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8.目標になってもらいますけど何か?

優秀な人間が上に行きやすくなる。それはそこまで難しい話ではないと個人的には思う。

いや、難しくないという言い方には語弊があるが、


「現在ダリヤ様の支持をしているのは主に隊長のご実家である公爵家。以前から支持をされていたいくつかの力の弱い家々、そして、ローズ伯爵家とその派閥の者達となります」


「ふむ。そうですわね?」


「それとどういう関係が………って、そういうことですか。たしかに、配慮しなければならない家は少ないですね」


「はい。その通りです。支持されている家が位が高いほど少なく、逆に位が低いほど多いのです。爵位の低い家からすれば、実力至上主義は望むところでしょうし、配慮する家は少なく済みます」


そうなのである。

確実に反発はあるだろうが、国民にとっても実力至上主義は耳障りのいい言葉であるので賛成意見が多いはず。反発が起きるであろういくつかの既得権益を持つ面倒な連中は、俺のつてを使って潰せるはずだ。

そこまで考えれば、今までのこの国の状況から考えれば今は格段に実力至上主義の社会へ変えやすい。


「では、その少ない家へ根回しさえできれば可能であるということですのね?」


「そうですね。ただ、能力が高かったり能力があまりないように思われていたにもかかわらず結果を出したりするものはスパイの可能性も考慮しなければならないのですが」


「あぁ~。実力至上主義にすれば、実力がある人材を送り込めばすぐに上に行きますものね。国からのスパイであればその国同士の間で連携すれば実績の捏造なんて簡単でしょうし。それは確かに考えなければなりませんわね


「まあ、ある意味警戒すべき対象が絞れるということで悪くはないと思いますけどね」


こんな戦場に向かう1つの船の中での出来事にもかかわらず国にとって大事な方針が決まる。

ちなみに実力至上主義にするにあたってもう1つ国民から支持が得られやすい要素があるとすれば、ダリヤも実力を示せていることがあるな。担ぎ上げられたのではなく、自分で戦場に立って戦うからこそ実力が大切と言って説得力があるわけだ。


「そうなってくると、フィネークも昇進することになるのでしょうか?」


「え?私ですか?」


「ええ。ドワーフとつながりが作れている時点でかなり実績としては大きいですし、私たちからの後押しなど関係なくかなり昇進できそうな気がしますね」


「私もそう思いますわ。ドワーフとつながりがあって専用機もあって戦場でもかなりの結果を出している。そのあたりで戦闘艦の艦長をしている方々よりよほど実績は大きいのではなくて?」


そういったことを考えると、コツコツと努力を重ねるものが馬鹿を見ると思われかねないな。

なかなかに悩ませてくれる話だ。


「あまり二等兵の実績に影響を受けてドワーフとつながりを作ろうとする者たちなどが出てこないでほしいのですがね」


「あぁ~。そこは懸念すべきところですわね」


「実績を作るためにドワーフに近寄って嫌われるなんて最悪ですね」


最悪だが、真面目にやって馬鹿を見るよりはましだと考えるようなものも少なくはないだろう。

最近は俺がセシルやダリヤを艦隊に乗せて成功したのをまねて、一部の軍艦が貴族の子息関係を乗せ始めたらしいからな。

今のところ大した結果も出てないということだし、そういった者達の接待のため金の方がかかっていそうな気はするが。


「では今のうちに二等兵には、ドワーフとのつながりがかすむほどの結果を出してもらうこととしましょうか」


「と言いますと?」


「単純に多くの戦闘艦を破壊してもらうという話です。ドワーフとのつながりよりもそちらの方が影響の多い結果となれば、自然と意識はいかに敵を多く倒すかという方向へ向かうはずですから」


「なるほど」


今の状況では、まだまだフィネークの実績の中でドワーフとのつながりがあるという部分は大きい。

だが、ここから数万隻の戦闘艦を落としていけば、そちらの実績の方が大きいものとして捉えられる日が来るだろう。

たとえその敵艦を沈めた数というのがドワーフの専用機体に起因しているとしても、多くのその実績に影響を受けた者達は気づかないはずだ。


「私、頑張ります!」


フィネークは俺たちの会話を聞いて、自分がもっと実績を出す必要があると意気込んでいるようだ。

今回の戦場でもかなり期待はできるだろう。

ぜひとも俺たちの期待通り、後輩たちの目標となるほどの実績を出してほしいところだ。


「では、さっそくこの戦場で暴れてもらうとしようか」


「はい!今回もできるだけ敵の旗艦などを仕留めます!」


「うむ。そうしてくれ。敵の指揮系統が混乱するのはこちらにとって非常に重要な要素だ」


これからの戦場にフィネークはやる気を出している。今向かっている戦場にももう少しで到着するし、こちらの動きも再度確認しておかなければな、


「少将!訓練のお相手をしてもらってもいいですか!」


「………………うむ。かまわない」


全く構わなくないのだが、たきつけてしまったので仕方がない。

…………会話の運び方に失敗したな。

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