30.すべて仕組まれてましたけど何か?
感想等返信などはできていませんが、きちんとすべて読ませていただいております。いつもありがとうございます(土下座
とか言いつつ、何気に感想開いたのは昨日が1月ぶりだったりするんですけどね(テヘペロッ!
「少し検証をする。離れろ」
「「「「イェ、イェッサー!」」」」
俺はこの空間の魔力に関する検証をしてみることにした。
もしこの空間で何か魔力関係に異常が起きているのだとしたら、さすがにフィネークがかわいそうだからな。
「小官が先ほど使用した魔法に関しては問題なかったが、魔力の制御能力の問題だろうか……」
俺が魔法を使った時には何の問題もなかった。違和感すらなかったな。
だが、それは俺の魔力操作などの能力が高かった可能性がある。これでもその辺のやつより圧倒的に魔力や魔法関係は能力が上だからな。
で、検証のためにはまずいつも通り魔法を使い。
そして、
「魔力を弱めて、そよ風」
ほんのそよ風。多少髪がなびくかどうかという程度の風を起こした。
先ほどいつも通り使った時にはいつも通りの結果が出たが、今回は、
ブオォッ!
「む?かなり強まったな。強化されているか」
間違いなく強化されていた。
周囲の反応も、
「ちょっと強すぎませんか?」
「この空間で使うにはどうかと思うような強さなんですけど」
「す、すごい風ですわね」
「何を検証してるのかはさっぱりわかりませんが、今の2つの魔法の差だけでも少将の魔法制御能力が高いことがよく分かりますね」
「え?今のでそんなことまでわかるんですか!?……少将もダリヤ様もすごいです。魔法って奥が深いんですね!」
俺の起こした風に差があるのは間違いないようだった。
となると、
「気をつけろ。魔法に関して何かしら干渉が起こるようになっている。極力魔法の使用は避けるように」
「「「「イェッ、サー!」」」」
まずは全員に魔法の使用を制限させる。それと同時に艦隊内でも同じ内容を伝えさせた。
船の内部でもいくつも魔力や魔法に近い技術を使う部分があるためかなり心配ではあるが、通常の人と比べれば圧倒的に制御能力が上なので問題はないはずだ。
ここから少しずつ時間をかけてこの現象を解析していくしかないな。
なんて、甘いことを考えたときだった。
ビィビィビィィー!
「ん?警告音?」
「っ!て、敵艦です!割り出されたコースでは、本艦へ突撃を行うような軌道になります!!」
「「「「なぁっ!?」」」」
まるで狙いすましたかのようなタイミング。
照明がまだ復旧しておらず、数人は目をやられていて使いものにならない。そして、魔法関連にも異常がみられる。そんな究極にまずい状況で、攻撃を仕掛けようとしてきたのだ。
こちらには向こう側の突撃を今から防ぐ手立てなど持ち合わせていない。明らかにこちらが不利だ。
「突撃予想時間、約20秒後です」
「早過ぎる。レーダー機能も知らないうちにやられていたのか?……まあ、良い。この旨を艦隊へ通達。各艦で備えるように伝えておけ」
「「「「イェッ、サー!!!」」」」
慌ただしくブリッジが動き出す。目が見えなくなってしまった者たちなどはほかの者に仕事を任せて邪魔にならないように隅の方へ移動したな。
良い判断だ。
「突撃は防ぎようがない。突撃を受ける位置を調整しろ」
「すでに作業完了しております!被害は最小限にとどめられる計算です」
「よし。ならばいい。突撃後の敵の対応は小官および白兵戦のできる者達で行う。それ以外は避難するように伝えろ」
「「「「イェッ、サー!」」」」
数人は武器を持ち俺に続くように待機している。基本的に俺が魔法を使用しつつ対応していく予定ではあるが、何か予想外のところから敵が出てくることもあるからな。
数秒後、アナウンスでカウントダウンが行われたのちに強い衝撃が俺たちを襲い、
「やれええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
敵側から大きな声が聞こえてきた。号令の声のようなそれは、まだ遠く離れた場所にいるはずの俺にも脅威な何かを感じさせるほどであり、
ズゴオオオオォォォォォ!!!!!
「くっ。このための魔法の強化か!」
すぐに理解させられた。この船で魔力の制御能力が低いと魔法が強化されてしまう理由が。
やはり敵が仕込んできていたのだ。こちらを魔法による攻撃のみで圧倒するために。
危うく俺たちの船の内側に大きな穴をあけられてしまうところだった。
「本当に、危なかったな」
「なっ!?ば、馬鹿な!?なぜこんなにも仲間が!?」
先制を取る準備をしていたからこそ、魔法を使おうと並んでいた敵の大半を始末することができた。もしカウンター狙いでいたら確実にこちらが大打撃を受けていたものと思われる。
さすがに数人だけは残ったが、その程度の魔法であれば強化されているとはいえ多少艦内に傷を入れる程度でとどまる。
しかもその後は、
「邪魔だ」
俺によって無力化される。
たいていは息の根まで止めてしまうが、さすがに数人はこの技術などに関して聞き取りを行うために気絶させる程度にすませているが。
「……これで戦闘員は全員か。ではこれより、敵艦へ乗り込む。続け」
「「「「イェッ、サー!」」」」
魔法を使うために集まってくれていたおかげで、敵の多くの戦闘員を無力化する作業はすぐに終わった。




