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13.いじめですけど何か?

《sideゴトー・アナベル》

「伯爵。かなり吹っ掛けましたね」


決闘から1日が経過し、俺たちはそれぞれ別れていた間に起きたことなどの情報交換をしていた。

そんな中、俺たちの下に入ってくるのが、伯爵が王子に専用機を譲ったという話だ。もちろんこうなる可能性は報告していたが、セシルたちも実際に聞くと驚いているようである。


「すごい条件ですわね。あの殿下が宙域を譲ってまで欲しがったなんて………」


「確かに威力はとてつもないですが、宙域との交換となるとかなり伯爵側の交渉が上手かったのだと思われますね」


「し、しかも、派閥同士争わないことにしてるんですよね?それって、殿下に渡した専用機の力がセシル様のお家の派閥に向くようにしているんじゃ」


「その可能性は高いですわね」


彼女たちからの評価は、伯爵が上手くやったというものだ。王子も脅威だと認識はされたようだが、どちらかと言えば伯爵を評価する割合の方が高いな。

実際あの王子に専用機を持たせてもかなり宝の持ち腐れな面が強いから。脅威ではあるが完全に警戒態勢を敷かなければならないというほどでもないという認識なのはわかる。


「殿下が戦闘機体の扱いが上手い者を使えば確実に殿下の派閥に英雄が生まれるでしょうが」


「それはないですわね」

「ないですね」


俺の言葉にセシルとダリヤは首を振った。

正直俺もないと思っている。


「え?そ、そうなんですか?そうなったらかなり大変なことになりそうですけど」


「それでもですわフィネーク。殿下は自分が良いものを持っていたら自分で使いたい気質なんですの」

「ええ。セシルの言う通りです。兄様が専用機なんてものをもらって、他人に貸すわけがありません。必ず自分で使うことでしょう」


「え、えぇ~。そうなんですか?………ち、ちなみに、殿下がセシル様のように戦闘機体を扱うのが上手いとか」


「「ないです(わ)ね」」


「………そうですか」


セシルが戦闘機体を扱えるのは家の方針によるものが大きい。ダリヤの話を聞く限り王家が戦闘機体の扱いを重視しているかというとそんなことはなさそうだから、王子が戦闘機体を扱えるということはないだろう。

これから専用機のために特訓をするはずだ。


「恋の力もありますし、訓練への意欲は高いでしょうが」


「あぁ~そうですわね。恋の力で」

「そうですね。恋の力で」


「ちょっ!?こっちを見られても困ります!」


フィネークは恥ずかしそうに首を振っている。

だが実際、俺の知るゲームの中の王子は恋の力で何かと乗り越えていたからな。決してポテンシャルは低くない。

頑張れば1月もしないうちにフィネークの腕くらいには追い付くかもしれないぞ。


「訓練生、追い越されないように」


「えっ!?そ、それ本気で言ってるんですか!?私そんな簡単に追い抜かれちゃうんですか!?」


自分もそこそこやれるという自信はあったようで、フィネークは不満そうに言う。

だが、


「フィネークは戦い方と機体の性能に助けられておりますからね」

「あと魔力関係の才能も、でしょうか。単純な操縦技術で考えると追い抜かれる可能性は高いでしょう」


「え、えぇ!!!???そんな………」


フィネークは友人の2人からも言われてしまい、がっくりと肩を落とす。戦闘機体の扱いが上手い2人に言われた分、ショックは大きいだろうな。間違っているとも考えにくいわけだから。

一応慰めてやる意味も込めて、


「多少の訓練であれば小官も手伝う」


そういって肩を叩いておいた、

単純に慰める程度のつもりの言葉だったのだが、


「ほ、本当ですか!」


「ではわたくしもお願いしますわ」

「うらやましいですね。私もお願いします」


予想以上に食いつかれてしまった。この間のフィネークの訓練でかなり戦ったしもういいかと思っていたのだが、まだ訓練を希望してくるとは。

うかつに手伝うとかいうべきではなかったな。ぬかった。

さすがに言ってしまえ撤回もできないため、


「かしこまりました。あまり長い時間は取れませんが」


「よぉし!じゃあ早速やりますわよ」

「はい!頑張ります!!」

「専用機が来てから初めてのシミュレーションですね」


時間があるときにでもと思っていたのだが、そのまま引きずられて行くことになってしまった。

しかも、


「え?全員専用機のデータで?」


「「「もちろんです(わ)!」」」


いじめである。

どれだけあの専用機が今まで使ってた一般機と性能が違うと思っているんだろうな。さすがに今回は俺も、


「なりふり構ってはいられませんね」


今まであまり使ってこなかった装備の数々。

例えば機雷なんかを、大量に使っていくことになる。


「わ、私のレーザーを機雷だけで!?」

「機雷というのはここまで面倒なものなのですか」

「専用機で囲んだというのにかなりしのがれてますわね。ですが!」


機雷でダリヤの機体のいくつかは落としたものの、その後あっけなく専用機の暴力によって俺の操る船は破壊されたのであった。

やはりいじめだ。

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