表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/244

17.ただの保険ですけど何か?

中央から少しずつ敵が優勢な方へ移動している。

中央を通る間にかなりの敵の弱体化を図かれたのでとりあえず今まで移動したところは安心できるのだが、問題はここからだ。


「ここからは敵が優勢な領域。油断は絶対できない。隊長たちにも万全の注意を払ってもらうように」


「イェッ、サー!」


だんだんとセシルやダリヤがシールドをはがしてもその船が破壊されないことが多くなってきている。

今までは敵全体に攻撃ができていたのだが、劣勢になってすべてに攻撃してられなくなったんだろうな。おかげでシールドがなくなっても攻撃が来ないから好きに動けるわけだ。


「こちらへ攻撃してくる船も増えてきましたね」


「それだけ敵も余裕があるということだろう。一応二等兵の狙撃で指揮系統が混乱しているから、こちらが集中的に狙われるということはないようだが」


「そうですね。こちらを確認したから攻撃しているだけで、他と連携しているようには見えませんし」


今までは俺たちが裏に回り込んでも対応している余裕なんて敵にはなかった。しかしこのあたりから敵が優勢のため俺たちの対応に避けるリソースが出てきたのである。

フィネークが指揮を執ってそうな船や大型艦や強い武装を持った船を沈めてくれているので敵も行動にまとまりがなくこちらの被害はほとんどないが、それでもここ以上に敵が優勢な場所となってくると数隻は落とされる可能性がある。


「この数と戦うのに数隻落とされるだけで済むというのは良い方なのだろうが、だからといって安易にそれを許すのもな」


犠牲が出てしまうことは仕方がないことではあるのだが、事前に犠牲ありきで計画を立てるのも良くはない。

俺たちの艦隊、そして真正面から戦っている味方の被害をできるだけ小さくできる手を取りたいところだ。


「…………ならば少し可能性に賭けてみるか」


「ん?何するんですか?」

「ギャンブルはよくないと思いますよぉ」


賭けてみるかといったことで部下たちから少し非難めいた視線が向けられる。

あまりにもそういった危ないことをするのは、この艦隊には難しいということだろう、連携力がまだ不足しているから、細かいことをするのは技術的に厳しいのだ。


「安心しろ。そこまで難しい話ではない。ただ、機雷をここで使ってみるかと考えただけだ」


「「「「機雷を?」」」」


部下たちの不思議そうな顔。

それもそうだろう。わざわざこんなところで機雷を使うなんて言い出すのだから。


機雷とは本来仕掛けておいて、そこに敵を誘い出すための物。

だが、今敵はどこからも俺たちには迫ってきていないのだ。ただ敵はこちらへ砲撃をしているだけだけである。

だと言うのにわざわざ機雷を使うなんて、意味が分からないことだろう。


「ただの保険だ。重要なものではないから気にするな。一応味方には伝えておく必要があるだろうがな」


「は、はぁ」

「よく分からないですけど、まあ少将が言うなら従うよ。どの辺に仕掛ければいいの?」


「仕掛けるのはも少し進んでからだ。今じゃない。地点としてはだいたい………」


必要最低限の計画だけ伝えておく。何のために仕掛けるのかといった説明はなしだ。

する必要もないくらいほんの些細なものだからな。


「場所としてはもうちょっとだけ先かぁ………本当に何なんだろう?」

「そのあたりが1番最初に崩れるとか予想してるんでしょうか?だから逃げる船を仕留めるために設置したとか?」

「あぁ~。ありうる。けど、その辺が最初に崩れるとは思えないけどなぁ~」


一応俺の考えを推測しようとしている部下たち。

懸念を伝えれば俺よりもっといい意見を出してくれるんだろうが、さすがにこんな細かい懸念にまで頭を使わせるのはもったいないからな。

ということで俺の行動の理由なんて考えてないで仕事に集中してほしい。まだまだ敵はいるのだから。


「あっ。そろそろポイントになります。指定の船に機雷を放出させますね」


「ああ。そうしてくれ。味方への連絡も忘れずにな」


「イェッ、サー」


もしかしたら味方が敵の隊列に強引に突撃して穴をあけていくかもしれないからな。ないとは思うが、その場合は機雷に突っ込みかねないので一応だ。

ちなみに俺たちの通ったところはかなり敵も弱体化して行っていて、勢いはイーブンくらいに戻せているようだ。有利なところはかなり敵が減ってきていて余裕が出てきたようだから、もしかしたら支援できる船も出てくるかもしれないな。

そうなればこのあたりも優勢になるはずだ。


「………しかし、敵の狙いって結局隊長とか殿下とかなんですよね?」


「む。そうだな」


「なんでわざわざこの戦線を作り上げてるんですか?直接ずっと私たちを追い回していればよかったと思うんですけど」


「ふむ…………」


それは俺も考えたことではある。

敵もわざわざ真面目にこの戦線で戦っている俺たちの味方など相手にせず、ダリヤだけ狙えばいいのだ。こんなことをしているのは無駄というほかないだろう。


「敵は、何を狙ってるのでしょうか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ