10.2回戦フラグですけど何か?
機雷が爆発し、周囲の戦闘艦が沈む。それでも大量の機雷がばらまかれ、いくつものレーザーが飛び交った。
誰もその中を通りたくはないだろうが、
「隊長機、移動を開始しました!ダリヤ様の機体も数秒遅れて移動しています!」
それでもやってくるものがいた。
人が入っているのは1機だけだが、周囲には身を守ってくれるような戦闘艦はおらず、戦闘機体ばかり。
セシルはシールドを敵から奪っているので数回は身を守れるだろうが、それでも狙い撃ちにされればひとたまりもないだろう。
「ダリヤ様は隊長の盾となるつもりか」
「ですね。隊長の命が最優先ですので」
ダリヤの機体は、セシルの後方から移動している。つまりそれは、敵との間に入るようにして移動しているというわけだ。少しでもセシルの被弾を防ぐべく自身の機体を盾にしているわけだな。
「援護射撃の方はどうなっている?」
「数隻怪しい動きを見せていますが、明確にお二人の機体を狙うような船は見受けられません」
「そうか。引き続き味方の船も警戒しておけ」
「イェッ、サー!」
今はまだ怪しい程度で収まっているようだが、こちらに裏切者が混じっているのであれば確実に今の2人の機体は隙があり狙いやすくなっているだろう。どこかで仕掛けてくるのではないかと思っている。
初っ端から撃ってくる船は撃ってくると思ったのだが、もう少し引き付けてから狙うつもりなのか……。
「残りの敵はどうなっている?」
「敵包囲の前方の船が撤退をしようとし、一部で後方ともめているように見えます。好戦的なところはたいてい機雷の爆発に巻き込まれていますので、戦いを継続しようとしているところほど減少が激しいです。後数分のうちに戦闘開始時の1割以下になると思われます」
かなり敵も減っているようだ。
さすがに機雷を自分たちの周りにばらまくというのは被害が大きくなるよな。当然の結果だろう。残りは1割以下になるということだし、このまま機雷に注意しつつ数で押していけばこの前線も勝利で終われるはずだ。
「そうか。では二等兵はどうだ?」
「フィネークはお二人の機体を狙っている戦闘艦を沈めようとしているようです。が、機雷の影響で思うように狙ったところへ当てられてはいないようです」
「なるほど。攻撃をばらまくなら被害は増えるが、二等兵のような狙撃タイプには厳しいか」
思いがけないフィネークの攻略法が出てきた。
確かにフィネークは1発撃った後に少しエネルギーをためなおす必要があるから、機雷を適当にばらまいておいて防ぐというのは有効な手段かもしれないな。
シミュレーションで俺が機雷を使って防いだことはあったが、あの時と違ってばらまいた方があまり深く考えなくて済む。狙われる個所などを考える必要がないのは楽でいいな。
「………………っ!ダリヤ様の専用機1機が被弾したようです!」
「さすがに無傷では済まないか。二等兵にその攻撃の反撃をさせろ。周辺に機雷が少なくなっている可能性が高い」
「イェッ、サー!」
ダリヤの操る機体が被弾した。ほぼほぼ破壊されてしまったようだが、まだギリギリ動くことはできているらしい。さすがはドワーフ製とでも言っておこうか。
戦いには使えないとしてもまだ盾として使う分には問題がないため、引き続きセシルの後をついて行かせるつもりの用だ。
そして、攻撃が通ったということはその攻撃を行なった武装の周辺は機雷がなかったということ。それなのであれば、フィネークの狙撃も通るはずだ。
またその船から攻撃を当てられても困るし、優先的に破壊させておく。
「攻撃命中しました。やはり周辺の機雷が少なくなっていたようです」
フィネークの攻撃ですぐに敵は沈んだ。
ここまで機雷を放出していても、戦いが激しいため一部では機雷が消えてしまったところもあるようだな。
偶然だとしてもこれだけの船がいるならあり得ることだし、驚きはしない。
「周辺へ定期的に攻撃を仕掛けるよう二等兵へ伝えろ。恐らく先ほどの成功例から敵が移動すると考えられる」
「イェッ、サー!」
今までうまくいって来なかったのだから、うまくいく方法を見つければ積極的に使おうとしてくるはずだ。
馬鹿の1つ覚えというのかもしれないが、見つけても使わないよりはよほどマシだ。
とはいえ、それをするには敵の前衛が周辺に機雷をばらまいているのが問題がある。うかつに動いても機雷に巻き込まれるだろうからな。
だが、動くとしたら後方の船。セシルたちが外へ抜けていくのを警戒して機雷をあまりばらまいていなかったのであろう船は、比較的安全にそこまで移動できるはず。
ただそうなると、
「敵の一部が逃走を始めました。多くが機雷に接触し爆散していますが、数隻は成功した船が現れ始めています」
「予想通りだな」
今まで逃げようにも、後方にいた船が蓋をしてきて逃げられなかった。
だがここで先ほどのポイントへ攻撃するため移動し始めたため、その蓋が取れたのだ。
こうなれば、後はひたすら今まで機雷に囲まれていた船が逃げていくだけとなる。
「勝ちましたね」
「………………なぜそこでフラグを立てる」




