表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/244

1.懐かしい思い出ですけど何か?

俺たちの艦隊は英雄視されるセシルとダリヤがいる。

そこに専用機が加わったという話は国中にあっという間に広まりさらなる注目が集まっていた。

政府と軍は試運転で戦った映像を一部公開したものの、


「もっと活躍が見たいという意見が多いですね。私たちもこの気運があるうちに1度は戦場に出る必要がありそうです」


「ですわねぇ。あまりにも次の戦場が遅いとなると批判も集まるでしょうし」


市民たちの熱気は収まらず。逆に次への期待を余計に抱かせてしまう事態となった。

さすがに数日は整備やらで時間が必要だったものの、スピード感を持った対応が求められているのは事実。

さらなる活躍の必要があった。


「とは言いましても、どうしますの?どこかの戦場に参加しまして?」


活躍の必要はあっても、活躍する場所に悩む。セシルはそう言った様子だった。

彼女も現在の自分たちが戦場で他の仲間と連携しつつ戦うような戦い方を出来るとは思っていないようで、悩むのも仕方のない事である。

戦果を挙げるなら戦場へ行くことが重要であり、戦い方を避けるなら仲間と共に戦う戦場は避けるべきである。難しい判断を迫られていた。


が、


「あっ。それでしたら、時間稼ぎにいいものがありますよ」


「ん?何ですの?」


「実はいくつかの学園から臨時講師として来ないかというお話がいくつか来ていまして」


「あぁ。なるほど。まだ専用機のデータがとり切れていないから、宙賊の討伐と整備を交互で行いつつ、整備の間に学園で講師をするということでアピールができるわけですわね?」


「その通りです」


時間稼ぎ程度にしかならないが、悪くはないと思う。

データを取るため小規模な戦闘と整備を繰り返してますといえば市民から不審に思われてしまう。だが、整備の間も同年代の子供たちに戦場での体験などを伝えましたっていうのは、休んではいないというアピールになるし、反発も小さくなることが予想できる。


ただその場合懸念があるとすれば、


「艦隊がすべて宙賊との戦闘に参加する必要はないように思われるのですが」


「あっ。それもそうですわね」


「この規模の艦隊がその程度のために動くというのも微妙な話ですね。叩く良い口実になってしまいますね」


俺たちすべてがそろっていると叩かれる可能性が高い。

となれば、


「艦隊を2つに分けましょう。小官らは別行動をとり、こちらで任務を遂行してまいります」


「分かりましたわ。何をするのかはよく分かりませんが、頑張ってきてくださいまし」


ということで艦隊を2つに分け、セシルたちとは別行動をすることになった。

セシルたちの方についていくのは、ダリヤが来る時にもらった大型艦1隻とそれに加えて中型艦と小型艦それぞれ2隻ずつ。

宙賊を相手取るには十分すぎるといってもいいほどの戦力だ。


で、残りを率いて俺が何をするのか。という話なのだが、


「あの。少将あてにお願いというものが来ているのですが」


「お願い?誰からだ?」


「それが、どうやら貴族様のようなのですが…」


俺がセシルたちから離れるタイミングを見て。お願いという名の依頼が来た。

隊長であるセシルがいないから俺が好きに何をするのかは決めていいことになっているのだが、まさかこのタイミングで依頼が来るとはな……。


予定では適当な戦線にでも参加してそこそこの戦果を重ねておこうと思ったのだが、こちらの方が面白そうだ。


「では依頼主の元へ向かうか。隊長もいないし多少荒くても構わん。最高速度で行け」


「「「「イェッ、サー!」」」」


セシルがいないので、特に気を使う必要もなく。

いつもほど細かいところまで緊張した空気はない俺たちの艦隊が目的地へと向かって行った。


「まだ隊長が来てから1年たったくらいですけど、懐かしいですねぇ~」


「ああ。そうだな。隊長がいないことに違和感を感じるようになってしまった」


「アハハッ。隊長たちはにぎやかですからねぇ~」


部下と適当にそんな会話をして、俺たちはセシルたちが来る前の艦隊を思い出した。懐かしい限りだ。

あの頃も、というかあの頃は今以上に艦隊全体で危険を冒していたような気がする。


「隊長が来てからかなり安全面に気を付けてますからねぇ」


「あの頃は自分たちだけでしたから好きなだけリスクを冒せましたけど、今じゃ無理ですしねぇ」


リスクを冒すのが好きだという話ではないが、あの頃の方が敵の意表を突く動きができたような気がする。

数の数倍ある敵に突撃するなんて当たり前だったし、


「3倍以上いる敵に突撃したこともあったか」


「あぁ~。ありましたねぇ」

「あの時はどれだけ少将が短い時間で乗り込んだ船を制圧できるかっていう勝負でしたよ」


思い出話に花を咲かせる俺たち。

セシルやフィネークたちがいる空間とはまた少し違った雰囲気の空間が出来上がっていた。

懐かしい雰囲気で、これもこれで悪くはなかったと思えるものだ。

まあもちろん、今の空気も嫌いじゃないがな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ