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歴史改竄(4)

 そして、今回の奇妙な世界で成立しているのが、計画から数年遅れで達成されるであろう「海軍補充計画」になります。

 この巨大な決戦海軍の結局の目的が、アメリカと戦争をしないための見せ金であり、アメリカともソ連とも何とか本格的な戦争をせずに乗り切っていくための、重要な外交カードという事になるでしょう。

 今日で言えば、途上国が原爆を持っているようなものです。

 

 しかし、戦争もしくは大規模な戦闘は考慮しません。

 日本がアメリカと本格的にぶつかった時点で、何かの間違いでよほど一方的に勝利しない限り、日本にとっての終わりの始まりです。

 全面戦争となったら、既に核兵器を開発・保有しているであろうアメリカが何をしでかすか、想像に難くはないでしょう。

 

 最悪、ドイツよりひどい袋叩きです。

 

 また、開戦時期がズレて、日本が核戦力を保持するようになれば、一部オカルト嗜好の人が大好きなアルマゲドン(最終戦争)とやらをしたいのでない限り、今度は日米激突という可能性が大きく減退します。

 

 また一方で、海軍が補助の役割に徹する事になるであろう日ソ間での大規模な戦争の可能性は、日ソ単独という要素では非常に低くなります。

 どちらも、アメリカ率いる欧米勢力を無視できませんからね。

 

 そしてソ連から見ると、火事場泥棒するには日本の軍事力は大きすぎます。

 戦後5年程度では、ソ連自体がドイツとの戦いの傷を癒しきっていないため、したくてもできないと考えられます。

 もうレンドリースもありませんしね。

 

 いっぽう日本の側から、ソ連に全面戦争を吹っかける理由はありません。

 だいいち、戦争するだけの陸軍力がありません。

 

 やったとしても、双方ノモンハンレベルの紛争を起こして、外交的優位の獲得を目指すぐらいでしょう。

 そして、アングロ同盟というある意味共通の敵を持つのですから、そんな戦闘に意味はありません。

 限定的でも良いから経済関係を結んで、お互い足りない物をやり取りする方がよっぽどマシです。

 

 そして第二次世界大戦で影響力が著しく減退する欧州列強が、太平洋に本格的パワープロジェクションできるとは考えられません。

 

 けっきょくは、日米の外交が、アジア・太平洋での覇権競争が全てを決すると言えます。

 

 やはり巨人と龍は、一度戦わねばならないのでしょうか。

 


 ですが、日本とアメリカが形振り構わない喧嘩したら、ほぼ間違いなく日本が負けます。

 

 なにしろ相手は悪魔ナチを倒した巨人で、龍の方はどうにか自分の巣穴を守れる程度の力しかないからです。

 

 開戦直後に、アメリカ東部海岸に巨大隕石が落ちるぐらいの幸運が必要でしょう。

 

 史実と似たような第二次世界大戦を経たアメリカの国力、工業力は、少々国力が大きくなった程度の日本では、核戦力保持によるブラフでも使わない限りどうこうできる存在ではありません。

 

 これはアメリカが、欧州戦に深く肩入れてして海軍の拡大が十分でないと仮定しても、一度か二度の戦術的勝利が日本にもたらされるのが精一杯と言えます。

 

 ただ、まったく希望がないかと言えば、アメリカと日本の双方がどのぐらいの戦争を意図しているか、日本がどのぐらいの時期に開戦するかによっては光明が見えてくるかもしれません。

 

 アンクル・ホーが勝てたんです。

 強大な艦隊を持つ日本にできないことはないはずです。

 


 アメリカは、第二次世界大戦で欧州を手に入れるために総力戦を行っているのは間違いありません。

 戦後の財政再建のための軍事力の解体(史実では最盛時の約九割を解体している)、戦時経済から民需への転換、戦費の返済など負のファクターは多くあります。

 

 ただし、史実ではこれを成し遂げた上に、50年代には未曾有の繁栄を迎えています。

 アメリカ恐るべしですね。

 

 いっぽう、何となく戦争に付き合っただけの日本は、形振り構わない戦争を吹っかける絶好の好機、かもしれません。

 なにしろ日本はいまだに発展途上国で、人的資源のコストはアメリカと比較にならないぐらい低くなります。

 もちろんここでのコストとは、人命と国家の大儀を比較した場合の差です。

 

 ぶっちゃけ、自国民100万人の代価でヤンキー10万人を殺して、自国に優位な停戦に持ち込めるなら、国家としては採算が合うわけです。

 

 状態としては、朝鮮動乱ぐらいの状態です。

 

 どこかで泥沼状態に追い込めば、ドローに持ち込める可能性があるわけですね。

 

 そして、いかなアメリカといえど、日本と3年以上の総力戦をする財政的裏付けが小さいです。

 また、軍隊の多くはまた再構築しなければならず、うまく千日手に持ち込めれば、日米ともソ連が気になるので、互いに歩み寄る余地があるからです。

 

 利害一致と三竦みこそ外交の基本ですからね。

 

 そして、アメリカ側から日本に対して短期総力戦争を仕掛ける可能性はほとんどありません。

 何しろ経済戦争を仕掛けて屈服させてしまえばいいからですし、その方がず〜〜っと安上がりです。

 

 それにもし日本がアメリカに理解できない理由で激発しても、戦争をするまでに経済戦争で弱らせてしまえば、後が楽になります。

 史実ではそうしましたからね。

 

 つまり、もし昭和25年頃に太平洋戦争が勃発するとするなら、アメリカが日米貿易摩擦で激発するよりも、日本が経済的・外交的苦境から激発する可能性が高くなります。

 

 そしてこの場合の日本の純粋な戦争面での勝機は、まずは準備万端の短期決戦をしかけてアメリカの前衛戦力を撃破。

 そこで生まれた初期のアドバンテージを利用して、アメリカの戦時生産が再び回転し、財政が悲鳴を上げるまでの間、戦術的な意味での戦争を保持することでしょう。

 

 この際戦争を始める理由は、白人以外が納得できる理由ならなんだってかまいません。

 戦争の片手間で、大儀獲得のためだけに東南アジア解放をしてもいいぐらいです。

 経済戦争をイデオロギー戦争に置き換えてしまえば、アメリカもさぞやりにくいでしょう。

 

 そして後半戦は、アメリカをどこか中規模の島(マリアナ諸島かパラオ諸島が適当だろうか)におびき寄せて、そこで泥沼の地上戦をしてしまうのです。

 

 先にも書いたとおり、第二次世界大戦と違ってアメリカ市民は、数万の棺桶の大行進には耐えられないからです。

 朝鮮動乱でも同じ状況を見ることができます。

 

 しかも、目に見える勝利が小さければ、厭戦気分の広がりは大きいでしょう。

 戦場が自国でない遠くアジアや太平洋の僻地なら尚更です。

 

 いかに日本側から戦争を吹っかけたとしても、アメリカ市民の戦意がどれほど持つか見物ですね。

 


 ただし、これはピアノ線の上の綱渡りです。

 

 極めて単純化した国力差は、日本有利の視点で見ても1対4〜6程度。

 ランチェスター・モデルでの計算なら、ジオンと連邦の差ぐらいあります。

 普通なら総力戦など間違ってもできる相手ではありません。

 

 それを初期の優位を利用して何とかしようとするのですから、史実での太平洋戦争と同程度のリスクを背負うことになるでしょう。

 

 ここに大艦隊同士の決戦が必要となってくる、僅かばかりの可能性が生まれてきます。

 まずは、アメリカの鼻面を叩かない限り、日本側に有利な泥沼の消耗戦も成立しないのです。

 

 そして、できるなら最初の一戦だけで戦争を終わらせたいところです。

 

 うまくいけば、初戦の大勝利をショック療法として戦争を紛争レベルで終えることも可能でしょう。

 

 また、先に触れた通り、日本が弱体化すればロシア人がいらぬ事を考える可能性は十分以上にありますが、それ以上にロシア人は欧州正面のアメリカが邪魔でしょうがありません。

 

 つまり、まず第一にアメリカの疲弊、できればつまづくぐらいの敗北を願うでしょう。

 その中で、日本に恩を売りアジア利権に食い込み、あわよくば勢力圏を少し広げようとするのではないでしょうか。

 

 そして日本としても、ロシア人が自らの思惑を持ちつつも助けてくれるというのは無視できません。

 

 とりあえず、満州に大軍を置いて妙なまねをしないようにしておいて、混沌を深めているであろうシナ中央への回廊を提供して、アングロ勢力にあれやこれやしてもらいたいところですね。

 

 そんな日ソの動きは、アメリカにとって看過できないのですが、日本がアジア前面で立ちふさがっている限り、ロシア人の行動を止めることはできません。

 

 しかもヘタに動けば、欧州でとんでもない殴り合いをしなければならず本末転倒です。

 

 そして損得勘定の結果、アメリカは死戦を続ける日本に妥協せざるを得ず、アジア市場の解放と軍縮を条件に停戦に傾く可能性が高くなってきます。

 

 いかに日本側からしかけた戦争とはいえ、自身が死にものぐるいで戦争したうえに廃墟となった日本本土に立ったところで、益するところはなん〜〜んにもありません。

 

 かえって、戦後衛星国となる日本を復興したり、日本がそれまで背負い込んでいたロシア人、シナ人との圧力を受け止めなければならなくなります。

 

 要するに、アメリカが勝ったところで史実アメリカと同じか、それ以上の負債を背負い込むわけです。

 

 負債を背負うぐらいならば、日本がギリギリ妥協できる停戦を持ちかけるしかありません。

 もしくは、まったく逆の状況にアメリカを追い込んでしまうのです。

 

 日本が初戦で大勝利してすぐにアメリカとの停戦を持ちかけ、そこでシナ・満州の市場開放を行うといえばどうでしょう。

 

 しかも日本が裏でロシア人と取り引きする可能性があるとほのめかせば、アメリカとしても動かざるを得ないでしょう。

 


 というように、いざ戦争となると様々な想定が考えられます。

 

 まあ、戦争そのものは後で見てみるとして、一通り時間を追ってきたところで、次は日米特に日本海軍のこの世界での軍備を見てみましょう。


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