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1.扇動ですけど何か?

俺の名はゴトー・アナベル。

農家の出身で元々はちょっとした(?)軍人だったのだが、いつの間にか次期国王の王配になる予定になった人間だ。

そんな俺が王配となるにあたって行ったことが色々とあったのだが、その内の1つが、


「おっ。やっぴ~。ゴトちゃが私のこと呼び出すなんて珍しいね」


「ああ。久しぶりだな。ちょっと頼みたいことがあってな」


婚約者ができて早々俺は他の女に会いに行ったわけだ(クズ)。

俺の前世で言うところの陽キャでコミュ力のありすぎるような見た目と声で話しかけてくるが、それには一切嫌悪感を抱かない。恐らく誰しもが嫌悪感など抱かないだろうと思えるほど明るい表情であり、せいぜいコミュ障な人間が気後れするくらいだろう。


「ふへぇ?ゴトちゃが頼み事なんてほんと珍しい。何々?ゴトーちゃんにはいろいろと恩があるし、それこそ何でも聞いちゃうよ?」


付け加えるようにグヘヘッと言いながら、だというのにこれまた気持ち悪さのない声でそんなことを言う目の前の陽キャ。


「そうか。じゃあ遠慮なく言わせてもらう。お前に、国民の扇動を頼みたい」


「………………ふぅん。悪いことだねぇ。でも、この天才インフルエンサーな私、ふぃにあちゃんにまっかせなさ~い!」


自分のことを天才だとかインフルエンサーだとか述べる世間的に見ると痛い奴。フィニア・ツバキ。

こいつはいわゆる動画投稿者という者であり、世界中、というか宇宙中で人気のある存在の1人だ。

そんな彼女は俺がこの世界でもしもの時があったときのために集めた逸脱者という存在の中の1人であり、情報操作などを主に担当してもらっている。


「じゃあ、いくつか情報発信局とか動かすからこれだけで支持率は大きく変わると思うよ」


「そうか。だが支持率だけではなく………」


「……………にゃぁ~るほど、りょっ!そっちも動かしておくね」


彼女はいくつもの市民たちへ情報を届ける媒体を手中に収めている。

元は動画投稿だけで活動していたのだが、そこから出した利益で少しずつメディア界を侵略していったのだ。


「あっ。そうそうゴトちゃ」


「ん?どうした?」


「この間のドワーフの星の映像ありがとね。めちゃくちゃあれでまた再生数取れたし登録者も増えたんだよね」


「あぁ。それか。たまたまだから気にすんな。というか、感謝するなら撮影者のティアの方にしてやれ」


「ん。もっちもっちティアシィちゃにも感謝してるよ?気づいてるかわかんないけど感謝のラブコールを送っといたし。でも、やっぱり許可を取ってきてくれたゴトちゃにも感謝すべきだし?」


ドワーフの星の映像。それを公開したことでフィニアはまた人気を得たらしい。

ただしその映像の撮影者はフィニアではなく、逸脱者の1人である技術者のティア。本名ティアシィ・オレンジ。

気難しい人嫌いだが才能があるためモノづくりに関心の高いドワーフとは仲良く(?)なれて、あまり世間には流れていないドワーフの星の映像というのを撮影することができたのだ。


ではそんな映像で人気を得たフィニアが、特ダネがない普段はどんな動画を撮影しているのかと言えば、


「あっ。ここだよここ!噂には聞いてたから1回食べて見たかったんだよねぇ」


俺にそんな言葉を告げて彼女が指さすのは1軒の店。

そこの外装がまた古臭い感じで、ありもしないはずの歴史を感じさせた。そして、そんな店の看板、というか店の前のホログラムにはでかでかと、


「スライム踊り食い!」


「………………やりたかったのか?」


「うん!」


フィニアの持つチャンネルの名前。

それは、『宇宙の奥地に行ってみた』

どこかで聞いた覚えのある名前だが、その名前の通り宇宙の奥地というか、人が知らないような秘境や店などに行ったりするのがメイン。


ただ、1番人気のある動画はやはりいろいろな国や星の様子を撮影したというだけの動画だな。

普通の動画ではあるのだが、このチャンネルは撮影協力者が多い(俺や他の逸脱者のコネもあるため)ので他のチャンネルとは比べ物にならないほどの数の動画が取れるのだ。

様々な星々や国々の違いというのを感じさせるそういった動画は宇宙中で非常に人気なのである。

特に言葉などは分からなくても、風景だけで楽しめるのだから。



「………では、行きます!スライムの踊り食い!!」


そして、こういったよく分からんゲテモノ食いも意外と人気があるらしい。

実際食物なんかは場所によって大きく違いがあるし、文化を知るには非常に良い動画ではあるだろう。


「ん~ん~………………………………あっ。核砕いちゃった」


フィニアがスライムのすべてがつまっていると言ってもいい核をかみ砕いしてしまい、一瞬にして食べていたスライムが液体のようにして落ちていく。


「あぁ~。失敗失敗……………でも大丈夫!まだまだスライムはお代わりがあるからねぇ!」


失敗とは口で言いつつも大して反省もしていなさそうなフィニアは、2体目のスライムを食べ始める。食べづらいし顔や首元などが汚れるものの、プロらしく一切気にした様子もなく満面の笑みで食べ続けていた。


………………この様子からメディア業界を牛耳ってるのなんて予想できないよなぁ。

変なしゃべり方のキャラで誤字かどうかわかりにくいですよね。ごめんなさいw

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