表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/244

32.2人の思惑ですけど何か?

《sideセシル》


「今回殿下が亡くなられたことにより、我が家が貴族の中でトップとなった」


「ええ。そうですわね。他の公爵家は軒並み失墜。就任式でダリヤに婚約を申し込んだりして再起を図るつもりでしょうけど、今までのかかわりを見る限りダリヤが申し出を受け入れるとはとても思えませんわ」


ことの発端は殿下がなくなって帰ってきた後。

お父様とお話している最中に、


「しかし、ダリヤ様が断ると次に選ばれるのは」


「私ですわね」


私の婚約者の話になりましたの。

私としても殿下と婚約していた時点で恋愛結婚なんて求めておりませんし、お家のためには致し方ないですわ。


「うむ。相手も公爵家なわけだし全員と婚約するということも可能であり有効な手立てだ」


「ええ。そうですわね。非常に嫌ではありますが、家のことを考えればすべての公爵家と縁ができるというのは重要なことなのですわ」


「その通りだ。しかし、いま本当に必要なのは他家とのつながりか?」


「と、おっしゃいますと?」


私としては例の顔だけは良い頭の緩い他家の連中と婚約することになるのを覚悟しておりましたが、雰囲気が変わりましたの。そして先を促してみれば、


「せっかく我が家で一強という立場が得られるというのに、わざわざその力を他家に分ける必要があるのかと思うわけだ」


「はぁ。しかし、相手も公爵家ですし、支配領域で言えばかなりのものですわよ?あれらをまとめる必要があるのではなくて?」


「昔はそう思っていた。が、今はその必要もなかろう」


お父様は首を振られる。

もう貴族たちを無駄に束ねる必要はないと考えたようですわ。

なにせ、


「今回ダリヤ様が国王として即位なさるのを、あの伯爵が了承した」


「伯爵が、ですの?」


あのとまで言われる伯爵と言えば、ローズ家の伯爵ですわ。

清き天才美貴族とまで呼ばれる彼女は、国内国外問わず様々な弱小貴族たちを束ねて1つの大きな派閥を作り、様々な場所へ影響力を持つ存在。

それが協力してくれるというのならば雑多の貴族などいてもいなくても関係ないほどであり、


「貴族以外に影響力を今後は持ちたい、ということですの?」


「うむ。その通りだ」


貴族以外に目を向けるならば、商人や軍人。

そのあたりとの婚約になるのだと思われますわ。そう考えると1番最初に思いつくのであれば、


「もしかして、」


「そう。少将だ。彼ならばタチバナ奴隷商会につながりがあり、将来的な軍への影響力もあり、ドワーフの技術を学んだ技術者とつながりがあり、そして貴族界でも耐えられる。セシル。次のダリヤ様のための式典で、彼へ婚約を申し込むのだ」


そういわれて真っ先に思いつくのは、フィネークのこと。

彼女の恋を私はこれまでずっと応援してきたし、ここで私が少将に婚約を申し込めば裏切ったことにならないか。と考えましたわ。

さらにそれと共に、


「少将は女好き、とまでは言いませんけれども関係のある相手は多いですわよ?私、少将以外と結婚できなくなりますけど構いませんの?」


「構わない。婚約している相手がいたとしても平民だろう。セシルが正妻となれば、それですべてを握れる」


「な、なるほど」


そこまで言われれば、私に断る理由がありませんでしたわ。

あの顔だけが良い侯爵や王子とは違い、少将も性格はそこまで悪くありません。

べ、別に好きなんてことはありませんけど、一緒にいて楽しいかとは思うのですわ。


ですから、


「私を、選んでくださいますわよね?」


ダリヤも少将へ婚約を申し出てきたわ。

しかし、私の方が早く申し込みましたの!

ダリヤとは友人ですけど、ここで譲る気はありませんわ!少将の正妻の座は、私が頂きますの!





《sideダリヤ》


私に何が足りないかと考えてみれば、最初に思いついたのは貴族とのつながりというものでした。

今まで兄様の嫌がらせや妨害などもあり、私を支持する貴族たちとあまり深くかかわりを持ててはいません。これから深く知っていく必要があるのです。

さらに兄様を支持していた家というのも多く、私の支持をする数というのは圧倒的とまでは言えません。


しかし、私にはセシルという友人がいますし、公爵家1家は確実に私の支持に回ってくれる。他の公爵家は力を急速に失っていますし、それを補うように、あのローズ伯爵が私を支持してくれると名乗りを上げてくれました、

素直に信用していい相手では決してありませんが、貴族と急いでつながりを作る必要はないでしょう。


「と考えると、婚約者は無理をして位の高い貴族にする必要もない、ですね」


派閥のつながりを強くする意味でセシルの家や伯爵家の人間でちょうどいい相手がいればその方でも良かったのですが、残念ながらそのような相手はいません。

私自身民衆からの支持率が高いことを考えると民衆に人気があるものと婚約する必要もなく、


「豪商。芸術家。役人…………そして、軍人」


婚約者を探すにあたって職業の候補をあげていけば、ぱっと私の頭に思い浮かぶ人がいました。

しかしその人は、友人であるフィネークの思い人。

さらに、いろんな方と関係性を持っています。


「国王となったときに結婚相手が1人というのも、あまりよくはないのですが………」


見栄えなどいろいろな理由があり、できれば国王として結婚相手は複数持ちたい。

そんな気持ちもありました。


しかし、長く考えた末、


「どう考えても、複数人と結婚したところであの人の将来性は超えられないんですよねぇ」


将来得る軍人としての立場。そして、いまでもわかる様々なつながり。

それらを考えると、彼1人と結婚することで得られる利益を複数人と結婚してもなかなか超えられません。も、もちろん私の色眼鏡なんてものではありませんよ?

ならば、こうなってしまえば腹をくくって、


「私を、選んでくださいますよね?」


私の申し込んだ相手には、セシルも婚約を申し込んでいました。

しかし、友人と言えどここで譲るわけにはいきません。私には次期国王という立場があるんです。

ここで正妻の立場を勝ち取り、この国へ栄光をもたらすのです!!

そこに恋愛感情は………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ