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30.これから問題ですけど何か?

皆様、地震や津波等大丈夫でしょうか。

被災された方々の気を紛らせる手段や暇潰しに少しでもなれば幸いです。

王子が消えた。

これが俺たちの艦隊へ与える影響は大きい。


「えぇと、私が国王になる場合ですけど、派閥をまとめる家って」


「私の家になりますわね。今の落ちぶれ具合から考えれば、大出世ですわ」


ダリヤのことを支持している家の中で現在1番位が高いのがセシルの家になる。

セシルは婚約者になっていたが、家としてはあまりうまくいっていなかったので乗り換えたのだ。

王子でもダリヤでもどちらになっても家が存続できる状態になっているともいえるので、そこはずるがしこいな。


「落ちぶれ具合って、ドワーフの件があってからセシルの家は刺激しづらくなってたじゃないですか」


「それはそうですけど、このまま殿下が国王になっていればかなり力をそがれていたはずですわ。ゆくゆくはドワーフとつながりがあるだけの小さな家になっていたと思いますの」


「かなり先の話でしょう?この間の決闘で側室や愛人も作りづらくなったんですから、正妻の実家への影響なんてたいしてないと思いますけど………まあ、それはいいとして、ですよ」


セシルの家の話になっていたが、ダリヤがそれを終わらせる。

それから、本題へと入ることになる。


「これから先私たち、艦隊に残ることってできないですよね」


「あぁ~………………………………あっ?」


セシルはしばらく固まった後、今気づいたという顔になる。

ダリヤが言うように、ダリヤやセシルを追放したかった王子がいなくなったことに加えて立場がかなり高い物へと変わるため、2人はうかつに戦場になんて出られなくなってしまう可能性が高いのだ。


「せ、せっかくここまでやったんですのよ?それを、手放さなければなりませんの?」


「そうするしかないでしょう。というか、そうさせられてしまうでしょう」


「専用機を手放すことになるんですのよ?」


「それでも、です」


ここから出たくないとどうにかできないか焦り考え始めるセシル。そしてそこから出てくる意見をことごとく無表情に否定するダリヤ。

一見すると冷たいようにも思えるが、よく見て見ればその表情はいつもより暗く、体もかすかにふるえていた。




「………………ふむ。そのあたりのことは私にはよく分かりませんが、ひとまず殿下もなくなられたことですしこれからの行動をどのようにするか決めたほうが良いのでは?」


「あっそれもそうですわね。少将の言う通りですわ」

「すみません。焦ってしまいました……とりあえず戻ってもいいかもしれませんね。兄様が結果はかなり出してくれましたから、これ以上私たちが何かする必要もないでしょう」


いったん2人を俺が止める。

目に見えて荒れてはいなかったが、2人とも精神的に不安定になっているようだったからな。一度現実に引き戻して目先の問題へ意識を向けさせたんだ。

そうして一度現実に引き戻されると、


「じゃあ、帰りましょうか」

「お父様に相談しなければなりませんわねぇ~。面倒ですわ」


いつもの空気が戻ってくる。

たとえそれが無理矢理作り出したものだとしても、先ほどまでの息が詰まるような雰囲気よりは何倍もましだ。



そうして帰ってみれば、


「フィネーク。大丈夫だったかい?」

「フィネークおいで。僕の、胸で泣いていいんだよ」

「悲しいだろう?俺たちときて、あいつの思いを継いでやらないか?」


「あっ、皆さんも殿下のことご存知なんですね」


俺たちの前に、というかフィネークの前に現れ訳知り顔で話しかけてくる攻略対象達。

彼らの話を聞いてみると、どうやらフィネークが王子の死を悲しんでいると思っているようだ。そんなフィネークを慰めようと思っているらしい。


「皆さんありがとうございます。ただ、しばらくは1人にさせてください」


「ふふっ。ふさぎこまないで」

「大丈夫だよ。僕の前でなら好きなだけ泣いていいんだから」


「いえ、1人になりたいので大丈夫です」


「いやいやいや…………」


フィネークはきっぱりと断るが、それでも絡もうとしてくる。

王子がいなくなってもこいつらは面倒くさいままなのか。フィネーク、ご愁傷様……なんて思っていたんだが、



数日後


「ダリヤ様。どうか私の手を取って頂きたい」

「僕と一緒に素晴らしい国を作っていこう」

「君を支えられるのは俺だけだ。ダリヤ様、君を後悔させたりはしない」


そういって手を差し出す数人のイケメン(攻略対象)(顔は)の姿が。

手をさしだす先にいるは、フィネークではなくダリヤ。


「うぅ~ん。私、愛というものが信じられなくなりましたわ」


「え?セシル様って信じていたんですか?」


「フィネーク。それはひどいですわよ。私だって愛は信じていますわ。ただ、殿下への愛がなかっただけで」


そんなダリヤと攻略対象の様子を遠くで眺めながら話をするのがセシルとフィネーク。

その体にはドレスを纏い、手にはワイングラスがある。


「しかし、ダリヤが次期国王として確定となったらこれですのね。醜いですわぁ~」

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