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12.チラチラされてますけど何か?

チラッ。

チラッ。

「……」


チラチラッ。

チラチラッ。

「…………」


チラチラチラッ。

チラチラチラッ。

「………………」


チアラチラチラッ!

チアラチラチラチラッ!

「……………………あの、何か?」


俺はついに視線に耐えきれなくなって、俺に視線を向けてきている2人、セシルとフィネークに質問を投げかける。特にセシルの方が視線を向けてくる回数が多いので、セシルを向いて尋ねてみた。

だが、


「い、いいい、いえ!何でもありませんわ!」


「わ、わわわわ、私も何でもないでしゅ!」


セシルにも、視線は向けていないはずのフィネークにも誤魔化された。

俺から拷問を受けた部下の話を聞いて以来、ずっと2人はこの調子である。しかも、2人ほどでは無いがセシルの護衛の数人も俺の顔を見るたびに顔を赤くしたりするやつがいた。

いったい何を部下から吹き込まれたのかは気にあるところだが、深く聞いたりはしない。……ほら。セクハラとか色々気を遣うんだよ。実際に数年前にも軍のトップの方にいた人間がセクハラとパワハラをしたってことで左遷させられてたからな。そう言うのって怖いんだよ。……まあ、その元上司を告発したのは俺なんだけどな。


「……その様子で何でも無いと言い張るのは無理があるようにも思いますが、そう言うことにしたいならばそれで構いません。しかし、仕事に支障を来さないように注意して下さい」


「こ、心得ておりますわ!」

「了解でしゅ!」


激しく頷くセシルと、噛みながら敬礼するフィネーク。そろそろ噛みすぎて舌から血が出てないかどうかが心配になってくるな。傷薬(未来版の傷薬は飲むだけで軽い傷なら一瞬で回復する)でも渡しておくべきだろうか。

俺がそんなことを考えている間、


「お、大人って凄いですね」

「そうです……わね?ん?大人?」


何やらセシルとフィネークが話をしていた。昨日の話を2人で聞きに行ったこともあってか、かなり仲良くなったようだな。勿論同年代であることも理由にはあるんだろうが。

ただ、悪役令嬢と主人公が仲良くしてるって言うのも原作を知る身としては正直微妙な気分になる。あれだけいじめ、いじめられていた関係だったというのに。


「……訓練生。そろそろ仕事に戻った方が良いのではないか?」


暫く2人がキャッキャと女子高生のように会話をするのを聞いた後、きりが良いタイミングでそう告げる。俺の言葉を聞いたフィネークは数秒固まった後、


「そ、そそそそ、そうでした!頼まれてる仕事があるんでした!……し、しししし。失礼しまぁぁぁぁす!」


大声を上げながら走って行った。俺たちはその背中をそれぞれの感情がこもった瞳で見つめる。

俺は軍人モードではデフォルトな、冷たく鋭い目で。

セシルは友人を見つめるような楽しげな瞳で

それ以外の多くの者は、小動物を見るような温かく優しい視線で。


「……大尉。こんな会話をしても一切表情が崩れませんわね」


俺の表情を見たセシルは、苦笑いと共にそんな言葉を発してきた。

俺だって軍人モードの表情は自信がある。セシルが隊長になる前は部下から「隊長が普段は冷たい視線なのに夜になると肉食獣っぽい熱い視線なの良いよね」とか言われるくらいだったから。あと、俺を孫のように可愛がるじいさん軍人達は、「くっ!視線は冷たいのになんて温かい心を持っておるんだ!」とか言われたから。

……あれ?ちょっと待て。じいさん連中は良いとして、部下達から尊敬が感じられないよな。こんな冷たい目をした落ち着きのある上官とか、とても信頼できると思うんだが。


「部下達の命を預かっている身ですので、常に冷静でいられるよう心懸けております」


「そうですのね。……大尉からもまだまだ学ぶところがありますわ」


俺の言葉に何を思ったのか、セシルがそんなことを呟いた。セシルの役割的にあまり俺の立ち回りを学んでも活かせないと思うんだがな。

それよりも、


「小官としては公爵様から学ばれるのが1番だと思うのですが」


「公爵?お父様ですの?」


「はい。相当なやり手、と言いますか。裏で動くのを得意とされているような印象を受けましたので」


俺はセシルの父親である公爵と話をしたときのことを思い出す。

具体的にどういう事をしようとしていたのかは分からなかったが、罠にかけられそうな雰囲気があったんだよな。


「な、なるほど。お父様は裏で動くのが得意な印象なのですわね?……今度会うときには注意深く観察してみますわ」


セシルは俺の意見を取り入れるようだ。


「隊長のお役に立てたのなら光栄です」


セシルは少し表情を変える。この顔から読み取るには、アレだな。たぶんあの公爵は相当な親馬鹿だな。普段セシルにデレデレしまくっていて威厳とかを示せていないやつだ。

……なんて、くだらないことを思っているときだった。


「まもなく前線へ到着致します!予定通り惑星『ガリュー』に到着する予定です!」


目的地に到着するようだった。俺たちの艦隊は1度基地に入って、基地にいる司令官などと協議をしようとしたのだが、


「そこで止まれ!現在より本人確認を行なう!!」

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