表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/244

14.釣るより効率的ですけど何か?

「どうだ?」


『大丈夫です!というかもう少し離れてもいけますね………………………あっ。撃つので止まってもらってもいいですか?』


「分かった。止めろ」


結局、検討したフィネークを中央まで連れてくるという作戦は実行された。

俺の乗る船と適当に足の速い小型艦数隻、そしてフィネークの機体だけで敵の裏を回ってきている。

やり方としては移動しながらではなく、少し移動してその場にとどまって、そこで射程内に入っている旗艦や強そうな船を破壊し、

有力そうなのがいなくなれば、また少し移動しては同じような船を沈めてというのを繰り返している。

これにより中央部が劇的に有利になったという風には見えないが、なんとなく状況が改善されているような報告は受けていた。


「さすがにここまで離れていると、敵も追ってこようとはあまりしないな」


「そうですね。レーダー探知範囲外ですから無駄だと分かっているんでしょう」


俺たちが攻撃するのは、レーダー探知範囲に入るか入らないかギリギリといったところ。

それでもフィネークの専用機なら問題なく感知できるので、敵から追われるという可能性を下げるためにもそうしているのだ。

それでも捜索に動いてくるようなら、フィネークを連れて逃げる。


「基本的にすべて足が速い船しかいないから、逃げるのも楽だな」


「ですね。どうしても追いつかれそうなときはフィネちゃんに破壊してもらえばいいわけですし」


ちなみにレーダーの探知範囲が他の船に比べて広い船も敵には存在している、

実際何度かそういう船に追われることもあった。

だがそういう船は基本的に特殊な装備を積んでるせいで足も遅いし武装も弱いから、ひきつけてからたたけば瞬殺だったな。

厄介だったらフィネークに消し飛ばしてもらうつもりだったがその必要は全くなかった。


「このまま続けて、もう少し改善されたらまた艦隊まで戻るか」


「賛成です。そろそろ艦隊の方の支援があっても勢いが緩やかになってきてしまっているみたいなので」


「ふむ。残っていた敵の旗艦がまとめ上げたか?時間をかければ潰せるだろうが、あまり勢いを止めてしまうのも良くないか」


中央の戦況を有利にするのももちろん大切なのだが、だからと言って俺たちの艦隊の本隊が動いている部分の勢いが弱まってしまうのはよくない。

2つの部分で程よく有利という状況よりは、1つでほどほど、もう1つで圧倒的にとなっていた方が流れを作りやすいものだ。


「………………このままただ帰るだけでもいいかもしれんが、少し釣っていくか?」


「釣る、ですか。場所によりますが、悪くないかもしれないですね」


このままただまっすぐ帰るよりも、敵の後方に少し近づいて攻撃してこちらを認識させてから戻るという風にしてもいいと思うわけだ。

追いかけてきたら敵の数を減らせるし、フィネークがいるから戦うのも問題ない。

ただ、


「二等兵にそれらの相手をさせるのか、それとも今までのように移動しながら敵の旗艦を狙わせるのが良いのかという問題になってくるのだが」


「ん~…………敵の旗艦を狙わせた方が良い気がしますね!」


「そうか。では、釣るのはやめておくとしよう」


「「「「イェッ、サー!」」」」


移動しながらでも狙撃させた方が結果が出るということで釣るのは中止となった。出した案よりもいい案があるのであれば採用するのは当然だよな。

フィネークにはぜひとも頑張ってもらいたいところだ。


「ではあと10回ほど攻撃したら本隊へと帰投する。他の艦と二等兵にも伝えておけ」


「「「「イェッ、サー」」」」


すぐに部下たちが撤収の準備を始める。周辺の船も今までの警戒態勢を解いて、本隊の方向に船首を向け始めている。

フィネークだけは落ち着いてこれまで通りに自分お仕事をこなしているがな。

1発1発に多少時間はかかると言えど、それからフィネークが10発撃つのにそこまで時間はかからず、


「では帰投する。周囲と合わせつつ移動するぞ」


本隊へと戻っていく。

途中でフィネークに狙撃させてその辺の戦況にも多少を影響を与えつつ移動してみれば、


「ん?予想以上に敵を飲み込んでいるな」


「ですね。さすがに隊長や殿下のシールドを削る力というものでもここまで結果が出るとは思っていませんでした」


セシルやダリヤが乱戦の中で非常に光るということは理解していた。だがそれでも驚くぐらいには、戦線の端の方の敵が打ち倒されて味方が敵の裏側へ回り込んできていた。

そしてそれより少し中央寄りに移動していきながら活躍しているのが俺たちの艦隊。


「艦隊で弱らせて、残りを味方が打ち倒していく形になっているのか」


「予想通りの展開ではありますが、予想以上に効果が出ていますね」


「うむ。隊長たちの速度は予定通りだが、出ている被害が予想以上。これなら反対側の劣勢具合によってはあちら側での逆転も近いかもしれんな」


勢いが緩んできたというので戻ってきてみたらこれだ。

もう少し中央付近で活動していても良かったかもしれないと思う程度にはこちらが有利である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ