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68.口が滑りましたけど何か?

いつまで作者はタイトルに、【2章開始】ってつけたままにするんだろう?もうすぐ終わりそうなんですけど?

「………ですから、殴らないであげてくださぁぁぁぁぁぁい!!!!!」


「「むぅ」」


フィネークが早口で事情を説明し、セシルとダリヤの2人がドワーフを殴ろうとするのを止めている。だが、2人とも不満げな表情だな。

さすがに事情を聴かされれば完全にすべてが悪い行動だったとは言えないし、好きに殴っていいほどかといわれると悩むのだろう。それに加えてフィネーク本人も許してしまっているし。だがだからと言ってその気持ちが収まるわけもなく、殴りたいけど殴れないという状況になっているのだ。


「お二人とも、今は矛を収めてはいかがでしょうか」


2人ともまだ納得が言っていないようなので、俺が少し間に入ることにする。

本当はこんな役回りは嫌なんだが、今後のことを考えてやっておくべきだろう。


「今は、と言いますと、またあとでならば殴ってもいいということですの?」


「それは小官には何とも言えません。ただ、ドワーフの種族的特性から考えて殴りたいと上に申請すれば殴ることは可能かもしれません」


「あぁ~。ドワーフはそういうのがしっかりしてるんでしたね」

「ただ謝って終わりという種族ではないのでしたわね」


ドワーフは何か問題が起きた時に謝って終わり、ということで済ませるなんていうことはしない。常に謝罪の気持ちを表す何かを行動で示すことに案る。

だから、そういう側面を考えれば決して殴ることも正式な謝罪の一環としてできないわけではないと思う。


「ただ、殴る分を訓練生のためになることに代えることも同時に可能ではあると思いますが」


「「うっ!」」


2人は同時に顔を引きつらせる。

ドワーフは謝罪に行動を伴うが、その謝罪は必ずしも暴力を受けるということだけではない。賠償金を支払うこともあるし、何か大事な素材を渡したり、自身のできる最高級のものを作って渡したりすることもある。


それなのに、自分たちの気が収まらないからという理由で友人が得られるものを失わせてしまっていいだろうか?

俺はそう2人に問いかけているわけだ。渋い顔をしてうなるのも当然だろう。


「ま、まあ、今回は事情がありましたし」

「非常に、非常に不本意ではありますが、友人のためこのこぶしを下ろしましょう」


しぶしぶといった様子で2人は振り上げていたこぶしを下ろす。これでドワーフに暴力が振るわれるということもなさそうだな。

とりあえず2人を止めたということでフィネークのほうを見てみれば、あからさまにほっとしている表情を浮かべているのが目に入った。

すぐにフィネークは見られていることに気づき頭を下げ、


「大佐。ありがとうございます」


頭を下げてきた。

2人を止めたがっていたのもフィネークだし、俺は彼女の求めに応じた形だからな。


「気にするな。………その代わり、お二人が満足するような要求を今のうちに考えておくことを勧める」


「え?………………………あぁ~。そうですね。そうします」


フィネークは2人の顔を見て、何か悟ったような表情をした。

ここでなぁなぁで済ませようとしたら、確実に2人が切れるだろう。最悪ドワーフに殴り込みをかけに行きかねない。

そんな俺たちの会話は2人も聞いていて、


「そうですわね!私たちの怒りの分もしっかりと吹っ掛けてやりませんと!」

「そうですね!どうしますか?お金も欲しいところですけど、やっぱり相手はドワーフなのですから………」


「え?あ、その~。あんまり激しく要求するのは………」


「「私たちが納得しませんけど?」」


「………うぅ」


2人がふっかける内容を考え始めてフィネークがほどほどにするよう要求するが、さすがにそれは2人に通じなかったようである。涙目で最後の頼りである俺に目を向けてくるが、俺は無言で首を横に振った。


フィネークにはぜひとも1人で頑張ってもらいたい。さすがにここまで踏み込むと、何かあった場合俺へのとばっちりがとんでもないことになりそうだからな。

あと、俺としても別にフィネークをさらったことに怒っていないわけではないから、吹っ掛けるのに関しては反対じゃないんだ。正直俺たちの国の国家予算の半分くらい要求してもいいのではないかと思うほどだ。


「「「た、大佐………」」」


「はい?」


なぜか俺の名が呼ばれたので顔をあげてみれば、3人から見つめられていた。セシルとダリヤの顔には納得したような、フィネークの顔にはどこか恥ずかしそうな表情が浮かんでいる。

どうしたのだろうかと首を傾げそうになったところで、


「国家予算の半分なんて、大佐もフィネークのことをずいぶんと気に入っているようですわね」

「なんというか、大佐のことをまだ誤解していた気がします。大佐は、部下思いのとても素晴らしい方なんですね」

「た、大佐。そ、そのぉ………嬉しいです!」


3人の言葉。それを聞いて理解する。

俺の心の声、外に漏れていたのだと。


おそらく漏れていたのは、俺に2人を止めてほしいというフィネークの要求に首を振った後の少しだろう。国家予算の半分という単語が出てくるあたり、そうだと思う。

まさか心の声が漏れてしまっていたとは………失敗したな。


「おっと。申し訳ありません。口が滑ったようです」

さらっと好感度を上げてくゴトー大佐に敬礼!



そういえば、新作の宣伝をしていなかったのでここで。

新作は、女装した勇者が悪役令嬢として生きていく話になります(半分くらい本当)

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