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17.艦隊内ではなさそうですけど何か?

部下からデータが削除されているという報告を聞き。すぐに上層部へ連絡をした。ただのこちらへの伝え忘れなのかどうかという確認をするためにな。

上層部がかなり早く対応してくれて、その回答は、


「関与なし、か」


「それはまた何とも………」

「上層部も大慌てでしょうねぇ。最悪私たちの検査もされる可能性がありますが」


どこかしらにスパイが紛れ込んでいて、俺たちの船のデータを消去したということだ。それが本部の方にいるのか、俺たちの中にいるのかまでは分からない。

が、


「上層部で保管しているデータの方は一応残っているようだな。内容の確認はまだできていないようだが」


「ファイルだけ残っていて中身は空っぽという可能性もありますからね。その結果次第でしょう」


「そうだな。実に面倒なことになってしまった」


俺は心底面倒くさいという風に首を振って肩をすくめる。

実際、面倒くさいのは間違いない。俺の船にスパイがかかわってくるとはあまり思ってなかったし、関わったとしてもこんな小さなデータの削除だけなんていうのは予想外過ぎる。

やるとしたら英雄視されているセシルとダリヤのデータを改ざんして、不正しているように見せるということかと思ったんだけどな。


「………あっ少将。何か問題が起きたと聞きましたわよ」

「何が起きたかお話を聞いてもいいでしょうか?」


俺と部下たちで悩んでいると、話を聞きつけてきたセシルとダリヤが現れる。この様子だと詳しい報告までは受けていないようだな。

まずは事情の説明を俺が行う。その間に部下たちにはデータアクセスの履歴などを念入りにみてもらうことで、スパイに関することを調べてもらう。

艦隊内にいるなら、すぐに見つけなければならないからな。


「………ほぇ。それは、きな臭いですわね」

「味方を疑う必要があるというのは嫌なものですね」


事情を聴いた2人は難しい顔になり、護衛たちは表情を険しいものに変える。セシルやダリヤからすれば仲間が実は敵だったという悲しい話かもしれないわけだが、護衛たちからすれば近くに敵がいるかもしれないということだからな。

警戒する気持ちもよくわかる。

さすがに2人と話して解決策が思いついたりなんかはするはずもなく、結局時間は過ぎていって、


「履歴の方の確認完了しました。今のところそれらしいアクセスは確認できません」


「そうか………では、艦内の履歴には残りにくい外部からの接続による削除の可能性が高い、か」


「そうなります」


とりあえず艦隊内にスパイが紛れ込んでいるという可能性は低いということが分かった。話し合っていた俺たちの間で少し緊張が解けるような雰囲気になる。


「では、それも上に報告しておけ」


「了解しました。連絡を取ります」


スパイの発見に関しては完全に専門外だから、上層部に丸投げしてしまうことにする。丸投げするためにも、こちらで分かった情報はすべて送るぞ。

何が重要な情報になるのかもわからんしな。


「あっ。少将。外部接続の履歴の方も送らなくていいですか?」


部下が俺の指示で上層部へ連絡をしようとしたところで、別の部下がそんなことを言ってくる。

確かにすべての関連がありそうなデータを送るというのなら、それも含まれるだろう。


「そうだな。それも送っておけ。データ取得以降の履歴全てだ」


「了解しました。追加します」


外部アクセスの場合、どういったことをされたのかということは分からない。が、いつ外部からアクセスがあったかくらいは知ることが可能だ。接続したときと解除したとき、それぞれ記録が残るようになっている。

接続のデータをもし削除されたとしても解除の時のデータは残ってしまったりするから、こういった際にはおかしな接続がなかったか探るのに非常に役立つぞ。


「返答が来ました。本部の方で調べてみるからしばらくそのまま任務を続けてほしいとのことです」


「了解した。では、また本格的に宙賊殲滅を行う」


「「「「イェッ、サー」」」」


まだ俺たちが動く必要はないようだった。というか、データの抜き取りに関しては俺たちがどうこうできることではないよな。明らかにお門違いだろう。

相手が戦闘艦をまとめて攻めてくるときくらいしか俺たちは活躍できないぞ。

俺がそう思っていると、目をきらりと光らせるものがいて、


「………なら、これからは先ほどまでと同じということですわね!」

「少し手が空くということですね!!」


「え?あ、ああ。まあ、手が空くとまでは言いませんが、先ほどまでのようなあわただしい状況にはならないかと」


セシルとダリヤの2人に俺がそう答えた瞬間だった。

素早く2人が数人の部下をつかんで、


「「ちょっと訓練の相手をしてください(まし)!!」」


「「「「え、えぇ?」」」」


困ったような顔をする部下たち。

俺は大げさにこめかみを押えて首を振ってから、行ってやれというようにうなずく。部下たちも隊長であるセシルのお願いということで断ることもできず、しぶしぶといった様子でついて行った。

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