ハロウィンssですけど何か?
この話はフィネークが抑えの利かないくらい病んでしまった話です。本編とは全くかかわりのないパラレルワールドの話となりますのでご了承ください。
また、ほぼ作者が酔った勢いで書いた話です。普段と比べてR15色が強いので苦手な方は飛ばしていただいて構いません。
SSなので、本日本編はまた別に上げます。
本日は。10月………
「ん?何日だ?」
30日なのか、31日なのか。少しあやふやである。
というか、この世界では1年周期が365日ではなく今日が10月でもない。ではなぜ10月何日かの話をしているのかといえば、
「「「「トリック・オア・トリート!!」」」」
「今日、ハロウィンか」
本日がこの世界におけるハロウィンだったからである。俺は自室に突撃してきた部下たちを見てその事実を思い出すのだった。
どうせ部下たちだし大したものじゃなくてもいいだろう。安い菓子類は自分用に買いこんでたはずだし、全員分くらいは、
「ワクワクですね!」
「ワクワクですわね!」
「………………ん?」
俺の動きが止まる。
今、非常に聞きたくない恐ろしい声が聞こえた気がしたんだが。
見た限り部下たちの姿しか見えないが、なぜか見えていない奴らの声が聞こえる。それはまるで、この部屋にある菓子類を渡すのは気が引けるような奴らで、
「ちょっ、私たちの番は晩だって言われてますし、おとなしくしましょう」
「で、でも、少将のお部屋ですわよ?」
「気になりますよね。イメージですけど、トレーニング器具とかおいてそうです!」
「「分かります(わ)!」」
おい。おいおいおいおいおいおいおい。
ちょっと待ってくれ。部下たちの次は、3人娘だと?ふざけてるのか?
フィネークはともかくとして、セシルとダリヤに渡せる菓子類なんてあるわけないだろう。庶民のものばかりだぞ?
高級チョコも今は置いてないし………どうしよ。マジで。
「少将?」
「あのぉ~。水鉄砲ぶっ放してもいいですか?」
「濡れてる少将もいい男だと思いますけど、やっていいんですねぇ?」
「あ、ちょっと待て。今用意するから」
「「「「はぁ~い」」」」
「早くしてくれないと、撃ち抜いちゃいますからねぇ」
危ない。3人娘のことを考えていたら部下にいたずらされるところだった。
現在、部下たちが水鉄砲を構えて俺に向けているところである。………いや、数人は明らかに水じゃないものも混ぜていそうだな。たぶん、揮発性があって、目に入るとめちゃくちゃかゆくなるやつとか入ってるんじゃないか?
この部下たちなら俺にやりかねんな。
急いで用意することにしよう。
すぐに棚に入れておいた袋詰めの菓子類を引っ張り出して人数分をそろえ、
「ほら。これで良いか?」
「「「「はぁ~い。ありがとうございます!!」」」」
口の中にもらったものを全員放り込む。
それで満足そうな顔になって、
「「「「じゃあ、あとでお菓子持ってきますねぇ~」」」」
そんな事を言って去っていった。
俺も、
「期待せずに待っている」
と返しておいたぞ。
別にあいつらの料理が下手とかそういうことではないのだが、うまいわけでもないからな。普通に市販のものを買った方がおいしかったりする。
と、そんなことはどうでもいいな。
それよりも考えなければならない大事なことがある。
「トリック・オア・トリートですわぁ!!」
「トリック・オア・トリートです!」
「トリック・オア・トリートです。す、すみません」
この3人娘どもの対応だ。非常に面倒ではあるが、やらなければならない。
まず確認として、
「先ほどの部下たちに渡したものでは………」
「ダメですわ!」
「ダメですね」
「わ、私は別にそれでも良いというかなんというか」
「あっフィネークも私たちと同じものでないとだめですわよ」
フィネークだけはどうにかなりそうだったが、セシルの言葉でダメになった。マジふざけんなである。
とりあえずいろいろと部屋にあるものを見せてみるが、
「うぅん。なさそうですわね」
「ですね」
セシルとダリヤはそう判断したようだ。
2人で俺にそろって水鉄砲を向け、
「「イタズラしちゃいます(わ)」」
同時に引き金を引いた。
俺の顔に、2方向から水がかかる。
「………………」
無言で俺は2人へと冷たい視線を向ける。が、2人は俺のそんな目線など気にした様子はない。
すぐに後ろを向いて、
「撤退です!」
「逃げるが勝ちですわぁぁぁ!!!!」
走り去っていった。ピンポンダッシュするクソガキみたいな感じだな。だいぶイラっと来た。あともう少しで殴るところだったぞ。
で、2人がいなくなったのを確認してから一度ため息を吐いて俺は濡れた顔を軽くふく。そして、
「訓練生。どうする?」
「あっ、わ、私ですか?」
フィネークに俺へいたずらするのかと尋ねてみる。どうせこんな時くらいしかそういう機会はないし、今回だけならやらせてやってもいいという気持ちはある。あのクソガキどもみたいに我がままではないからな。まだ許せる。
それに、もう掃除と洗濯を行うのは確定だし、この際1回も2回も変わらないな。
が、
「い、いえ。大丈夫です。………どちらかといえば、私がちょっとお菓子をあげてしまいたいといいますか」
「む?」
「あ、あの。これ私が作ったチョコなんですけど、良かったら食べてください」
「ああ。ありがとう。ありがたくいただく」
フィネークからチョコを渡される。
手作りチョコなようで、ハートの形こそしていないもののハート形のデコレーションをされていたりとなんとなく気持ちは理解できるものだった、これは、バレンタインとかで渡すものではないかと思う気持ちもあるが。
「あ、あの。よかったら今食べて感想を教えてもらえませんか?」
「む?………まあかまわんが」
俺は少し突然の頼みごとに困惑しつつも、フィネークの頼みを了承する。包み紙を開けてチョコをかじる。口いっぱいにチョコレートの甘さが広がり、後味に若干の苦さと手作りによって生じた油分を感じる。
ただ、こういう時に言う言葉は決まっているよな。
「ふむ。うまいぞ」
「本当ですか!」
「ああ」
俺がうなずくと、フィネークはパッと顔を輝かせる。そして、機嫌よさそうににこにこと俺を見ている。
フィネークから観察されながら、俺はチョコを食べすすめた。
そうしていると、なぜだか頭がぼぉっとしてくるように感じる。そしてそれとともに、心の内側からあふれる衝動が抑えられなくなってきているような気がした。
「………ねぇ。隊長。やっぱり私、もらってもいいですか?とっても幸せなデザートを。たくさん生クリームも絞ってあげますから」
フィネークはそう言って笑い、舌を口から出す。そして、自分の服へと手をかけた。
そのまま俺はフィネークからベッドへと押し通され………………
「………………ハッ!」
俺はガバッと体を起こす。どうやら俺は寝てしまっていたようだった。
つまるところ先ほどまでのあれは、
「夢、か」
そう。夢だったのである。
なんだか現実味のある夢だったが、夢ならそれでいい。あんなことが現実で起きていればいろいろと変わってしまいマズかっただろう。
俺は額に浮かぶ冷や汗をぬぐいつつ起きようとして、違和感に気づいた。
俺、服を着ていない。
「それに、下半身に違和感も………………」
非常に嫌な予感がした。
それと同時に、俺が動いていないのにもかかわらず掛布団が動き出し、俺の目の前に白い肌が現れる。
「おはようございます。少将。トリック・オア・トリート、ですよ」
怪しく微笑む彼女を目の前にして、俺の頭は真っ白になる。そのあと数秒もたたないうちに。俺たちの脳は崩壊した。




