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64.合流しましたけど何か?

ついにこの作品が作者の中で1番ポイントの高い作品になりました。

ありがとうございます。

どこか見逃したんじゃないかとか、船を突っ込ませたのに巻き込まれてしまったんじゃないかとか。心が焦ってしまう。

こんなことで焦るとは俺らしくもないんだがな。

自覚はなかったが、フィネークに多少なりとも愛着があったのかもしれない。


「まったく………困った部下を抱えたものだ」


俺はそう言いながらも、落ち着き慎重に作業を行っていく。やることはいつもと変わらないんだから、恐れることはない。

俺ならやれる。


そうだろう?



「………っ!いた!」


基地に乗り込んでから10分ほど経過しただろうか。

基地内の7割ほどを探知し捜索した俺は、ついに求めていた気配を感じ取る。すぐに周りの兵士の首を飛ばし、安全を確保。


「…………被害が軽微であればいいのだが」


敵軍に捕まったのであれば、捕虜がどんな扱いを受けるのかは分からない。フィネークは顔も悪くないし若いし、場合によっては…………


「大佐!」


「訓練生。助けにき、むぐぅ!?」


「大佐!大佐ぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


俺が姿を見せた段階でフィネークは牢から出ており、俺に突撃をかましてきた。どこでとは言わないが、抱き着かれたことにより俺の口はあまり動かしていい状態ではなくなる。

俺は自身の気持ちを落ち着けつつ、同時にフィネークの心も落ち着けるように背をポンポンと何度かたたく。次第に俺へ抱き着いてくる力は弱まり、


「大佐ぁ~助けに来てくれたんですね。ありがとうございます!とっっっっってもうれしいです!」


輝く笑みで礼が述べられた。

それに俺は無言で首を振り、片手を彼女の頭を上に置く。フィネークは気づいていないようだが、彼女の笑顔は輝きすぎていく。

それはまるで、何か暗いものを隠すように。


だが、そのメッキは数秒もしないうちにはがれた。

俺がその頭をポンポンと叩くたびに顔はゆがんでいき、


「あ、あれぇ?大佐。私、おかしいです。ごめんなんさい。うれしい、うれしいはずなのに。なんで………なんで、涙が………………うぐっ!ひぐっ!」


俺は無言で彼女を胸に抱く。しばらくくぐもった、うめくような声が俺の胸で響いた。俺の宇宙服は濡れるが、そんなことは気にしない。宇宙服なんだから、汚れるのは当たり前だ。


そうしてしばらく時間がたち、フィネークが落ち着いてきたタイミングで、


「あぁ~。そろそろ俺も加わっていいかい?」


この付近にいる、唯一の俺たち以外の生き残り。フィネークとともに行動しているようだったドワーフが話しかけてきた。

なんとなく俺はこれまでの情報から考えて、


「もしや、訓練生を誘拐したというドワーフか?」


「え?あっ!?あぁ~そのぉ~そうというか違うというか悪気はなかったというかなんというか………」


俺の質問にうろたえ、早口で言い訳がましいなにかを言い始めるドワーフ。

そこで俺は確信した。こいつがフィネークを誘拐したのだと。


だが、少し違和感もあった。

ドワーフとフィネークはともに行動していたが、フィネークがドワーフにあまり警戒を見せていないように探知した時から感じていたのだ。誘拐してきたドワーフだというのなら、フィネークが少なくない嫌悪感や警戒心を見せてもいいと思うんだが。

なんて俺が思っていると、


「あっ。あのぉ。大佐。悪気があったわけではないらしくて………」


フィネークが事情の説明をしてくれた。そして、その説明で援護を受けたドワーフが、自分はそこまで悪くないという証拠を示すかのように補足を入れてくる。

そして、


「私もおかげでひどいことはされずにすみましたし………」


できれば許してあげてほしい。

フィネークからはそんな感情が読み取れた。


何とも言い難いが、気持ちが全く分からないわけではないんだよな。特に、ここで信用を得ていたほうが仲間のドワーフが殺されづらくなるっていうのは確かなことだし。

だが、だからと言ってそれで部下が誘拐されるのを許していいかというとな………


「………ふむ。まあ分かった。小官が何かをするということはないと約束しよう。ただ、危険な存在として拘束はさせてもらうが」


「あぁ。わかってる。痛めつけられたり殺されたりしないなら構わねぇよ」


了承を得てから、俺はドワーフを風の魔法で縛り付ける。しっかりと抜け出せないように、身動きが取れないような状態にまでした。

それから、


「船のある位置にまで運ぶから、訓練生はついていくように。道中の敵は小官が殲滅したはずだが、警戒は怠るな」


「イェ、イェッサー!」


俺はドワーフを風で運んでいく。フィネークも俺の言葉に敬礼をして答えてから、走ってそれを追いかけていった。もちろん、俺の言いつけに従って周囲を警戒するようにしながらな。

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