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27.完勝するつもりはなかったですけど何か?

俺とダリヤ、それに加えて部下たちも加わり、さらにはセシルやフィネークまで加わって策を出し合った。セシルやフィネークはほぼ大喜利大会状態だったが、真面目な意見も多数出て。

到着するころには策だけならもう完璧といってもいい状態。

だったのだが、


「……これは、最初から大喜利をやっていても良かったかもしれませんね」


「ですわね」「ですね」「ですね!」


俺の言葉に3人娘が同意を示す。

そんな俺たちの前の基地は、真面目な対策を考えたのがばかばかしくなるくらい非常に特殊な基地となっていた。

どれだけ特殊なのかといえば、


「3体合体、いや、3基合体といえばいいのでしょうか」


「もうこれが見れただけでかなり情報が手に入ったと思うのですが……」


「すごいですけど、エネルギーの消費とかすごそうですね」


「私たちは情報が得られて敵はエネルギーを大量に消費した。そう考えれば、もうこれだけでも十分結果は出せたのかもしれませんね」


3基合体。

基地3つが合体して、超巨大基地へと変貌を遂げたのだ。今まで見たことのないような仕様であり、非常に面白い。

とはいえもちろん面白いからと言って、やられるようなことはないが。


「では、まず決めましょう。逃げますか?戦いますか?」


「それは当然……」


俺の問いかけにセシルはキリッとした表情を作る。

そんなかっこよさのある表情から出てくる言葉は、


「退避ですわ!!」


「了解しました。……全体へ通達。撤退だ。一斉射撃ののちに反転して本国へと帰還する」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


すぐに艦隊全体へと連絡がいく。

見た目だけのこけおどしという可能性も捨てきれないが、わざわざそんな可能性に欠けてリスクを冒す必要もない。

3人娘も言っていたが、これが見れただけでも十分な成果だ。


「全武装、発射します!」


俺たちの艦隊で使えるあらゆる遠距離攻撃用の武装が使用された。伸びていく光が敵の3基合体した基地へと向かって行く。

直後だった。


ドオオォォォンッ!

「「「「っ!?」」」」


爆音。そしてそれに続いてキィィンと耳鳴りのようなものが訪れる。それは、決して俺たちの武装が発射された音によるものではない。

明らかにそれ以外に、


「て、敵側が機雷を仕掛けていたようです!」


部下からはそんな報告が行われる。大量の機雷が爆発しても真空中であるためこのような爆音が出るはずがないのだが、


「一部の機雷に爆音装置が含まれていたものと思われます!」


「爆音機能か。狙いが不明だな」


爆音機能。正式名称はもう少しかっこいい感じのやつなのだが、俺たちはそう呼んでいる機能だ。

名前からわかるように音を発生させる、という側面もあるのだが、今回の場合は真空中でも音を伝えるという側面が強い。あらゆる周波数で爆音となるように調整されていて、通信機能さえ相手が持っていればどんな船に対しても効果を与えることができる。

ただ、鼓膜が破れるほどの音は船側でキャンセルされるようになっているから、せいぜいうるさいというくらいの効果しか出せないがな。


そんなものを使われたわけだが、狙いに関してはさっぱりだ。そんな機能を持った機雷自体が非常にまれで珍しいし、今が効果的な場面だったとは到底思えない。

俺は大きすぎる違和感を抱えつつ、


「追手の状況はどうなっている?」


「追手、ですか。少しお待ちください……これはあまりにも信じられないものでして」


部下の声が少し、いや、かなり引きつっているような気がする。

それから数秒の沈黙が流れる。部下は現実を受け入れていないようである。

その現実というのが、


「……敵、全滅しました」


「………………は?」


ここまで頑張って冷静な副官をやってきたつもりだが、さすがに崩れた。あまりにも、予想外過ぎる。

何せ、敵全滅だぞ?さすがにそれはないだろ。あまりにもひどすぎる。


「敵が全滅ということは、当然追手もいるわけがない、か」


「は、はい。拍子抜けではありますが、近くにやってくる敵も皆無です。こちらも欠員はありませんし、完勝と言って良いかもしれません」


完勝。部下はそういう。

ただ、


「戦うつもりすらなかったのだがな」


「ですよね……」


戦うつもりもなかったのに勝ちも何もないのだ。勝手に敵が自滅した感じだな。

あのままレーザー撃ちつつ俺たちが近づいていたら結果は違ったんだろうが、


「運が、よかったですわね」


「ですね」


運が良かった。そうとしか言いようがない。

逆に、敵は運が悪かったとしか言えないな。あれだけ機雷を用意していたのに。俺たちが遠くから適当に弱っちい攻撃しかせず去っていくなんて、予想もしなかっただろう。


「……しかし、あれだけの機雷を用意していたというのはそれはそれで違和感がありますね」


「ん。それもそうですわね。あれだけの機雷を用意するのはかなり時間がかかっていたはずですし、もし私たちが来なかったらかなり無駄なことをしただけになってしまいますが」


「私たちが来ることが分かっていた、とかでしょうか?」

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