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7.実力社会を目指しますけど何か?

大粛清、というには規模が小さいかもしれない。

が、ガラッと艦隊のメンバーは変更された。


そんなことに関して俺たちはまた戦場に向かいながら話しており、


「やはり色々なところの手駒が紛れていますわね」


セシルはため息をつきつつそんな言葉をこぼす。

裏切り者と言えるような存在はかなり数が多く、疑わしい物はさらに多かった。そういった存在はすべてこの艦隊から外されて、国境沿いの争いが激しいところに送られていった。

たとえ裏切り者であっても結果を出すならそれで構わないし、息絶えるのであればもう気にする必要もない。

そういうことである。


ただ、


「それもそうでしょう。どこかの手駒でなければ、それこそ小官のように大きい結果を出し上とも程よい関係を築かなければなりませんから」


「あぁ~。それもそうですか。才能や実力がなくて世渡りが上手いというわけではないのなら、どこかの権力者の下に付くしかないですよね」


「ん~。世知辛い世の中ですわね。それを聞くと何の権力とのかかわりがない少将の優秀さが………って、ちょっと待ってくださいまし。少将はコトーネとのつながりがありましたわよね?個人の力ではないのではなくて?」


おっと。俺が個人の実力で這い上がってきたと言ったら伯爵であるコトーネの存在を出されてしまった。

確かにそういうつながりは存在するが、


「伯爵とのつながりはあくまでも保険という意味合いが強いですね。できるだけつながりは周囲に知られないようにしておきたかったので、小官は出世などに関して伯爵を頼ったことはありません」


「あら?そうなんですの?」


「てっきりコトーネのコネで昇進してきていたのかと思っていました」


「小官に何も言わずに伯爵が動いていたというのであれば分かりませんが、とりあえず小官が知る限りそういったことはなかったかと………というより、軍へ入る以前に関係を築いた者達とはほぼ全員軍人としての小官に何かするようにはいってないですし、どちらかと言えば知り合いから喧嘩を売られることの方が多かったくらいです」


「「喧嘩!?」」


2人が驚愕している。

あまり俺の知り合いにケンカを売ってくるような野蛮な奴がいるという認識はなかったみたいだな。一応俺の素の方では素行が悪そうな印象がある気がしたのだが。

そんな俺の言葉を聞いて、


「ありましたねぇ~。少将の知り合いの傭兵なんか、私たちの船見かける(たび)に必ずと言って良いほど喧嘩売ってきますからね」


「ああ。あいつの話か。あいつは小官への勝利というものを傭兵になるにあたって目標の1つとして掲げていたからな」


思い浮かぶのは、しばらく会っていない1人の()()()の顔。これだけ積極的に争っていれば、俺とあいつがそこまでずぶずぶの関係であるということには誰も気づかないと思う。


「見かける度にって、決着がついていないということですの?」


「そうなんですよ。一級傭兵でいろんなところから引っ張りだこみたいですね。どこの国でも金さえ積めば味方に回るということで有名です。もちろん私たちの方でもお金さえ払えば雇えますし、実際雇った時はかなりいい結果を出してくれてましたよ」


「あっ。こちらでも雇ったことがありますのね。その時もこちらを認識したら襲い掛かってきましたの?」


「ハハハッ。いえいえ。さすがにその時は襲ってきませんでしたよ。どちらかと言えば、積極的に連携をとってきてくれました」


「あら。そうなんですの?では本当にお金が好きで仕事には忠実なんですのね」


傭兵らしいとセシルやダリヤは納得するような素振りを見せている。実際金さえ払えばというのは傭兵でもあまり数が多くはなく、不利だったり自分の祖国を攻撃するような内容だったりすると手を引くような傭兵も多い。そういう意味では優秀だと言えるのだろう。

………………………………が、


「おそらく積極的に連携をとってきたのは、こちらの指示や連携の様子などを確認するためかと。次回こちらと戦うときのために」


「「あっ。そういうことですか(の)」」


あいつは常に勝利に貪欲だ。探れるときに探ってしまいたいというのがあいつの内心だろうな。

傭兵という存在をなめてはいけないし、優しい存在だと思ってはならない。




「………………あれ?で、何の話でしたかしら?」


「かなり話がそれてしまいましたね。確か、コネなり誰かからのつてがないと出世できないということに関してでしたっけ」


ここでセシルから話題の修正が来た。

今頃戻て来た話題ではあるのだが、間違いなく重要なことではある。


「あまり能力や才能のない者達が頼るのは仕方がないし完全に防ぐのは難しいとして、能力があれば出世はしていけるようにしておきたいですわよね?」


「そうですね。家柄関係なく一定の能力さえあれば上まで行けるというようにはしたいところです」


2人は難しい顔をする。それがやりたくても難しいのが貴族社会なのだ。

……………しかし、考えてみると、


「現在の状況なら、そこまで難しい話でもないのでは?」

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