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23.認識が違いますけど何か?

『やぁフィネーク!会えてうれしいよ!』

『こんな危ないところで君を1人にはさせたくなくてね。ついてきてしまったよ』

『………俺に君を守らせてはくれないか?』


「あ、あははっ。私もお会いできて光栄でございます」


歯の浮く言葉を並べる攻略対象達に、フィネークは引きつった笑顔を浮かべている。

早く終わらないかとか考えていそうだ。


『こんな通信じゃなくて、現実の君と会って話をしたいんだけど』


「も、申し訳ありません。私も本番前は調整で予定が詰まってまして」


『そうなの?そんな面倒くさい事なんて放っておいて、僕と遊ぼうよ』

『楽しくないだろう?息抜きになると思うぞ』

『基地だから遊べる場所はないけど、ちゃんと遊べるものは持ってきてるから。部屋に来ていいよ』


「す、すみません。私もセシル様やダリヤ様とも訓練の約束をしておりまして。それに、私自身も命がかかっているものですので訓練はしたいと言いますか」


少しフィネークの声色が変わるのが分かる。これは少しイラっと来ている時のやつだ。

訓練を軽く言われたからキレそうになってるんだろうな。だれしも命を守るために必死にやっていることを馬鹿にされれば、イラつきもするものだろう。


『まあ、命がかかってるって言われたら仕方ないけどさ』

『それなら戦場なんて出なければいいのに。軍人なんていくらでもいるんだからさ』

『そう。フィネークが戦う必要なんてない。俺と一緒にゆっくりしていればいい』


「ハ、ハハッ。ドワーフの方に専用機まで作ってもらっている身ですので、さすがにそういうわけには」


どんどんフィネークがいつもとは違うベクトルでストレスがたまって機嫌が悪く成っているのが分かる。あいつら地雷踏みまくってるな。どうしてこれで女子たちから人気があるのだろうか。

不思議でならない。


『おっと。そろそろやり取りを終わらせないといけないみたい。名残惜しいけどいったんさよならだね』

『また明日も連絡するから待っていてくれ』

『いつでもきていい。待っているから』


いったん時間が来たとかで、通信が切られる。こっちへの確認などなく、一方的に切断されたぞ。軍の船だからってなめられているのだろうか?

………まあでも、フィネークが限界に達するまでに終わってよかった。


「………少将(じょうじょ)ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!何なんでずがあの人だぢぃぃぃぃぃぃ!!!!!!人のごど馬鹿にじでまずよねぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


通信が切れて解放されたフィネークは、怒りのこもった声と共に俺へと抱き着いてくる。

なだめるのにかなり時間がかかることとなるのだった。


「あいつら絶対ぶっころして」

「おいやめろ。それはまずい」


「あっ。すみません」


かなり危うい発言が出るのを抑えなければならないくらいには大変だった。フィネークもあんなこと言うんだなって感じだ。

さすがにその発言に関しては周囲も驚愕していたぞ。セシルやダリヤからはあまり他人への悪口を言わない清楚な認識をされていたし、ほかの隊員たちからはかわいい妹分みたいな認識をされていたのだから。

今までのイメージとは違い過ぎるだろう。


たださすがにそれで注目が集まってしまってフィネークの居心地が悪そうだから、話題を変えてやることにしよう。


「大変ではあるが、考えようと使いようによってはこの戦線にとって大きなメリットをもたらしていただけそうだな」


「ん?そうなんですの?」


フィネークの発言が気にはなるもののさすがにかわいそうだと思ったのか、セシルものって来たな。

これでやっと会話の流れが作れて、フィネークへの注目も減った。


「それぞれの方々に護衛としてかなりの数の艦隊がついてきていますし、単純に戦力に考えるととてつもないものとなります。恐らくこの数ですから敵側も認識しているでしょうし、こちらを警戒していると思われます」


「なるほど。警戒は間違いないでしょうね………と考えると、計画していた動きから変更したほうが良いのでしょうか?」


セシルに続いてダリヤも参加してきた。

友達思いのいい奴らだな。


「いえ。計画は事前に立てたもののままでよいかと。今から調整するのは難しいでしょうから。ただその計画で予定以上の戦果を挙げられる可能性があるというわけです」


「と言いますと?」


「敵は計画通りにこちらが動いても、基地側にまだいくつもの余剰戦力が残っていることが分かっています。こちらの動きを牽制という認識で対応してくるでしょう。そうなれば確実に、こちらへ対応する敵の種類が変わってくるはずです」


「………ふむ。普段の戦いであれば確実にこちらと真正面から戦って数を減らしてこようとするでしょうが、牽制への対応となると無理に落とそうとはせず弾き返そうとするでしょうか?」


通常敵が襲ってくれば、当然お互い攻撃を繰り出して数を削りあうことになる。できるだけ数を減らしたいという思いがあるはずだ。

しかし敵側が後ろにまだまだ戦力を控えさせていれば、無理に敵を沈めようとは思わない。それよりも敵が全軍で攻めてきた時に備えて損害を最小限に抑え、援軍が来るまで耐え忍ぼうと考えるはずだ。


「そのため対応に当たるのが防御力が高く、機動力の控えめな船になるかと」


「おぉ!それは!」


「「「得意分野です(わ)ね!!」」」

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