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2.依頼主との面会ですけど何か?

間違えて消してしまったので再投稿です。

一応残しておいてよかった………

「ゴトー君。君に1つ頼みたいことがあるんだ」


「……何でしょう」


俺の前に座るのは1人の貴族。

その顔には自信ありげな笑みが浮かび、余裕がありそうな雰囲気を醸し出している。階級は伯爵で、公爵ほどではないものの高位の貴族に当たる存在だ。

しかもこの伯爵は最近勢いのある貴族で、たった10年程度で男爵から伯爵へと駆け上がった天才としても有名。

巷では、『弱者の救世主』だとか『清き天才美貴族』なんて言う名で呼ばれている、


そんな伯爵からの俺への頼み事だが、


「なんかさぁ~。あのアホ王子、確保してた専用機を他国に奪われちゃったらしくてさぁ~」


「伯爵。一国の王子にアホとか言うのはやめてください」


「良いだろう別にぃ~。どうせ誰も聞いていないんだからさぁ~。ゴトー君ももっと楽にしていいからぁ~」


「仕事中です」


「いいじゃん良いじゃん。そんなに固くならなくたって。もっと私との再会を喜びなよぉ~」


「喜んでいます。ですから話を先に進めていただきたく」


なかなか話が進まない。

伯爵はソファーに横になってゴロゴロしながら俺と話をしていた。俺の方は背筋を伸ばしほとんど体を動かさずにいるというのに、あまりにもそれの前でするにはひどいだらけようだ。

というか、これのどこに清さと賢さと美しさがあるんだろうな。『清き天才美貴族』とか、この伯爵には貴族の要素くらいしかあってないぞ。


「おぉ~い。ちょっと?さっきから心の声が口から洩れてるんだけど?というか、そのあだ名って私が考えたわけじゃないんだからね?文句はつけた人に言ってもらえないかな。……まあ、私が美しいのは認めるしかないんだけど、さっ」


最後決め顔で「さっ」とか言ってきやがった。

イラっとしたので出されていた茶菓子を口の中へ投げ入れておく。


「もごぉ!?もごもごもご!!」


何か言いたげだが茶菓子が口の中にあるせいで何を言いたいのかさっぱり伝わらない。

俺はその姿を冷たい目で見つつ、手元に置いてあった依頼の細かい内容が書かれた書類を拾い上げた。


「ふむ。殿下が奪われてしまった専用機を取り戻したいと思っているものの、手持ちの戦力ではどうしようもない。そこで伯爵が助けるような形にすることでさらに自身の立場を安定させようとしている、ですか」


あの王子取り巻きとかたくさんいるくせに、専用機の1機も取り返せないらしい。

軟弱な集団なことだな。


「もがもがもがっ!……(ゴクンッ)いや、最終的な目的はそうなんだけどさ、その奪還の部分をゴトー君にお願いしたいというわけなんだよ」


「おや。伯爵は自分でできもしないことを他人任せでどうにかされようとしているので?」


「は、はぁ?できるが?できるんだが?本気出せばそのくらいゴトー君がいなくたって余裕なんだが?」


「なるほど。ではご自身で頑張って頂い」「いや待って待って待って。ごめんなさい嘘です。私じゃできません」


自分でやれと言って帰ろうとしたところで、さっきまでごろごろしていた伯爵がいつの間にか俺の腕に縋り付いて首を振っていた。

激しく漂う残念感。

この雰囲気は、逸脱者の1人でありモノづくりを担当しているティアシー・オレンジによく似ていた。

というか、


「契約者同士って、似るものなんですね」


「いや、なにそれ!??もしかして私とティアちゃんが似てるって言いたいのかい!?ひどいねゴトー君!私はあそこまでだらしなくて社会不適合で後先考えなくて見た目がダサくはないよ!ひどいよ!」


「いや、あなたの方がよほどひどいですよ。主に発言が」


ここまで気安く会話をしていれば分かるだろうか。

彼女、コトーネ・ローズ伯爵と俺は知り合いである。


そしてついでにコトーネは、逸脱者の1人だったりする。

主に権力を担当している。


「いや権力って何!?もうちょっと何かないの?こう………可愛い担当~、とか~(チラチラッ」


「ふっ」


「いや、ひどくないかい?今私とてもあざとくアピールしていたんだが?それを鼻で笑うだけなんて………」


コトーネは伯爵という立場の権力を持っている。だが、実際の強さはそこではない。

こいつは非常に横のつながりが広いんだ。

主に子爵や男爵といった低い爵位の者達と手を組み、強い連携を行なっている。そうすることで高い爵位を持つ貴族から自分たちを守れるようにし、さらにはそれすら超えようという動きまで見せているのだ。


「最近は国内の同じような境遇の貴族だけじゃ足りないって分かって、他国の貴族ともちょっと協力関係を築いたりしているよ」


「おや。そうなのですか。となるとしばらくは戦争の発生率も低下するかもしれませんね」


「そうだよ。それが私の成果……ん?もっと褒めてくれてもいいんだよ?」


かなり自分の成果に自信があるようで、ものすごいどや顔をして俺を見てくる。

とりあえずまた鼻で笑っておいた。


「ひどいよゴトー君。私は褒められて伸びる人間なのだよ?」


「そうですか。では、家臣の方にでもほめてもらってください」


「いやいやいや。うちの家臣はほら………………ちょっと面倒くさいから」


コトーネは目をそらしてそんなことを言う。

結局その後もしばらく雑談が続き、王子の専用機なんて言う本題に入れたのはかなり時間が経ってからのことだった。

書き忘れていましたが、新作書いてます。


悪役令嬢はさすがに無理がありませんこと?


です。ローファンタジーの悪役令嬢系です。

こちらは比較的広範囲を対象にした作品ですので、よろしくお願いします。

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