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22.迂回させていきますけど何か?

言えることはただ1つ。ストックがヤバい

仕事よ、終わってくれぇ

敵が来たということでセシルやダリヤは戦闘機体に乗って出撃した、

もちろん出撃準備をしている間に、敵の速度を少しでも落とさせるためにフィネークによって強化された主砲を打ち込んでおいた。俺の乗るこの船にしかできないことではあるが、使えるのだから使わないという手はない。


「移動速度は半分程度まで落ちましたね」


「ああ。ただ、迂回していくような動きもみられるから少々厄介ではあるがな」


「そこは致し方ありません。数は向こうの方が多いですし、すべて沈めるよりも沈められる相手を沈めて少しでも時間を稼ぐ方が現実的ですから」


スパイはかなりの数の船を奪って逃げている。

それぞれの船の乗組員は最低限必要な人数を大幅に下回っているとは思うが、それでも数が多ければ厄介なのは事実だ。最悪の場合その集団で囲んで体当たりとかされたら、シールドはこちらのものが削られる方が早いからな。


俺たちの攻撃を受けた逃げたスパイたちは、俺たちの艦隊を避けるようにしながら進んでいる。

ここで大事になるのが、


「信号が入りました。どうやら機雷がいくつか爆発しているようです」


「む?もう機雷まで来ていたか。予定より速いな」


「ですね。もしかすると機動力の高い小型艦かもしれません」


「この速度だとそうなるかもな。いくつかということは、敵国工作員の乗る船の多くが機動力特化の可能性が高いな」


目的は逃げること。そう考えると、機動力特化の船が敵に多いのは当たり前といえば当たり前だった。もちろんそれ以外にもステルス機能が高い船などもあるだろうが、


「ステルス機能を使うと移動速度がかなり落ちますからね………」


「この状況で使いたいとは思わんだろうな」


「はい。そういった船はかなり私たちを避けるように大きく迂回して移動すると思われます」


「ふむ。さすがにそこまでは追いきれん」


速度が出せないならできるだけ見つからないように遠回りをする。原始的な方法ではあるが、間違いない方法でもあった。

特にこの広大な宇宙となると、一定距離から離れると離れれば離れるほど発見は困難となる。


問題があるとすれば、そういった追いきれないほど遠い場所だと宙賊が拠点を構えていたりとかするくらいだろうか。

軍部とつながりのある宙賊ならともかく、そうでない宙賊に見つかったとなると………それはもう生還率は大幅に低下するだろう。宙賊にこちらの国の機密が漏れるのはそれはそれでまずいが、敵国に奪われるよりはましかもしれない。宙賊なら敵国とは圧倒的に規模が小さいし、できることも少ない。


「そろそろ隊長機が敵艦に接敵します」


「よし。支援砲撃ができるのであれば行なえ」


「「「「イェッ、サー!」」」」


俺の指示に従い、数秒後には太いレーザーが遠くへと延びていく。

狙った座標などを考えるに、どうやらセシルたちが狙った船ではなくその近くにいる船に対して撃ったようだな。味方ごと高火力で消滅させるということをさせないための牽制になる。


「隊長機、小型艦1隻の酸素発生装置を破壊したようです」


「酸素発生装置?………なぜそんなものが破壊できる位置にある」


俺は入ってきた報告に困惑。

俺の知識だとそういったものはたいてい船の中のしっかりとした部分に入れられているはずなんだが。


「詳しく解析を行います………どうやら隊長が攻撃を仕掛けた戦闘艦は、試作品の戦闘艦だったようです。試運転を行うところを奪ったものだと思われます」


「なるほど」


試作機。それならその欠陥にも納得できる。

新しい試みを行なうときには船の中でも宇宙服を着用するし、酸素などあまり重要ではない。ということで、試作品における大事な試したいものを酸素発生装置の部分に代わりに置いてしまったりする。


「では、他の船もそうなのか?」


「分かりません。本部から詳しい敵艦の内訳などは伝えられておりませんので」


本部しっかりしやがれ、という思いもある。が、今回は致し方ない部分も多いな。

今回の場合何のデータが盗まれたのかとか誰が裏切者だったのかとか、奪われた船以外にもいくつもチェックしなければならないことがある。

もし大事なデータが奪われていれば、今後の計画の変更なり何なりが必要になるからな。

とはいえ、


「現場の人間としては、敵の戦力が分からないのはきついな」


「ですね。思わぬところで大打撃を受けかねませんし」

「しかも試作機なんて何が入ってるかわからないですからねぇ。未知の兵器が使われるのも怖いです」


「そうだな」


怖いことが多い。

が、そこはブルーカラーとホワイトカラーで重要だと思うものに差が出てしまうのは仕方のないことだろう。実際国防だけを考えれば、今の上層部の判断は間違っていないはずだし。

まあ、だからと言って現場の人間からすればどうにかしろと言いたいものではあるが。


「とりあえずひたすら足止めだな。敵が機雷を警戒して更なる迂回を行うことを期待していよう」


「ですね」


足の速い連中はとりあえずひたすら迂回させて時間を稼ぐ。時間を稼げればそれだけでも俺たちの仕事としては十分だろ。


「ここからが、本番といってもいいからな」


「ですね。足が速いのを相手していたらこの後が耐え切れませんから」

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