28.ドキドキッ!真っ暗の船ですけど何か?
ごめんなさい誤字など一切確認してません。
作者は寝ます。
哀れな敵ではあった。が、違和感もかなり残っている。
何故か俺たちが来ることを先読みしたかのように機雷を大量に用意していたし、
「先読みしていたとしても、あの機雷の量はおかしいですわね」
「ですよね。まるでどうしても私たちを消したいような雰囲気を感じましたが」
「セシル様たちが有名になったから、危険だと思われてしまったんでしょうか?」
「ふむ。ないとは言いませんが、とはいえたかが戦闘機体の扱いがうまいというだけですわよ?やるならもっと驚異的な力を持った巨大戦艦などにするのではなくて?」
「そう、でしょうか?」
セシルたちもいろいろと予想はしているが、明確にこれといったものは思いついていないようだ。
ちなみに、今回俺は敵の行動を作り出したのが王子派閥ではないかと思っている。ここまでやるのだから相当なメリットがあったからだろうし、そんなメリットを示せたうえで俺たちを抹消したいと考えるのは馬鹿王子くらいだ。
婚約者となってしまったセシル。そして、自分と同じ王族でありながら自分より実績を出したダリヤ。
この2人は間違いなく邪魔だ。
特に今は継承権などの問題もあるからダリヤの方が邪魔なのかもな。王の座をダリヤに取られる可能性があるとして危惧しているのだと思われる。
もちろんその推測をこの場で話すことはない。
「上層部にまだ内通者が紛れ込んでいる可能性があると報告しておきます」
「そ、そうですわね。まずはそこですわね」
「かなり少なくなっているだけでまったくいなくなったわけではないということが分かりましたからね」
俺たちの情報がどこからかは漏れている。
これは十中八九間違いないと思われる。そのため上層部にはよく確認してもらう必要があるわけだ。ちなみに俺たちの艦隊の中に裏切者がいるのではないとかいうのも考えはしたが、今のところ計測器等にそれらしい反応がないため今回に関してはその線はないと判断した。
「いろんなところがきな臭くなってきた」
俺は小さくため息を吐く。考えることが多すぎて困るな。
まあ、その考えなきゃいけないことの半分以上は自分から首を突っ込んだことの影響だから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
そうして少し黄昏ている時だった。
焦ったような声が聞こえ、
「い、異常が感知されました!艦内の照明へ流れるエネルギー量が大幅に増加し、」
そこまでだった。
そこまでで何も対応することもできないまま、
「キャッ!?暗い!」
「な、なんですの急に!?」
「なぜ急に照明が!?」
照明が落ちた。真っ暗になり、周囲の状況はさっぱりわからなくなる。
部下が言っていたのは、照明へのエネルギーが急に増えたとかだったか?あまりにもエネルギーが大きすぎて、照明器具が壊れてしまう前に制御装置により強制的にエネルギーが遮断されたのだろう。
だから、照明が落ちてしまった。
「と、今は原因を考えている場合ではないか」
俺はすぐに思考を切り替え、魔法を使う。この船全体を一度魔法でチェックした後、薄い風の膜で船内の全員の体を覆い、
「ある程度補助は行うので、それぞれ近くへ座り込め。転ばないように気をつけろ」
「「「「イェ、イェッサー!」」」」
少し硬い声色で返事が返ってきた後、部下たちが少しずつ体勢を低くし座り込んでいく。
その間に俺は窓から入ってくるわずかな星の光を頼りに周辺機器を操作。艦隊内の他の船と連絡を取る。
やはりほかの船でも、
『現在我が艦では照明が……』
『我が艦でも……』
続々と入ってくる、照明切れの報告。
幸いなことに転倒して軽傷を負った者はいるものの、死者や重傷者はいないらしい。とりあえず止められる段階で船を止めさせて、いったん復旧のために動かすことにした。
全艦に伝え終われば俺たちの乗る船の方も照明を復旧させるため、
「近くにいるものは、ジェネレーターの方を確認しろ」
艦内アナウンスで部下に動くように伝える。もちろん俺も補助はするぞ。
俺もこの距離でジェネレーターまで完璧に操作できればいいのだが、残念ながらそれは難しかった。繊細な機械だから、俺が魔法だけでやると傷つけてしまいかねない。
そんな風に考えながら、部下が動くのを待っていると、
「あっ!わ、私、明かり出せます!」
「む?訓練生?」
フィネークが少し体勢を上げ、そういってきた。
明かり自体はつけようと思えば緊急用の物があるのだが、
「あぁ。フィネークは光属性ですからね」
「光を出せるわけですわね」
「はい!そうなんです!!」
フィネークの使う明かりというのは魔法で生み出すものだ。今後のことを考えれば多少魔力を消費するくらいはかまわないし、フィネークにやらせても問題はないように思える。
フィネークも活躍できると気合を入れているようだし、
「では、頼む」
「はい!頼まれました!……『ライト』」
フィネークが魔法を唱える。
次の瞬間、俺たちのいるハッチはまばゆい光に包まれた。




