表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/244

29.判定ですけど何か?

王子の機体の反応が消滅。

そんな報告が部下からなされた。


「それは、本当ですの……」

「い、いったい何があったんですか?」

「さっき見た限り、殿下の周りに殿下が対応できないほどの敵がいたようには見えなかったんですけど」


困惑するのは俺たちだ。

話す内容はふざけまくっていた(一部非常に真剣)とはいえ、これでもかなり真面目に俺たちが仕事をしていたんだ。王子がどんな状況になっているか常に確認していたし、そこまで危機的な状況ではないのが分かっていた。


「これに関して護衛から何か言われていないのか?」


「来ていません。護衛艦の方も認識はしていると思われますが、何も今のところ反応がないです」


護衛側の反応がないというのなら本当にマズい事態なのかもしれない。というか、反応が消える時点でマズいのは間違いないのだが。

それでも護衛側の反応が遅れているのは、俺たちに何か指示を出すのかも迷うような予定外の事態になっているということであり、


「あとどのくらいで全て片づけ終わる?」


「かなり数も減らせましたし、あと3分といったところです」


「そうか。では1分間で削れるだけ削って殿下が失踪された場所へ向かう」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


部下たちが緊張した面持ちで頷く。


終わるまでに状況を整理しよう。

王子は確かに敵の接近を多少許してしまってはいたが、確実にミサイルを放てば相手を消せる距離だった。

たとえ防御力なんてものを忘れたあの専用機であっても、数十発は攻撃されたところで耐えられるはずの距離だ。

だというのに、敵に攻撃することすらなくその反応が消滅した。


「いったい何が………」


王子もこれまで準備は重ねていたし、訓練も一通り行っていたはずだ。

多少攻撃されれば焦ることはあるかもしれないが、数十回の攻撃を受けてなお落ち着きを取り戻せないほどの状況ということはないはずだ。

となると、


「敵に攻撃射程の長い戦闘艦がいた、か」


「なるほど。ありえますわね」

「それなら確かに納得できますね。あの距離でも最低限の威力を出せる射程のある戦闘艦が相手なら、防御力の低いあの専用機では耐えられないでしょう」

「で、でも、殿下も攻撃する余裕は十分にあったと思うんですけど」


フィネークが言うように、時間自体は存在した。しかしそれが何かしらの要因で焦ったりしてなくなったのであれば、先に攻撃されてしまったということも十分にあり得る。


などと真剣にあり得そうな予想を立てたのだが、


「護衛艦からの通信です!」


それは予定していた1分が過ぎ、俺たちが王子のところへ向かい始めたというころ。

今まで反応のなかった護衛艦からやっと通信が送られてきた。

そこで明かされるのは俺たちにとって衝撃の事実であり、


「で、殿下の死亡が判定されたようです」


「「「「死亡が、判定?」」」」


判定って何やねん!なんで近づいてもないのに死亡してるってわかるんや!

と、似非関西弁風に〇ー1に出れそうな感じで頭の中ではツッコミが起こるのだが、


「あぁ~。おそらくあれですわね。王族とか貴族は体にいくつか装置が取り付けられていて、死亡しているかどうかが分かるようになっているんですの」


「そのデータ自体は王宮機関の一部でしか確認できないようになっているので、おそらく護衛艦はそこから叱責なり何なりを受けたのでしょう。そこで死亡判定というのが告げられたのかと」


何やら王族貴族には捉え方によっては恐ろしい装置が植え付けられているようだった。

これは俺も知らなったな。伯爵からも聞いたことがなかった話だ。あいつは話さなかったのかそれとも知らなったのか……。


あっ、ちょっと待てよ。こうなると、


「ん?殿下がお亡くなりになったということは」


「ことは、何ですか?少将。私を見て」


俺は王子が死亡したことから連想できる事柄を思いダリヤに視線を向ける。

彼女がもともとこの艦隊に来た理由や、その後に起きた活躍などを考えれば、


「ダリヤ様が、次期国王の第1候補となるわけでしょうか?」


「「「「……あっ」」」」


現在王子とダリヤは政治的な支持率は接戦。というか、国民人気で言えば圧倒的にダリヤの方が高い。

それでもどうにか王子は貴族たちに働きかけたり取り巻きがいろいろしたことでどうにかその立場を維持していたのだが、


「殿下という存在がいなくなった今、もう取り巻きもまとまることはないでしょうし」


「もうほかの候補に賭けるにしても、賭けられるだけの資産なんて残ってないでしょうからねぇ」


セシルがダリヤを見て、その視線を受けたダリヤが笑う。

そして、


「私、国王になっちゃうかもしれませんね」


何でもないことのように言ってのけた。




「「「「………………………ええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!??????」」」」

今年1年ありがとうございました!

また来年もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まあこうなるよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ