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12.愛はありませんけど何か?

いつの間にか200話越えてました。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

船の移動速度は速く、フィネークもなかなか照準は合わせにくいと思う。

だが、それでも1度は経験しているのだ。当てにくいと言っても、全く当たらないわけじゃない。


「これまでの成果は?」


「小型艦17隻。内、特殊な武装や性能と思われる船が10隻。中型艦22隻。内、ミサイル装備が15隻、一切性能の不明な船が1隻。そして、大型艦9隻。内、旗艦と思われる船が3隻となっています」


「ふむ。中型艦が1番多いか。とはいえ中型艦でもミサイル持ちをつぶせているのは大きいと言って良いだろう。乱戦になった場合ミサイル持ちは厄介だからな」


「はい。それに小型艦の特殊装備持ちをつぶせているのも大きいかと。真正面の戦い以外で攻撃を受けた場合あまり有効な手立てがこちらにはありませんので」


決してこれだけで戦況が決まるほどの大きい成果を出せているかと言われるとそんなことは残念ながらないが、決して影響がないわけではないくらいの結果は出せていると思う。

非常に良いわけではないが、決して悪くはないといった感じだな。


「ただ、フィネークも慣れてきたみたいですし、最初に比べて大型艦への命中率が上がってますね」


「ふむ。この速度の移動の中で狙撃できるというのはなかなかだな」


とりあえず俺はできない。フィネークも成長しているんだろうな。

ただ、これ以上狙えるようにはならないだろうな。こちらとしては大型艦の中でも特に旗艦を狙ってほしいのだが、さすがにそれは高望みしすぎだろう。

…………なんて思っていたのだが、


「す、すごいですね。5連続で旗艦と思わしき船を破壊しましたよ」


「あっ。まただ。これで6連続?」


「7,8…………あっ。9は外した?いや、これは小型艦の特殊装備持ちだからある意味あたりだね」


何故か知らないがそこまでねらって攻撃できるようになっていた。今戦場になるところの端から端まで移動しつつ狙撃してもらっているのだが、終わりの方だけ異様に敵のまとまりがなくなっているとかありえそうだな。


「随分と精度が高いな。以前から静止状態での精度は高かったと記憶しているが」


「移動時までとは思わなかったですねぇ。狙撃の才能がある、ということなんでしょうか?」


乙女ゲームの主人公が狙撃を得意としているなんてありえるのかと思うが、攻略対象のハートを射止めるのだからそういう才能はあるのかもな(うまいこと言ったつもり)。


「少将。今寒気がしたんですけど」

「わ、私もです」


「む?風邪か?軍人たるもの体調管理は常にしておかなければならんぞ?」


「は、はい。すみません」

「なんか違う要因な気がするんだけど………」


何故かは知らないが部下たちが寒気を感じたらしい。

後で俺も予防のために医療ポッドにでも入っておくとしよう。


「しかし、狙撃の腕が高いというのも妙な話だな。軍事学校ではほとんどの評価が最低レベルだったはずだが」


「明らかにドジっ子だからでは済まされない成績ですよね。あまりにも差が激しいですし」


才能が眠っていたなんて言うことは簡単だが、その才能は軍事学校にいる時ですら確認されていなかったのだ。不思議でならない。


「あれじゃないですか?愛の力、とか」


「おぉ~。良いねそれ、ロマンティックじゃん」


部下が微妙な方向に話を持って行ってしまった。

俺としては今後のためにも才能が見つからないというのを避けられるようにしたかったんだが。


「馬鹿なことを言ってる暇があるなら仕事をしろ。少しでも二等兵が狙いを定めやすくなるよう操縦する、とかな」


「おっ?もしかして、フィネちゃんのために何かしてあげたいとかそういうお熱いやつですか?」

「「「「ひゅ~ひゅ~~」」」」


冷やかし方が古くさい気がするが、イラっとするな。

面倒だし適当に流そう。


「下らん。心の底から愛して守りたいなら最初から戦場になど連れてはこないだろう」


「えぇ~。詰まんない回答ですねぇ」

「それって私たちのことも愛してないってことですかぁ~」


不満そうな声が上がる。面倒な奴らだ。

だが、言ってしまえば、


「軍人としての小官に愛を求めるな。プライベートの気持ちと仕事上の思いは完全に別物だ」


「「「「つまりそれってずっとは愛してくれてないってこと?」」」」


「なんだそのヤンデレみたいな問いかけは」


なんとなく背筋が震える気がしたが、きっと気のせいだと考えて俺は誰とも目を合わせないようにする。

気のせいだとは思うが、なんだかまずい気がしたのだ…………今度の休暇はまずいかもしれんな。気合(薬)を入れておこう。


なんて、じゃれあっていると、


「そろそろ端に着きます。ここからどうしますか?」


「予定通りで構わん。十分成果は出せただろう」


ついに戦場の端までたどり着いた。

これでフィネークの移動狙撃は終了だ。少なくはない敵の船を撃ち合う前に沈めたし、敵の指揮系統にも混乱が生じているはず。

後はここまでで変えた状況をうまく利用できるかということが大事になってくるのだが……

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