60.単騎特攻ですけど何か?
明日、諸事情により昼頃に2話投稿する予定です。
援軍もないしフィネークもいないのに敵が強い。無理ゲーだった。
だから、使えるのは奇策くらいだ。
「では、行って参ります」
『ええ。気をつけて下さいまし』
『お気をつけて』
俺の船は1隻で艦隊から離れる。どうせ俺が使うのは敵国の船だし、ある程度荒い使い方をしても問題無い。そう考えた俺は、たった1隻だが荒らしてまわろうと思ったのだ。
……どこをって?それは勿論、敵の基地をだ。
『なんだ貴様はぁぁぁ!!!?????』
『お、おい!?何のつもりだ!?』
『気でも狂ったか!?……って、違う!この船、敵に奪われたやつだぞ!リストに載ってたやつだ!』
俺はまず、敵の基地に接近。
そして、何のようかと近づいてきた敵の兵士は俺が乗るものが味方の戦闘艦であったため油断。そこで俺の船が実弾を発砲して大きな被害を生み出したため、大混乱になっていると言った感じだ。
こちらに事情を尋ねるに当たって通信を繋げてきたから、敵の方の慌てぶりが良く入ってくる。
因みに実弾を使ったのは、近距離で向こうも避けようがなかったからだ。レーザーと違ってエネルギーで攻撃を感知されることはないし、近距離だと速度の遅い実弾でも避けられることもないんだよな。
だから、この機会で実弾を使ってみたわけだ。
レーザーを使うよりかなり良い結果は出たと思う。
「……けど、全く余裕はないな」
俺はマイクが入っていないことを確認してから一人愚痴る。
確かに初手で付近の奴らに良いのを入れることはできた。1隻で数隻を鎮めたのだから、悪いことなど1つもない。
だが、悪くないからと言って状況が激しく良くなるわけでもないのだ。余裕なんてないし、今のままだと確実に敵から狙い撃ちにされて船を潰される。
「流石にそれはマズいよな、……とっ!」
俺はすぐに敵の包囲から抜け出し、そのまま多くの敵の射線にはいらないように障害物の影などに隠れつつ移動する。
いくつものレーザーが近くを通り過ぎ、俺の視界を白く染めた。それでも冷静にレーダーを見ながら行動し、敵の基地へと接近していく。
「……前方に12隻、後方から25隻か」
合わせて40隻近い船が俺に接近している。そして、バカスカと砲撃を行なってきていた。
前方の敵の方が数は少ないが、だからといってどうにかなる差ではないんだよな。12隻でもこの使い慣れない船を1人で動かしてさばくなんて俺の技術では厳しい。
だから、
「ターンを決めさせてもらう!」
俺は船を反転させる。
急な反転で船にも俺の身体にも負荷が掛かるが、それでも前方の12隻に真正面から挑むよりはよっぽどマシ。
それよりも、
『なっ!?反転してきた!?』
『慌てるな!次の角で仕留める!』
『合わせるぞ!』
後方の25隻に俺は挑む。
こっちも真正面から挑むことにはなるのだが、前方にいるのとは違い今射線に入っていない。障害物を抜けると鉢合わせることにはなるが、それでもここには、
「仕掛けることはできるんだよ」
こっちはさっき通った場所である。そこに反転して戻っているのだから、事前にいろいろと準備することだってできたのだ。
例えば、
「機雷、とかな」
いつも通りの作戦だ。敵のレーザーを機雷で防ぎ、擬似的なバリアを作る。俺はそれをやったのだ。
お気に入りの防御方法であるから、ついつい多用してしまうな。敵に読まれて対策される可能性があるから多用は控えた方が良いのだが……。
『何!?防がれただとぉ!?』
『ば、馬鹿なぁ!?」
『突破されるぞ!反転しろ!逃がすなぁぁぁ!!!!』
機雷バリアが消えると同時に、俺は迫ってくる敵に向かって俺の船を進める。そしてそのまますれ違うようにして動き、そこで、
「プレゼントだ。現物だから、ありがたく受け取ってくれ」
『『『ぬおぉぉ!!???』』』
『っ!?やられた!実弾を撃ち込まれたぞ!』
また実弾をぶっ放しておく。すれ違うようにして撃ったため敵も避けることはできず、実弾は敵の船の装甲を貫いたようだ。沈められてはいないだろうが、5隻くらいには被害を出したのではないだろうか。
後は反転して向かってこようとする敵に置き土産として、
『『『き、機雷だぁぁぁぁ!!!????』』』
『『『ぐおおおぉぉぉぉ!!!おのれぇぇぇぇ!!!』』』
置いていった機雷でまた被害を増やした。俺が反転するときにも機雷を追いいてきたから12隻いた方にも被害を与えられたはずだし、相応の被害は出せているのだろうが……
「あってないような差だな」
敵は多い。10隻沈めたとしても大して変わらないくらいには多い。
だからこそ俺の目的は、基地への接近となる。
「向こうは変わらず、こっちの傷は増えるばかりだな」
俺の方の船も無傷では勿論ない。機雷バリアを使ったとは言え、全ての砲撃を防げたわけではないのだ。
強い主砲クラスの攻撃はどうにか当たらずに済んだが、副砲のようなものでかなりシールドを削られている。完全に削りきられてしまうのも時間の問題だろう。
できればこの船が完全に沈む前に、
「基地へとたどり着きたいものだが……」




