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16.自爆ですけど何か?

とりあえずフィネークはセシルが沈めることができた。

となると残るのはダリヤなのだが、


「ふふふっ。逃げられませんよ。少将」


「さすがに専用機をこの数相手にするのは骨が折れますね………」


俺は絶賛苦戦中である。

機動力は断然俺の方が高いのだが、向こうは数がそろっている。的確に逃げる先に機体を用意してきていて、専用装備であるドリルで俺の船のシールドをゴリゴリ削ってくるのだ。

何とか機雷を駆使したりして数機は沈めることができているのだが、それでも数が多いというだけで厄介。

このままのペースだと、俺がすべて仕留めきる前に俺のシールドが削られて武装をはがされる方が早い気がする。


「隊長が来るまではひたすら時間稼ぎですか………」


こうなると俺にできるのは助けが来るまでひたすら粘ることだ。なのだが、あまりやることは変わらない。

ひたすら逃げて待ち伏せをどうにか対処してまた逃げて、みたいなループだ。

それでも囲んでくる機体の数は少しずつ減っていくが、俺のシールドも削られ、


「よし!これでシールド消失ですね!!」


「ふむ。さすがに耐えきれませんでしたか」


ついに完全にシールドを削り切られてしまう。

そしてそのまま、


「猛攻撃なんてさせてあげません!!」


俺の船の武装へと攻撃を仕掛けてきた。どうにか迎え撃とうとはするものの、さすがに向こうも手馴れているだけあって2機程度しか落とせない。

そうして俺の船はすべての攻撃手段を奪われて、


「油断されましたね?」


「え?」


俺の船にアラートが響く。船の大部分が被害を受けたというアラートだ。

船は主要部分がぎりぎりギリギリ残っているという状態。

では、油断したかと尋ねたのがダリヤで、俺が一方的に痛めつけられたのかというと、


そんなことはない。


「じ、自爆ですか!?」


「あらあら。全部巻き込まれてしまいましたの?せっかく私が追い付いて戦うつもりでしたのに」


船の内部にあった機雷を放出し、爆発させた。それに巻き込まれてダリヤの機体はすべて破壊されてしまったわけだな。

もちろん代償として俺の方もボロボロにはなっているが。


「………少将。さすがに自爆はだめだと思います」


自爆に巻き込まれて負けたダリヤが文句を言ってるな。

自爆というものが嫌なんだと思う。


「おや。何か問題がありましたでしょうか?」


「当たり前です。負けるのは仕方がないとして、自分から死んでしまうのはだめじゃないですか。自分や部下の命をそんな簡単に捨てるような作戦は許せません」


むっとした表情でダリヤは言う。

ダリヤの性格上味方の命を軽く扱うのは許せないというのは分かっていたし、当然ながら揉めないように言い訳もこちらは用意してあり、


「それは、味方に死人が出ているという場合のお話ですよね?」


「え?え、ええ。まあ、そうですね」


「ならば、こちらに人的被害が一切ないのであればどうでしょう」


「………え?」


ダリヤが眉を顰める。

だが、


「ま、まさかさっきの自爆!」


「気づきまして?ダリヤ。あの自爆、全て最低限必要な部分を避けて爆発させてますのよ!!」


「な、なんですかそれ!?」


俺が解説する前にセシルがどや顔で言いやがった。

俺も先ほど考えたように、ギリギリ残ってはいるのだ。武装も倉庫にある備品もすべて消し炭となったが、人が入るスペースと移動に必要な機能だけは残っている。

人が乗るスペースも確保していたから、死人も出さないことになっていたのだ。


「そ、それは納得するしかないですね」


「オホホホッ!ダリヤも少将の作戦に負けましたわね!やはり強いのはダリヤではなく少将なのですわぁ!!!」


「くぅぅ!!!」


悔しそうにするダリヤ。

いつの間にか激しいライバル関係が出来上がっているな。この2人がライバル関係になると成長度合いも高そうだな。

切磋琢磨という言葉が似合う。


そうして2人がじゃれあう中、


「あ、あの!じゃあ、私も少将と2人で戦ってみたいんですけど!」


フィネークがそんなことを言ってきた。

2人が俺とそれぞれタッグを組んでいたから、自分だけ組んでいないというのも嫌なんだろうな。

あと、純粋に俺と2人で何かしたいというのも気持ちとしてはあるのかもしれないが。

2人もその気持ちは理解できるようで、


「構いませんわよ!」


「少将のデータはここまで2つも取れましたから、次は負けません!!」


戦いは了承される。2人とも親指を立ててフィネークを応援しているような………うん。まあそれは見ないふりをしておこう。

それより、2人で組んで作戦を立てるのだが、


「た、隊長!」


「ん?どうしましたの?」


それぞれ分かれて作戦などを話し合おうとしたところで、部屋に部下が駆け込んでくる。

急いできたため肩で息をしているその部下は、


「な、何やら公爵家のお客様がいらしているとかで」


「え?公爵家?そんな話は聞いておりませんが………行くしかありませんわね」


客が来ているらしい。

さすがに公爵家と言われるとセシルも無視できず、


「ごめんなさいフィネーク。また別の機会になりそうですわ」


「………………はい」


戦いの中止を告げられたフィネークは、めちゃくちゃ落ち込んだ様子だった。

不憫である。

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