3章 プロローグ
ここから3章になります!前回の最後で専用機云々ということを書きましたが、専用機が出てくるのは次章からになります。ので、引き続き3人娘のイメージに合う動物や専用機はよ出せコールなどお待ちしておりますw
『ギャアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!????????』
『やめてくれぇぇぇぇ!!!!!』
『いやだいやだいやだいやだいやだいやだ!死にたくないいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!』
「………ふぅ~。今日も宙賊どもの悲鳴が宇宙に響いてるなぁ。宇宙からまたごみが減り、俺も宇宙の役に立っているのが実感できるぜ」
敵の通信から悲鳴やそれに近いものが次々と届く。もちろん全部無視して、等しく死を送り届けてやる。
レーザーでシールドごと船を貫き、近距離から実弾を打ち込んで穴だらけにさせる。逆に敵は攻撃がすべて俺に避けられ、無駄撃ちの連続だ。
数分もしないうちに宙賊たちはスクラップへと変わる。実力差がありすぎたな。
さて、ここで俺の自己紹介を簡単にしておこう。
俺の名はゴトー・アナベル。乙女ゲームのモブへと転生した、軍のしがない少将だ。その乙女ゲームの悪役令嬢が率いる艦隊で、副艦長をしている。
エリートコースを全力疾走する、若手の出世頭だぞ。
だが、今現在の俺はそんな役職の人間として動いていない。
今の俺は1人で船に乗って宙賊たちを殺し、船の部品を奪い、拠点に乗り込んではため込んでいる金品を奪っていく、しがない賞金稼ぎだ。
一応『死神』なんて呼ばれてもいるぞ。
「こうして賞金稼ぎをするのも、良い休暇の過ごし方ではあるよな………っと、なんだ?通信が入ってるな」
戦闘をしていて気づかなかったが、俺にメッセージが届いているのが分かった。
送り主は、
「あいつか」
俺はその名前を見て、高まっていた闘争本能を一瞬にして鎮める。なにせ、今かなり重要な立場にいる人間からのメッセージだったからな。
俺としては今過ごしている休暇を宙賊狩りだけで過ごしたかったのだが、このメッセージがきたとなるとそうも言ってられなくなった。
すぐに俺は帰還の準備をする。
「………シグマ。予定変更だ。帰るから、あとのことは任せた」
『かしこまりました。今回の休暇中に戻ってこられる可能性は?』
「わからん。もしかしたら再度乗ることもあるかもしれんから、離れた場所での活動は控えてくれ」
『了解しました』
俺は船に積んでいるAIのシグマに俺が下りた後のことを任せる。
そして心残りをなくした状態で死神としての活動を終わらせる。そして、呼び出しに応じるために急いだ。
それから数日して、
「………久しぶりだな」
俺は指定されていた目的地に到着する。
そこは広い工場で、よくわからない機械があたりに散乱している。だが汚れやほこりは比較的少なく、実に工場らしい油の付着を感じる程度だった。
そんな工場の中で働くのは、いくつもの機械。単純作業を繰り返し、何かを量産しているのが分かる。
だが、俺の出迎えをするのはそんな機械たちではない。
「久しぶり、ゴトー。会いたかったよ」
「ああ。それは俺もだ。で?急に呼び出して何の用だ?」
作業服、ではなく白衣を着た女性である。メガネをかけていて、いかにも頭がいい風にそこだけを切り取れば見える。が、長い髪はぼさぼさで、白衣の下に来ている薄いシャツはよれよれ。
格好良さなど微塵も存在してはいない。
ただ、こいつの場合それで別に構わない。こいつは不特定多数と接するような人間ではなく、ひたすら物を作り続けるタイプだからな。
天才型で、モノづくり以外ほとんど興味がないタイプなのだ。さらに、人との関わりをあまり好まない。
が、それはそれとして、
「いやぁ~。ドワーフの紹介ありがとね。僕もさすがにあれは新鮮だったよ」
「そうか。何か参考になったか?」
「なったなった。なりまくリングさ。さすがはドワーフだね。お互い知らない技術ばっかりだったから盛り上がっちゃったよ」
「それは良かった。紹介したかいがあったというものだ。………で?その話が出てくるということは、今回は?」
俺はその天才型のクソダサに目を向ける。
こいつがドワーフ云々と言っているからわかるかもしれないが、こいつは『逸脱者』という存在の1人である。逸脱者というのは将来の脅威へ備えるのに必要な、俺がかなり前から目をかけて育てている人材たちだ。
そんな逸脱者の中で、こいつはモノづくり関係を担当にしている。
「ふっふっふ~。今回は、ゴトーの予想通りドワーフから得た技術を使ってみたいっていうことさ」
「なるほど。そこで使ったものを俺に試してみてほしい、と?」
「そういうことだね」
うなずくクソダサ天才。
………おっと、こいつの名前を出すの忘れてたな。こいつの名前は、ティアシィ・オレンジ。愛称はティアだ。
ティアによれば。ドワーフから得た技術をいろいろと使ってみたいから俺に試してみてほしいのだそうだ。俺としても技術関係で圧倒的に高い場所を行くドワーフから得た技術というのは楽しみではあるな。
となると、それをするうえで、
「船を呼んだ方がいいか」
「そうだね。頼める?場所は工房の方で良いと思うんだけど」
「ああ。それなら問題ないだろうな。ちょっと待ってろ」
俺は今回の試しのため、連絡を入れた。
シグマにあまり遠くへ行かないよう伝えておいてよかったな。




