましたわ。それでも流石に残骸に全て阻まれ、私たちに攻撃は届きません。

敵もそれを見て戦闘艦で私たちを処理することは難しいと判断したようで、


「っ!レーダーに反応が!やはり追ってきましたわね」


私たちを追ってくるようなレーダーの赤い点。これは敵を表しているのですが、この速度から考えると、


「敵の戦闘機体が来ましたわ!追いつかれないように注意して下さいまし!」


『『『『了解!!』』』』


護衛のものたちも気付いているでしょうが、一応声はかけておきますわ。

やはり艦隊としての規模が違いますので、私たちより戦闘機体の数も圧倒的に多い。もし敵艦隊の近くにいたのなら、戦闘艦と戦闘機体の両方から攻撃をされて多くの被害が出ていたと思われますわ。


「各機、地点Aに入り次第反転!迎え撃つ準備を始めて下さいまし!」


『『『『了解!!』』』』


敵の戦闘機体が多いとは言え、いつまでも逃げているわけにはいきませんわ。

ですので、今までの所以上に漂流物が多く、身動きの取りづらい場所。そこで、私たちは反転攻勢に出ますの。

数分でその目標地点に到達した私たちは綺麗に漂流物を避けながらそれぞれ反転、そして待機。

数秒もしない間に敵機体が攻撃圏内に入ってきて、


「各々反撃を開始して下さいまし!」


通信機から返事はありませんでしたわ。ただ、返事の代わりにいくつもの細い光の線が漂流物の間を縫うようにして通っていき、遠くで汚い花火を咲かせましたわ。

敵がいるのは少し大きめの残骸が漂う地点。それに対し、私たちがいるのは細かな漂流物が漂う場所。漂流物の数が違うので、向こうとは動き方が違いますわ。向こうは大きい隠れ場所はある代わりに、その数は少なめですの。こちらは漂流物が小さい代わりにその数は多い。敵の攻撃もここにいれば当たりませんわ。

パイロットの腕さえ良ければ此方の方が圧倒的に有利ですの。


「……私たちは一方的ですわ!」


私たちの数はほとんど減らないのに対して、敵の戦闘機体はかなりの速度で減っていますわ。5分も経たないうちに半分以上減っていて、数の差が倍程度でしか無くなりました。


「敵を漂流物に変えてみせますわ!!」


私もデータを見る限り、勲章をもらったときに近い数の敵を倒せています。あのときほど私に対する敵の割合が多いわけではありませんが、一方的に攻撃できる分殲滅ペースが違います、

やはり戦は数では無く、質といかに優位性を保つかなのですわね!私、真理を得ましたわ!!



《sideゴトー・アナベル》

「……やはり戦は数だな」


「そ、そうなんですか?セシル様は沢山敵がいても倒してますけど……」


「敵を倒すことはできているが、戦闘機体を相手にしているだけであり、艦隊の方は自由に動いている。いかに強きものであろうと数倍の数で相手をすれば足止めは可能であると言うことだ」


「な、なるほど。たくさんの人数で足止めをして、その間に本隊を倒してしまえば勝利できるというわけですね」


「そういうことだ。小さな戦いで負けても、大きな戦いで勝てば良い」


「深いです……」

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