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13.いいところにいてくれましたけど何か?

「っ!て、敵機、反応が消失しました!」


シグマもかなり全力を出してきたな。透明化装置を使用してきたみたいだ。レーダーにも映らなくなる完全ステルス状態だから、この船みたいな強いレーダーを積んでいない船にとっては非常に脅威だ。

というか、たいていの船にあれを見破れるほどのレーダーがないからな。ほとんどの船にとっては非常に脅威となるだろう。


「あわてるな。おそらく倒せたわけではない。周囲に警戒しつつ1か所に集まるように通達しろ」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


艦隊には1か所に集まってもらう。

正直あの船が本気の一撃を放てば固まったら死亡確定なのだが、さすがにそこまでしてシグマも国にケンカを売ることはないはずだ。もしこの艦隊を一撃で葬り去れるレベルの武装を持っていることがバレれば、各国から確実に狙われるからな。

賞金稼ぎどころではなく軍からも本格的に追われることになってしまう。


で、シグマは俺がそう考えることすら読んでいるはずだ。

もちろん全体を破壊することはないはずだが、同時に俺の対策を読んで穴をつこうとしてきている可能性はある。

で、この場合の穴なのだが、俺の予想がつくものは2つ。

1つが練度の低い、新人たちの多く乗っている新しい船。連携もまだ足りてないし、反応が遅れるのは確かだ。

そしてもう1つが、



《sideセシル》

「ど、どうなってますの!?急に反応が消えるなんて!」


セシルは焦っていた。

経験したことがないような状況だったのだから。今までなら、自分が出ればいくら相手が大きな戦闘艦であったとしても対処できた。

だが、今回は違った。自分が近寄ることすらかなわず、こうして逃げているというのに、


「いつ撃ち落されるかもわからないのに、敵の姿が確認できなくなるってどういうことなんですのぉぉぉ!!!!!」


訳が分からないが、追い詰められていることだけは分かっている。彼女は叫びながらも船への帰還を急いだ。

が、そこで急に、


「っ!?敵艦の反応!し、しかもミサイル!?これは避けられな、」


急に姿を現した『死神』。そしてそれは、すでに発動が察知しにくいミサイルという武装を使用していた。ミサイルはもう間近に迫っている。

数秒もしないうちに、ミサイルは爆発を起こした。



《sideゴトー・アナベル》

「隊長の後方へ機雷を射出しろ」


「「「イェ、イェッサー!」」」


一瞬部下たちも困惑はしたようだが、すぐに従って行動する。セシルが飛んでくるのにすれ違うようにして、俺たちの船から機雷が真空を滑っていった。

それから数秒後、


「っ!て、敵艦反応が確認されました!機雷も爆発しています!」


本当にギリギリで間に合い、セシルの戦闘機体に向かって放たれたミサイルを機雷によって防ぐことに成功する。いつ攻撃が行われるか分からなかったからいつでも対応できる機雷を選んだが、間一髪だったな。

で、間に合ったとはいえ安心はしていられない。


「敵艦に向けて砲撃を開始しろ。味方に当てないように気を付けつつだ」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


急いで反撃をする。

艦隊からレーザーがいくつも伸びていくのだが、やはりすべて奇麗によけられていくな。かすりもしない。

ただ、おかげでセシルの安全は保たれている。向こうからの攻撃がセシルではなく俺たちを狙ったものになってきたし、俺たちの船のシールドが若干削られる程度で済んでいる。


「隊長機帰還しました!」


数分後にはセシルの回収が完了する。

このタイミングで、


「っ!て、敵機の反応がまた消失しました!」


「今度は撤退、だろうな」


シグマは撤退を選択したようだ。このまま続けても、さすがに持久力の面で言えば俺の船の方が劣るからな。いくらシグマがずっと働けるにしても、あの回避行動を続けるなら船の方が持たない。

ただ、逆に言えば今回のことでシグマがある程度軍の船を相手取っても戦えることが分かったな。

シグマにとっても貴重なデータの取れる良い機会だっただろう。


そうしてシグマが去って行ったあと。

セシルやダリヤが部屋に戻ってきて、


「はぁ。負けましたわ」

「油断はしていなかったつもりなのですが、完全に手玉に取られてました」


落ち込んだ様子で言葉を吐いた。

2人にとっては、初の実戦での敗北。大きな衝撃だったのは間違いないだろう。

だが、成長には良い機会だ。特に死人が出たりけがをしたりすることもなかったし、今回の経験を次に生かしてほしい。


俺がそんな思いを持っていると、その思いが届いたというわけではなさそうだが、


「ねぇ。少将」


「はい。なんでしょうか?」


「今のデータ、とっておりますの?」


「え?ええ。データは取ってありますが、お使いになりますか?」


「ええ。使いますわ。反省会をしようと思いますの」


セシルとダリヤの2人で反省会を行うつもりのようだった。

シグマも、本当にいいところにいてくれた。

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