表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/244

2.取り出しましたけど何か?

「ついに、ついにやったよ!」


渾身のどや顔でこぶしを突き上げるフィニア。

その突き上げられた拳の中には、半透明な宝石のようなものが。


「スライムを核だけ残して食べきることに成功したよぉぉぉ!みんな応援してくれてありがとおおおおぉぉぉぉ!!!!!」


宝石のようなものは、スライムの核。

人間で言うところの脳や心臓、内臓といったほぼすべての生きるために必要な器官がそこに備わっているとされており、そこさえ残っていればスライムは生き続けられるとされている。

しかし、


「なんとね!このスライムの核、もう周辺にスライムとしてのぷにぷにプルプルな部分が戻ってくることはないの!あのプルプルな部分でいろんなものを溶かして栄養として返還しないと成長できないんだよ!だから、危険がなくて奇麗なだけの周りに何もない今の状態で売ると、とっても高い金額になるの!」


二度と再生されることがないスライムの核。

それは危険性がないということで高く売れることになる。目的は見た目が良いから、鑑賞用だな。


「それじゃあ今度はこの核を換金する動画を取るから、楽しみ待っててね!ばいば~い!」


どうやら成功したらもう終わりということらしく、動画の撮影が終了される。

周囲を完全に取り除く(食べる)ことに成功した核を嬉しそうにみているな。


「いやぁ~。ありがとねゴトちゃ。私1人じゃやっぱり難しかったよぉ」


「だろうな。スライムがあれだけ暴れれば食べる以前の問題だろう」


「うんうん。ゴトちゃんが魔法で抑えてくれなかったら持つ以前の問題だったよね」


どうにか食べることに成功したフィニアだが、少なくない俺の手助けが存在した。スライムと言えど生物であるから捕食から逃げようとする。後、逆に食べようとしたフィニアを攻撃しようとする場合もあるな。

そんなスライムからフィニアを守りつつ、さらに逃がさないようにしていたわけだ。

本来スライムはこんな簡単に食べられるものではないのだ。


「お礼にスライムの核のお金はあげようか?」


「いらん。フィニアが動画用に使え」


「うぃ~テンキュ~」


原料(?)であるスライム自体は大量にいるというのに、そこから取り出せる核は0.001%以下。非常に貴重なのである。

そんな難しさもあるからこそ、スライムの核というのは高く売れるのだ。

もちろん見た目もきれいなのだが、


「奇麗だからふぃにあちゃんのにしようかなって思ったけど、サイズがちょっと大きいんだよねぇ」


「まあ個体差があるからな」


「加工もできないから本当に一点物だし、なんだか沼を感じたよぉ?」


「まあ、あるだろうな」


核は大事な部分であり少しでもかければ完全に崩壊してスライムは死んでしまう。

加工できないから世界にその形は1つしかないというのも、人気がある理由の1つだろう。フィニアが今回取り出したのはイヤリングや髪飾りなどにするには大きすぎるが、ブローチなどにはちょうどいいかもしれない。


「ふぃにあちゃんはもうお腹いっぱいだから食べれないけど、ゴトちゃは食べる?」


「ん~そうだな。もらうとしよう」


フィニアに尋ねられて、せっかくだし俺もスライムを食べてみることにした。

結果として、


「………………10体食べて2つか」


「すっご~い。スライムの核回収業者に転職したらいんじゃない?」


「職に困ったらそうなってもいいかもな」


フィニアにやった時とは違い自分が食べるのに魔法を合わせるのでやりやすかった。

とはいえさすがに難しいと言われるだけはあって8割は核を砕いてしまったがな。

ただ、この核を取り出す業界は1%を超えればプロだというのだからかなりの結果だろう。

この2つを売った金額からスライム10体の金額を差し引いても利益の方が圧倒的に大きい。本気でこっちに道を変えるのもありだとは思える金額だ。


「どうする?ゴトちゃも一緒に売る?」


俺が上手く取り出したスライムの核を眺めていると、フィニアからそんな質問が。

実際かなり高額なものなわけだし、今の身分があるとしても良い小遣いにはなる。


「ん~………………………………いや。やめておく。お前との記念にとっておくことにしよう」


「なっ!そんなこと言われちゃったら売っちゃう私が薄情みたいになるじゃん!やめてよねそういうこと言うのぉ~………でも、とっておくならちょっと舐めさせてもらっていい?ふぃにあちゃんとの思い出なわけだし?」


「お前は何を言ってるんだ?」


「いや、ちょっと間接キス、というか間接べろべろを」「アホか」


俺はフィニアの頭を軽くはたく。

だが少し考えてみて、


「ん?フィニアの出したそれ、そういう目的でかなり高く売れるんじゃないか?」


「はっ!?ゴトちゃ恐ろしい子!!」


「そこから検出した生物基礎データを基にフィニアのクローンを作ってあんなことやこんなことをするのも……」


「や、やめてぇぇぇ!!!!想像したくないよ!!」


なんとなく予想できてしまう未来を想像して、いやいやと首を振りながら叫ぶフィニアであった。

………とはいってもクローン技術なんてかなりの金持ちでもない限り使えないんだけどな?あれもAIとか関係しててほとんどの技術が失われてしまっているんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ