14.反省会ですけど何か?
後半主人公視点です。
《sideセシル》
ドンッ!とセシルがテーブルをたたく。令嬢としてはどうかと思うような行ないだが、今はそんなことを気にしていられない精神状態に彼女はある。
テーブルをたたいたことで周りの視線はすべて彼女に集まっている。そこで、彼女は高らかに宣言した。
「反省会を行いますわ!」
「おぉ!!」
「お、おぉ?」
セシルの力強い言葉。それに珍しいことにダリヤが熱の入った声を上げ、フィネークがそれに少し戸惑ったような様子で追従する。
これから行われるのは、反省会。
今回『死神』との戦いで初めての敗北を喫したため、今回負けた原因を振り返ろうという目的である。もちろん最終的には、今回の反省を生かしてさらなる高みを目指したいという気持ちもある。
「まず、何が問題だったのかというのをハッキリとさせますわ。意見があるものは挙手を!」
セシルが声を上げる。すると、最初にダリヤが手を挙げた。
ちなみにこの空間には仲良し3人組の他にも、セシルとダリヤの護衛などがいる。ただ、とりあえずダリヤに意見があるならそちらを優先させようということでだれも意見を言おうとはしていないが。
「はい。では、ダリヤ」
「はい。まず今回1番大きかった敗北の原因が、不測の事態に陥った場合の経験が足りなかった、そして、対応が悪かったというのが考えられます」
「ふむ。具体的に言いますとどんなところですの?」
「そうですね。最初が、接近したときに戦闘機体が動かせなくなった時の対応です」
「あぁ。あれは確かにダメでしたわね。私も焦ってしまいましたわ」
『死神』に近づいたとき、戦闘機体が動かせなくなってしまった。その時にセシルたちは焦ってしまったのである。そこは反省しなければならないポイントだ。
そして焦ったのはそこだけでなく、
「次に、反応が消失したときの対応ですね」
「あぁ。そこもダメでしたわね。あそこで少将にカバーしていただかなければ確実にやられてましたわ」
「あ、あのとき。少将が突然変なこと言いだしてどうしたのかと思ったんですけど、機雷が爆発してびっくりしました」
「ですね。少将はどうしてあれを思いついたのかというのが非常に気になるところではありますね。が、そこは後で尋ねてみればいいでしょう」
ちなみに少将ことゴトーが対応できたのは、単純に自分の船である程度機能を知っていたからだ。事前知識があったのだから、ある程度何をしてくるかというのは予想できる。
とはいえこのことを尋ねられても、ゴトーはそれを素直に言ったりはしないが。
ゴトーに助けられたことを思い出したのか、セシルの頬が薄く朱に染まっていた。
ダリヤはそれに気づきつつも、知らないふりをして話を進めていく。
「この2点で未知の事態への対応というのは問題点であると感じましたね」
「なるほど。………他のものは何か意見がありませんこと?」
セシルは周りを見る。
護衛たちもいるので、意見があるものはいる、のだが。
それらが挙手するより先に、
「あら。フィネーク。何か気づいたことがありまして?」
「あ、その、はい。素人目で申し訳ないんですけど………お二人とも、逃げるのがそこまで得意ではないように見えるんですけど」
「「っ!?」」
フィネークがおずおずと挙手して、意見を述べる。それでセシルとダリヤは表情を引きつらせ、瞬時に視線をそらした。
そうなのである。
2人は、逃走・撤退が苦手なのだ。
「今まで戦えて来てしまいましたからね」
「ですねぇ。逃げる必要がなかったという結果がこんなところで牙をむくとは………」
2人は頭をかかえる。難しいが、解決しなければならない課題なのだから。
その後、護衛たちからもさらに意見を聞いたりして。
《sideゴトー・アナベル》
「………ということで、退避の訓練にお付き合いいただきたいんですの」
「何がということなのでなのかはさっぱり分かりませんが、了解いたしました。安全確保のため必要なことだと思われますので、協力させていただきます」
なんか、セシルたちの戦闘訓練の相手をすることになった。フィネークも退避を含めた操縦の練習はする必要があるし、3人でローテーションを回しつつ、
「ノオオオォォォォ!!!!??????」
「え!?今遮蔽物ありましたよね!?」
「無理無理無理無理!!!!!」
逃げていくやつを追い詰めていく。
内容はフィネークの訓練の時にやったこととほぼ同じで、2人が足止め役になって1人が逃げるといった感じだ。
時間稼ぎに関しては数が多いだけにダリヤが強いのだが、逃げる時にも問題はない。時間稼ぎがあまりうまくできないとしても、数が多ければ多いほどこちらの攻撃が分散するからな。
たいてい1~2機は最終的に逃げられてしまう。
「くぅ~。少将、なかなか強いですわね」




