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2.作業の間は新人の話ですけど何か?

前回誤字がひどかったようですね。気を付けます!

シグマが動かす船が到着し、すぐにティアは作業へ取り掛かった。

その間俺は待っているわけだが、暇であるというわけでもなかった。シグマからいろいろとデータを見せてもらっているのだ。


「この宙賊すごい良い動きをしているな」


『そうですね。ジャンクパーツをつないだ欠陥品ではありますが、それをすべて腕だけでカバーしています』


「仲間に欲しいくらいだ」


『確かに戦力としては非常に心強いものがあると思われます。ただし、通信から入ってきた音声を考えると人間性はあまりよろしくないと判断します』


「まあ、確かにな」


俺が仕事に出かけている間、シグマも死神として活動している。残念ながら俺のAI作成の腕が低いのかシグマの実力はたいして高くはないのだが、それでも装備の差なども相まって野良の宙賊程度なら余裕で倒せるのだ。

そんな中で、シグマが見てきた強い敵や興味深いものなどの情報を受け取る。


今回は強い宙賊がいたそうだ。

場所はドワーフを誘拐していた少し前までの敵国であり、今の属国の1つである。

あそこは賠償やら従属やらで急激に治安が悪くなっている。そのため宙賊の数も増えてるんだよなぁ。宙賊のアジトみたいなのもいくつかすでに作られているようだし。


「しかも、逃げられてるのか」


『はい。申し訳ありません』


「いや、かまわない。ここで無理をして船やシグマが消えるよりマシだ」


『………そうですか』


ちなみに強い宙賊には逃げられたようだ。

いくら強いとはいえ1隻だけだったのに加え、船もたいして強いものではなかったみたいだったからな。戦力で言えばシグマの方が上だったらしい。

とはいえ、それでも序盤は五分の戦いをしていたらしいから腕は相当なものだとわかるが。


「で?全体としての収穫はどうだ?」


『集まってくる宙賊が多いということで、1つ1つの収穫は少ないものの全体でみれば大きいです』


「そうか。やはりエンカウント率が高いというのも大事な要素だな」


薄利多売ならぬ、薄利多破だ。1つ1つの船が弱いから、そこまで消費するエネルギーも多くはない。それに、運転するのがシグマなら連戦による集中力の低下などもないしな。今あの場所でシグマが動くというのは非常に適している。


「………しかし、あのあたりに宙賊が多いとなると軍の方でも宙賊退治の話が上がりそうだな」


『では、艦隊があちらに行かれるのですか?』


「わからん。が、十分あり得ることだよな」


今の俺たちの艦隊は、英雄のような扱いをされているのだ。だから、このまま英雄のイメージを崩さないためにコンスタントな成果を見せられる宙賊退治というのは国が望んでくるかもしれない。


「断る理由もないしな」


『そうですね。宙賊退治で艦隊の名声が高められ、さらに新人の教育が可能なのであれば断る必要などないでしょう』


新人。そう、新人である。

実はドワーフの救出をしたりした影響で俺の階級は今少将にまで上がっていて、持つ部下の数も増えたのだ。俺が率いているわけではないのだが、艦隊の人数が増えたのだ。

その増えた新人たちの教育、というか連携をうまくとるために宙賊退治を行うのは悪いことではないだろう。


「とはいえ、新人というのは名前だけでほとんどが元軍人なんだけどな」


『そうですね。新しい部下の方々は、元捕虜で国の教育が終わった方々なのでしょう』


「きっとそうだろうな」


元捕虜。

その中でもこちらに鞍替えすることを望んだりした連中が俺たちの艦隊に送られてきたのだ。なんというか、悪意を感じるような気もする。


おそらく部下を増やして艦隊の見栄えを良くしようというのが国の思惑で、そこに不穏分子を混ぜ込みたいという王子派閥の思惑がうまく入り込んだのだろう。

でなければこうはならないと思うのだ。


「まあ、幸いなことに1人はまとめ役みたいなのも増えたし」


『そうなのですか?』


「ああ。例の指定危険生物を送り込んでくるとかいう悪夢みたいなことをする方法を考えたやつを勧誘してみたんだ。そしたらそいつがなんと属国になった国でもともとかなり高い地位にいたやつでな」


『そうなのですね。それは期待できそうです』


そうなのだ。本当にいい拾い物をしたと思っている。

ちょうど補充をもらう時に欲しいものはないかと言われて、俺はそれができる人材が敵にいるだろうということで望みを言ったのだ。そしたらそいつがたまたま今回の敗戦やらもろもろの責任を負って借金漬けになっていたことが発覚してな。

そこを国の力で助けてもらって、俺の部下になってもらうということになったのだ。


救われた影響もあってか、俺や国に対しての忠義は今のところ篤いように思える。

そして、研究のほうが本分だというので新人をまとめることはしてもらうが研究もある程度許可するといったらとてつもなく感謝された。正直借金漬けから救った時よりも感謝されたような気がしなくもないが、とりあえず裏切る可能性は低いし、やる気はある状態だな。

きっと艦隊にとって有益なものを生み出してくれることだろう。

………ただ、艦隊内で指定危険生物を扱うことは固く禁じたが。


『当たり前ですね』

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― 新着の感想 ―
[一言] 勘が鋭い人がきましたか。 良いもの作ってくれるといいのですが。
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