24ー1. カバーもできますけど何か?
いつもより短いです。明日のものと数日後にあわせて3章24話とする予定になります。
スパイの船は味方と俺たちの挟み撃ちでそこそこ数を減らしている。素晴らしいとはいえないが、悪くもない。このまま着々と削っていく。
……なら、良かったんだが、
「少将。緊急の連絡です」
部下から震えた声で報告が入る。非常に嫌な予感がするな。
俺が目を向けてみれば、
「敵の援軍として5000隻ほど追加でやってくるようです」
「5000か……」
戦闘艦5000隻に後ろから俺たちは襲われる。かなり厳しいな。今こちらへ来ているスパイとその護衛のような奴らを俺たちは足止めしているというのに、さらに大群を反対側で処理しなければならない。
そして俺たちにそんな余裕は全くない。
「指令部から指示は来ているか?」
「援軍はどうしても良いので、スパイを優先して撃破するようにとのことです」
「……そうか」
どうしても良いというのは、どうにかできる場合に言うことなんだよな。俺たちじゃどうしようもないというのに。無茶ぶりがすぎる。
けど、やるしかないよな。どうするかと言えば苦肉の策ではあるが、
「艦隊全体に通達。突撃だ」
「「「「ッ!?イェ、イェッサー!!!」」」」
棒立ちしていたら確実に負ける、というか殺される。
それを回避するための突撃だ。もちろん突撃するのは援軍に対してではなく、スパイたちの方へ。向こうもこちらが焦って仕掛けてくるのは予想しているだろうが、
「まともに対応できる船は少ないはずだ」
分かっているのと実際に何かできるというのは全く別の話だ。多少こちら側のシールドを強くしたところで、
「主砲命中!敵艦大破!続く艦隊の砲撃でさらに3隻大破、2隻が中破です」
確実に損害は出る。今まで以上に速いペースで敵艦が沈んでいく。
ただ、当然良いことばかりではない。俺たちが動いてしまったことにより、
「敵艦が3隻ほど抜けました!」
「抜けた敵艦との距離は?」
「主砲が命中しても一部を破壊することしかできない程度の距離です!」
「そうか……それはもう仕方がない。逃がしてしまって構わないから、できるだけ後続を作らないように」
「「「「イェッ、サー!」」」」
完璧に逃がさないようにはできなくなってしまった。壁の役目ができないからな。俺たちの艦隊が全て戦えば、それ以上に敵が来たら対処できない。
敵は俺たちの数より多いし、手一杯になるのも一瞬のこと。
敵がスパイの船を守るために俺たちの足止めをしてきて、スパイの方が逃げやすくなっている。
「数隻ならダリヤ様が対処してくださるそうです」
「了解した。ありがたいな」
ダリヤが抜けた分は多少カバーしてくれる。2機ほど回してくれていて、
「3隻全て動力部の破壊完了しました」
「早いな。さすがは殿下と言ったところか」
足を潰してくれたようだ。仕事が正確で速い。
しかもそれだけで油断せず、2機のうち1機をスパイの船を完全に沈めるために使い、もう1機でまた警戒にあたる。
「殿下が現在使っている戦闘機体の数は?」
「8機です」
「8機……以前より増えたか?」




