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17.強制力かもですけど何か?

そろそろ1つ連載しているものが終わるので、新しいのを執筆する予定です。

VRMMO系になりますので、ぜひご興味あればよろしくお願いします。

「フィネーク嬢を解放しろ!!」

「殿下との決闘を無効にしろ!」

「不正が許されると思うな!」



「「「………はぁ~」」」


3人娘がそろってため息をつく。

公爵家の客が来ているとかいうのでセシルの実家関係かと思ってきてみれば、待っていたのはセシルたちと同じくらいの年齢の少年たち。それも、それぞれ違った公爵家だったりするところのやつらだ。

言ってしまうと、乙女ゲームの攻略対象達だったりもする。


そんな彼らが要求するのは、フィネークの解放と王子との決闘の無効化。

セシルは不当にフィネークを拘束し奴隷のように使っている挙句、卑怯な手を使ってフィネークを開放しようとしていた王子を決闘で負かしたということになってるらしい。

決闘で実際に卑怯な手を使ったのは王子であるにもかかわらず、だ。


なぜこうも、この世界の実際の攻略対象達は頭が足りてないところがあるんだろうな。

せっかく顔はいいのに。


「何とか言ったらどうなんだ!」

「そうして沈黙しているのが、罪を自覚している証だろう!」

「いかにお前が民衆を操ろうとしたとしても、お前の罪が消えることはないと思え!!」


耳がキンキンする。正直すぐにでもこの場所から追い出してしまいたいのだが、さすがに公爵家の人間相手にそれは無理だな、残念だ。

セシルはセシルで俺と同じように面倒に思っている様子で、


「はぁ~。あなたたち、先ほどから決闘がどうとか言っていますが、審判も殿下も結果が出た後に抗議はされてなかったんですのよ?審判も本人同士も文句がなかった神聖な決闘であったというのに、あなたたちはそれを汚すつもりですの?」


「なっ!汚すも何も、最初からお前が汚していただろう!」


「だからそこはお互い何も言わなかったし、審判も何も言っていなかったでしょう?本人と審判が何も言わないのであれば、決闘がけがれているとどうして言えますの?あなたたちは貴族としての常識をお持ちでないのかしら?」


「うぐっ!」


セシルの反論で攻略対象達は言葉を詰まらせる。

セシルが言うようにこの世界でも決闘が神聖なものという常識は存在していて、部外者が騒いでいても本人たちが何も言わなければその決闘は正当なものとして扱われるのだ(おかげで八百長も多い)。どちらかと言えば本人たちが何も言っていないのに部外者が決闘の結果を否定するようなことがあれば、それは神聖な決闘への侮辱に近い。そちらの方が罪なのである。


「軍艦ですから、常に会話のデータは取ってありますわ。今の発言、上にあげても構わないんですのよ?」


「なっ!?ひ、卑怯だぞ!」


「卑怯?言いがかりをつける下賤な輩を相手にするには手っ取り早く都合のいい手段ですわよ?」


「下賤だと!?ぶ、侮辱だぞ!」


「先に私だけでなく貴族の常識すら侮辱したあなたに言われたくはないですわ」


「ぐぬっ!!」


完全にセシルにやりこまれている。

悪役令嬢に集団で戦いに行っているのに口ですら負ける攻略対象達って………なしだよな。なんか頭足りてないような感じだし、おそらく攻略したいと感じるやつは多くないだろう。

いや。顔がよくて地位があるならそれでいいとか思うなら別かもしれないが。


ただ、フィネークは顔と地位だけで選ぶタイプではないらしく。

あからさまに「うわぁ。こいつら頭悪そぉ~。貴族ってこんなのなの?」みたいな顔で、嫌悪感全開になっている。

その視線を受けている攻略対象たちは気にした様子もなさそうだがな。

どちらかと言えば、口だけよく回る悪役令嬢に対して嫌悪感を抱いているのではないかと勘違いしていそうなほどだ。表情が輝いている。


が、当然、


「フィネークはどう思いましたの?」


「セシル様に反則があったようには見えませんでした。あと、私は真摯な方が好きなので、その………」


「「「っ!?」」」


攻略対象たちが目に見えて驚愕している。

この場合こいつらが何か色々と言ってフィネークを奪えたとしても、王子がそれを受け入れてしまえば王子は真摯ではなったということになる。そうなればフィネークにとって王子は好きになれない相手になるというわけだ。

無駄に恋愛感情を大事にする純情乙女みたいなこの攻略対象達にとって、王子の恋愛をそんな風にしてしまうのはやりたくないことだろう。


決闘で賭けたもののせいでどうしたってフィネークから王子が好かれることはない。

もしかするとどうにかして抜け穴を見つけられるかもしれないが、それもまた難しいことだ。

が、それならそれで都合のいいように使いたいというのが貴族らしい考え方であり、


「ふむ。であるならば、俺の婚約者になってみるつもりはないか?」

「いや、僕と」

「………僕でどうかな?」


それぞれが婚約者にならないかと提案をしてきた。

………急にフィネークがモテだしたんだが、これがシナリオの強制力というやつだろうか?

やっと乙女ゲーっぽく………?

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