28.良くない流れですけど何か?
昨日別作品にこれ投稿しちゃってました(土下座
フィネークが墓穴を掘って部下たちがそれを支えだしたので雰囲気が面倒なことになってきた。
ここで俺が返事をしないと責められそうな雰囲気、とでも言おうか。
「訓練生……」
「あ、あの。少将、いや、ゴトー君!私のこと、さっきみたいにフィネークって呼んでくれませんか!」
うわぁ~。やってきやがった。
せっかくうやむやにして誤魔化せそうだったのに、部下たちがいろいろと言ったせいでフィネークが熱を持ってしまった。
ここまではっきりと言われると困るんだがな。
王子のこともあるから問題しかない………………………………はぁ。
「訓練生」
「っ!」
俺の言葉を聞いたフィネークは息をのみ、悲しげな表情をする。俺が彼女の名を呼ばなかったのだから。
部下たちはそんな俺を責めるような目で見てくる。
だが、俺の対応は当たり前だろう。
「仕事とプライベートは分けるように」
「っ!そ、それって!?」
また息をのみ、今度は一転して表情を明るくする。
そんな彼女の頭を俺は撫でた。
「しょ、少将っ!?あの、その、これはぁぁぁ///」
「あまり無理はするな。挑戦するのは自由であり大切なことだが、若いんだから周囲に流されず自分を大切にするように」
「あ、あの、あの、えと………………ひゃ、ひゃい/////」
顔を真っ赤にして俺に撫でられ続けるフィネーク。完全にされるがままだ。………この感じ、乙女ゲーだと俺は年上のお兄さん系攻略対象だろうか?学園が舞台だと上級生だったり教師だったりがつくポジションの。俺は上司だし、役割的には間違ってないな。
「………さて、変な雰囲気を作ったお前たちは後で始末書を書くように」
「「「「えぇ~」」」」
不満そうな部下たち。だが面倒な展開にしてきた訳だし、そのくらいはしてもらわんとな。
上司権限で強制的に反省させてやる。
なんて思って1人勝ち誇ったような気になっていたのだが、
「あっ。では私はそれを免除ということにしますわ」
「「「「ありがとうございます!隊長!!」」」」
さらなる権力により無効化されてしまった。おのれセシル!
できるだけ恨みを込めないようにしながら俺がセシルへ視線を向けると、勝ち誇ったような顔をされた。少しイラッとしたぞ。
「いや~さすがは隊長!そこに痺れる憧れる!」
「よっ!隊長!世界一!!」
「器が違うぜぇ!」
部下たちは調子に乗って騒ぐ。前世の頃にやった宴会みたいなノリだ。とてつもなくうざい。
………しかし、本当に面倒なことになったものだ。これ以降フィネークは今まで以上に積極的になるだろうし、王子や攻略対象たちにどう隠していくかが問題になってくる。
いっそのこと王子たちが他国に行くなりしてしばらく関わらないようになれば楽なんだがな。
なんて、思ったからだろうか。
「き、緊急通信です!殿下が単独行動を始められたということです!」
そんな事態になった。
王子が護衛などを無視して勝手な行動を始めたのだそうだ。
「とはいっても、殿下の機体の速度で護衛を置いていくというのも無理な話だろう」
「通常であればそうなのですが、殿下の攻撃から逃れた残党が護衛の数を越えているようでして」
だから王子がフリーになってしまったということらしい。護衛たちも大慌てだろうな。
そこで俺たちにも協力の要請がきたのだが、
「無理ですわね」
「ですねぇ。兄様も単独行動するのならもっと安全なところでやればいいのに」
「私たちの方にも敵来ちゃってますし、対応は無理ですからね」
3人娘は呆れ顔。俺たちは俺たちで敵がいるんだよな。
敵にも王子の情報はすでに流れているようで、攻撃範囲から離れる戦闘艦が多いのだ。そのため最初に王子が活躍していたときより撃ち漏らしも多く後方にいる俺たちですら戦わなければならなくなっている。
「あれだけの威力の攻撃ができるのだから、あまり危険はないのでしょうけど」
「1回くらいはひやっとすることもあるかもしれませんし、多少は軍人のことも理解できるでしょうか」
「そうなってくれると良いんですけど。ついでに私のことも諦めてくれれば」
「「「「それは無理でしょ」」」」
「そうですか……」
さすがに無理があることをフィネークが言って、全員から首を振られたな。
露骨に落ち込んだような様子を見せている。ただ、
「ほら、少将。フィネちゃんが落ち込んでますよ」
「誰かフィネちゃんを慰める人が必要だと思うんですよねぇ」
そんな部下たちの言葉と、チラチラと向けられるフィネークの視線。また変な流れができてしまっているな。
ここで流れに乗るとこれ以降も同じような流れになってしまうだろうし、
「真面目に仕事をしろ。緊急通信まで来ているというのにこのような状態だったことを知られれば処罰対象だぞ」
あまり心配することはないとはいえ、あまりにもひどい状態が続いていると上から判断されれば怒られてしまう。
絶対にそれは避けたい。
「はいはい。すいませんでした~真面目に頑張り、………………うぇ!?」
部下の1人がふざけたように謝りつつ仕事を継続したのだが、そこで急に変な声を出してきた。
こういう時って大概ろくなことが起こらないのだが、
「え、えぇと。殿下の機体、反応が消滅しまし、た?」
「「「「………………………………………………………はぁ!?」」」」




