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15.ネガティブ回避ですけど何か?

祝日?つまりそれって仕事ってことぉw?

「くぅ~。少将、なかなか強いですわね」

「ですね。『死神』とは戦い方が違いますけど、訓練には最適な相手かもしれません」

「しょ、少将が訓練に最適な相手って………」


ダリヤはかなりひどいことを言っているな。俺だって仕事があるし、いつまでも訓練に付き合ってられないんだけどな。

と思っていたら、


「1人の戦いに慣れすぎるのもどうかと思いますわ。ここは、たまにデータ上の『死神』とも戦う必要があると思いますの」


「ああ。それもそうですね。少将に勝てるようになるからといって誰にでも勝てるようになるというわけではありませんし」


「そ、そうですね。それに、いろんな戦いをした方が参考になることがあったり新しいアイディアが浮かんだりするかもしれません!!」


セシルがいい感じに俺の訓練に混ざる時間を減らしてくれる発言をした。実にありがたいな。

ここでさらに、


「小官以外にも、時間があればこの船にいる数人と戦ってみてはいかがでしょうか。おそらく役職さえそろえばシミュレーター上の小型艦程度でしたら動かせるはずですので」


俺は自分の身の安全(?)を確保するように心がける。さすがに艦隊の隊長と副官が訓練してる最中ですぐに対応できませんとか言うのはまずいだろ。

いつまた俺の船とかち合うかも分からないというのに。

それに、強い宙賊に襲われる可能性だってあるというのに。


「………あっ。少将。解放されたんですね。お疲れ様です」


俺が訓練から切り上げて司令部の方に戻ると、部下からはそんな言葉をかけられる。何サボってんだよとかいうタイプではなく、どちらかといえば面倒ごとに付き合わされてお疲れさまって言われてる感じだ。

部下たちもなんとなく俺がこき使われているのが予想できたみたいだな。


「まあ、かまわん。隊長の生存率が上がるのは決して悪いことではないからな」


「それはそうなんですけどね………」


部下は微妙な顔をしている。いくら生存確率が上がるのが良いことだとはいっても、任務中にずっと訓練されるのはそれはそれで微妙な気分だろうからな。

訓練するなら休暇中にやっとけ。みたいな気持ちになると思う。

というか、正直俺はフィネークに対してそう思ってるな。そこそこ長い休暇だったし、毎日コツコツ1時間でもやってればもっといい結果が出せていただろうに。


「………いかんな。少し気持ちがネガティブになってしまっている」


「え?大丈夫ですか?」


「ああ。大丈夫だ。だが、少し集中して意識を変えたい。少し積極的に艦隊を動かせるか?」


「それは大丈夫だと思います。では、艦隊全体で少し散らばって宙賊の探索を行うように連絡しますね」


部下に艦隊へ指示を出してもらう。正直俺1人の気分でこういうのを変えるのはどうかと思うのだが、あまりネガティブになりすぎるのはよくない。艦隊全体でも今の少したるんだ空気を引き締めるということで無理やり納得しよう。

幸いなことに、部下たちもあまり気にした様子はないしな。


「………報告が入りました。破壊した宙賊艦を確認したところ、アジトらしきもののデータが確認されたそうです」


「ふむ。では、そちらの方角を探ってみるか。進路の変更を」


「「「「イェッ、サー!」」」」


アジトが見つかったというのならちょうどいい。俺たちは気合を引き締め、アジトの破壊に向かった。

そうすると、道中で宙賊と接敵する頻度が少しずつだが上がっていく。宙賊のアジトがあるというのがそういったことでも実感できるな。


「少将。敵に気づかれている可能性はありませんか?」


近づいていくと、部下からそんな質問がきた。

俺たちが近づいて行って宙賊の船も沈めているから、軍艦だとは気づかれないにしても何か脅威が来ているとわかるのではないか、ということだな。その考えは理解できる。

が、


「ふむ。気づかれているのであればそれはそれで構わない」


「え?そうなのですか?」


「うむ。気づかれているなら、我が艦隊は周囲にいる戦闘艦だけを沈めればいいのだ。わざわざアジトの制圧まで行う必要はない」


「そ、それは、なぜでしょうか?」


俺の言葉に部下は不思議そうな顔をした。質問してきた部下以外も首をかしげていたりするやつが多いな。

まあ、今まで戦ってきた戦場では当たり前のようにアジトなどにも制圧部隊が入っていったしその感覚が抜けないのは分かる。

が、今回の場合は少し事情が変わってくるのだ。


「小官たちの目的はあくまでも周辺警備だ。だが、巡回中に発見した脅威を殲滅するのまですべて仕事になるか?」


「それは………あっ。地元の軍に任せるんですか?」


「その通りだ」


俺はうなずく。

ここはあくまでも属国の土地。ならば、この宙賊のアジトを制圧するのは属国の軍にやらせればいい。俺たちがそこまで本気でここをつぶしにかかる必要はないのだ。

やるとしてもせいぜい、財産を持って逃げる輩がいないかと見張るくらいだな。


なんていう風に部下たちに教えた後。

俺のそんな言葉は意味がなかったということが分かる。実に悲しいことなのだが、


「か、壊滅、してる………」

「いったい何が………」

「強力なミサイルでもぶつけられたのでしょうか?いや、外部からの攻撃にしてもあまりにもこれは被害が大きすぎる」


宙賊のアジトは壊滅していた。

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