艦艇要目(日本海軍)
さて、ここでは今までに挙げてきた主要艦艇についての要目、概要などについて紹介していきたいと思います。
また、本誌の性格上日本の艦艇にスポットをあてて紹介しますので、アメリカについてはさわり程度にしたいと思いますので了解願います。
また、採り上げる状態は、この世界での太平洋戦争が勃発する1950年時点ではなく、建造された時代を反映させるため就役時のものとします。
◆日本帝国海軍
・戦艦
「葛城級」戦艦
同型艦
葛城 就役 1941年5月
笠置 就役 1941年8月
阿蘇 就役 1943年2月
生駒 就役 1943年10月
要目
基準排水量:35000t(実際は38500t)
全長:223・00m 全幅:30・5m
機関出力:128000馬力 速力:30・0ノット
主砲:41センチ(L45)3×3 9門
副砲:15・2センチ(L50)2×4 8門
舷側装甲:350mm 主甲板装甲:150mm
オーソドックスな条約型戦艦としてまとめられた、新世代の日本海軍の戦艦。
もしくは、史実大和と同じ技術を用いて建造された16インチ砲戦艦。
それ以上でもそれ以下でもありません。
主砲も伝統の45口径です。
副砲は、史実阿賀野クラスに搭載されたものになります。
最上級の流用じゃないのは、日本が軍縮条約に再度加わり優等生を演じるため、覆面巡洋艦の主砲を換装できないからです。
なお、軍縮条約に加わり続けるので、この世界の利根級も、15・5センチ砲を搭載して就役します。
話が逸れましたが、これだけのスペックを35000tに納める能力は日本の工業力にはないので、排水量は一割ほど超過気味としました。
諸外国でも同様ですので、無理なものは無理と開き直りましょう。
冶金技術や溶接などがもう少し向上すれば、少しはシェイプアップできるでしょうが、イギリスやイタリアの例を見る限り、主砲を14インチにしない限り、35000tに16インチ9門はきついでしょうね。
でまあ、この世界の第二次大戦で北の女王とにらめっこしている事でしょう。
そして大戦中と大戦後に改装工事を受けて、大幅な防空火力の増強が行われます。
あ、そうそう、ちまたでよく見かける50口径砲は今回採用しませんでした。
史実と似たレールの上の日本に、安定した大口径50口径砲を作る冶金技術はありませんからね。
「大和級」戦艦
同型艦
大和 就役 1944年12月
武蔵 就役 1945年8月
信濃 就役 1946年11月
甲斐 就役 1947年4月
要目
基準排水量:68000t
全長:273・00m 全幅:38・9m
機関出力:172000馬力 速力:28・5ノット
主砲:46センチ(L45)3×3 9門
副砲:15・5センチ(L60)3×2 6門
舷側装甲:400mm 主甲板装甲:200mm
お待たせしました、「大和級」戦艦です。
しかし、1941年の戦時計画で建造されるので、史実と少し違ってきます。
大雑把にいえば、排水量を大きくして砲力、直接防御力以外を強化しています。
一番の違いは、これより前に新型戦艦を建造しているからです。
また、時期的な問題から平賀譲氏が関与しにくい点も無視できないでしょう。
このため、史実の信濃に近い形で計画・建造され、さらに平賀氏の意見が入らないので水密区画が変更されたりするなど、見えない点で色々変化あります。
当然ですが、改良、強化されている分排水量も増えてます。
また、そろそろ日本全体で少しばかり冶金技術の向上が見られるので、缶圧を少し引き上げてそれに平行して機関室も多めにとって少しだけ速力の向上を図りました。
あと、お下がりの副砲もないので、新たに砲塔型の丈夫なヤツを新造します。
どうせこの後たくさん姉妹達を建造するんですからね。
あと細々したことを言い出せば、米英と一時期肩を並べて戦うので、電波兵器が大幅に向上していたり、主力高射機関砲がヴォフォースの40ミリになっていたりなど、色々あるでしょう。
そして一番重要なのは、実質的にこの世界の戦後に就役することです。
これで「大和級」とそれに続く戦艦群は、全て秘密兵器としてアメリカにいらぬプレッシャーを与えてくれる事でしょう。
なお、史実では「改大和級」となる信濃、甲斐ですが、ここではほとんど違いはないものとします。
「紀伊級」戦艦
同型艦
紀伊 就役 1948年5月
尾張 就役 1948年7月
駿河 就役 1949年3月
近江 就役 1949年9月
(※他二隻建造中止)
要目
基準排水量:71000t
全長:273・00m 全幅:38・9m
機関出力:184000馬力 速力:28・0ノット
主砲:51センチ(L45)2×3 6門
副砲:10・0センチ(L65)2×12 24門
舷側装甲:400mm 主甲板装甲:200mm
夢の超戦艦ではなく、51センチ砲を搭載した「大和級」戦艦です。
夢を追い求めるなら51センチ砲を9門搭載した超戦艦を建造したいところですが、大和クラス以上の規模の艦を、当時の日本の社会資本が許してくれないからです。
おそらく満載10万トン近くになるであろう超戦艦を建造したら、日本の港にはほとんど入れなくなるでしょう。
なにしろ神戸や横浜ですら12メートルの深さしかありません。
呉や横須賀もさらに浚渫工事しないとダメです。
だから、このサイズです。
それに大和級と同じな方が、建造コストも安くつきますし、運用効率も上がりますからね。
ただし、主砲以外大和級そのままといっても、主砲まわりは装甲の強化をおこなうでしょうから、その分排水量が増加しています。
また、排水量に合わせて缶圧も引き上げて少しだけパワーアップ図ります(350〜400度/30〜35気圧ぐらいか)。
あと見えない点、見えにくい点として、欧州での戦訓や英米、独から得た技術が大いに反映されるでしょう。
特に、電波兵器と防空火器、ダメージコントロールの点では大きく向上しています。
・空母
「大鳳級」航空母艦
同型艦
大鳳 就役 1943年9月
要目
基準排水量:29300t
全長:260・60m 全幅:27・7m
機関出力:160000馬力 速力:33・3ノット
搭載機:52機+1機(+露天搭載+13機)
備砲:10センチ(L60)2×6 12門
飛行甲板装甲:75mm+20mm
史実そのまんまの、「大鳳」です。
違いは、日本の建造施設の能力が上昇しているので、その分建造期間などが変わってきています。
それ以上語ることもないのですが、しばらく米英と仲良くするので機銃や電探などに大きな変化はあるでしょう。
大出力電探の搭載のために、発電機の増強も行われるでしょう。
変化はその程度です。
あと、国内施設の充実と計画前倒しによって、就役を半年ほど早めて見ました。
なお同艦は、妙な定説のようなものに、「装甲空母」だから前線で使うための「中継空母」とされるものがあります。
確かに、揮発燃料搭載量はそれまでの母艦よりも多くなっていますが、それは単に航空機の進化に合わせたものに過ぎず、「中継空母」でない証拠に爆弾・魚雷・機銃の搭載量は普通です。
また、搭載機数の少なさは、艦載機のサイズそのものが原因です。
一部のスペック表記好きの作家さんには、烈風と96式艦戦の大きさの違いを比べてほしいもんです。
あと、最近減りましたが、格納庫を一段減らしたという話はどこから出たんでしょうか。
かなり以前から市販物でみかける資料にも格納庫が二段あることが記されていますよね(私が確認した限りでは、1970年代の雑誌でも格納庫はちゃんと二段と紹介されている)。
そう言う奇妙な点で謎の多い彼女ですが、空母としての完成度は高いと思います。
「改大鳳級」航空母艦
同型艦
雲鳳 就役 1945年1月
沖鳳 就役 1945年8月
要目
基準排水量:31360t
全長:264・50m
全幅:28・1m(飛行甲板最大幅:34・0m)
機関出力:160000馬力 速力:32・0ノット
搭載機:56機+2機(+露天搭載10〜20機)
備砲:10センチ(L60)2×8 16門
飛行甲板装甲:75mm+20mm
(※装甲部分は主要部のみ)
史実で計画された「改大鳳級」航空母艦のプランの一つを数値化しました(このため、一部市販作品とスペックがかぶります)。
「大鳳」との違いは、船体が少しだけ大きくなって、高角砲が増えているぐらいです。
空母にとって最も重要なファクターである搭載機数については、ほとんど変化ありません。
この世界では、日本が実戦を経験する前に計画されるので、このサイズでの建造としました。
規模に関しては、帝国海軍がごく順当な線で建造する「主力空母」といえるでしょう。
ただし、もともとが日本にとって贅沢な設計なので(建造費は物価上昇を考えると一億五千万円ぐらいか?)、この世界の戦争には間に合っていません。
また、戦争に間に合わないので、デッキの左右拡張工事が後付で行われているとします。
飛行甲板最大幅を別に記載したのはそのためです。
本格的なアングルドデッキにはならないし、サイドエレベーターも装備しませんが、航空機の運用効率は大きく上がっているでしょう。
「海鳳級」航空母艦
同型艦
海鳳 就役 1947年3月
神鳳 就役 1948年12月
飛鳳 就役 1949年5月
要目
基準排水量:36000t(飛鳳は42000t)
全長:272・00m
全幅:34・0m(飛行甲板最大幅:46・0m)
機関出力:180000馬力 速力:33・0ノット
搭載機:90機〜80機
備砲:10センチ(L60)2×8 16門
飛行甲板装甲:75mm+20mm
要するに、日本版「アークロイヤル2」です。
もしくは、一回り大きくなった「改大鳳級」航空母艦です。
艦の規模がここにきて大きくなるのは、機体の際限ない大型化、艦載機数が多くないと戦力を維持できないなど、史実でブチ当たった問題に至るからですね。
だから、全長の延長よりも艦の幅を大きく取って、格納庫や飛行甲板の規模拡大に重点を置いています。
このため、「改大鳳級」という名称が相応しくないので、完全な独自クラスとしました。
見た目には、大鳳と言うより艦首をエンクローズ化した信濃に近いと思います。
そして英国同様、この艦を作っている間に終戦とジェット時代の双方を迎えるので、3番艦は建造をずらして航空設備をジェット機に対応させます。
最低でも大胆なアングルドデッキとサイドエレベーター、油圧カタパルトを持った姿で就役しているでしょう。
「越後級」航空母艦
同型艦
越後 就役 1949年11月
播磨 就役 1950年2月
(※2隻建造中)
要目
基準排水量:52000t
全長:298・00m
全幅:36・5m(飛行甲板最大幅:54・0m)
機関出力:180000馬力 速力:32・0ノット
搭載機:120機〜90機
備砲:12・7センチ(L60)2×8 16門
飛行甲板装甲:75mm+20mm
和製「ミッドウェー級」というよりは、「アークロイヤル2」をでっかくしたような空母です。
もしくは、第一次近代改装を終えた「ミッドウェー級」が近いかもしれません。
また艦の規模は、日本の既存施設のちょっとした手直しで建造できるほぼ限界のサイズとなっています。
同クラスは、完全なポスト第二次世界大戦型の空母になるので、単段式の閉鎖型格納庫、カタパルト、アングルドデッキ、新式高射砲など、欧米からも導入した新技術がてんこ盛りです。
上記した技術の全てを史実の延長線上の日本が実現できるかは、様々な点で疑問もありますが、多くは英国からの導入、その後国産化という流れになるでしょう。
(アメリカは新技術はあまりくれない筈)
また、「ミッドウェー級」みたいに戦艦の船体設計流用などという事はなく、「大鳳」から続く新規計画内での純然たる空母になるので、艦としての総合バランスはより高くなります。
しかし、史実の日本の延長なので、「フォレスタル級」のような未来兵器にはなりません。
さすがにそこまで階段を上ることは不可能でしょう。
それが現れるのは、彼女たち以降の事です。
なお、この時代の主力艦こそが空母という意味を込めて、主力艦にしか冠することのなかった旧国名を名前にいただきました。
名前は、架空戦記で最も有名な架空艦よりいただきました。
・巡洋艦
「伊吹級」重巡洋艦
同型艦
伊吹 就役 1943年9月
鞍馬 就役 1943年12月
要目
基準排水量:12200t
全長:198・30m 全幅:19・2m
機関出力:152000馬力 速力:35・0ノット
主砲:20・3センチ(L50)2×5 10門
副砲:10センチ(L65)2×4 8門
搭載機:3機(0機)
舷側装甲:100mm 主甲板装甲:40mm
緊急の軍備拡張計画で計画・建造される巡洋艦になります。
そして、日本海軍が計画する最後の条約型重巡洋艦。
艦そのものは、史実のものとまったく同じです。
もともと、日本帝国海軍の重巡洋艦は、偵察巡洋艦の発展型、つまり重武装の軽巡洋艦がそのまま重巡洋艦に類別されたに過ぎません。
しかも本クラスのタイプシップは、「最上級」二等巡洋艦です。
つまり、8インチ砲を搭載した超軽巡洋艦に過ぎません。
防御力もアメリカのクリーブランド級と大差ありません。
ダメコンを考えればアメリカの軽巡以下でしょう。
本クラスは既存クラスの改良型だけに完成された設計ですが、強力な雷装を持つなど、日本海軍の特徴というより在来型軽巡洋艦の特徴を多分に備えてます。
そして、このようなクラスが限定的な水上戦闘以外でいかに中途半端な能力しか発揮できないかを欧州で思い知るので、このクラスが最後となります。
そして、このあと徹底した近代化改装が施されるか、呆気なく退役することになるでしょう。
「大淀級」二等巡洋艦(その後指揮巡洋艦に改装)
同型艦
大淀 就役 1943年5月
仁淀 就役 1944年1月
要目
基準排水量:8168t
全長:180・00m 全幅:16・6m
機関出力:110000馬力 速力:35・0ノット
主砲:15・5センチ(L60)3×2 6門
副砲:10センチ(L65)2×4 8門
搭載機:6機
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:30mm
改装後
基準排水量:8600t
全長:180・00m 全幅:16・6m
機関出力:110000馬力 速力:34・0ノット
主砲:なし(全廃9
副砲:10センチ(L65)2×6 12門
搭載機:なし
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:30mm
潜水艦のための偵察を行う巡洋艦という変わり種ですね。
このため装備が特殊で、列強の同クラスの巡洋艦と比べると、どうしても見劣りします。
巡洋艦と言うよりは、重武装水上機母艦という方が適当かもしれません。
よくある架空戦記でも、史実同様指揮巡洋艦に改装され色々活躍していますね。
しかも、航空機の発達により出現した本クラスですが、その航空機の前に事前の想定どおりの活動ができるとは思えません。
もしかしたら、ドイツの通商破壊艦のような運用をすれば活躍するかもしれませんが、それにしては贅沢です。
確かに、広い格納庫を司令部施設に当てるしか用途はなさそうです。
ただしこの世界では、船体規模が適当なのでこれ以後誕生する巡洋艦のタイプシップとします。
「阿賀野級」二等巡洋艦(その後防空巡洋艦に改装)
同型艦
阿賀野 就役 1942年5月
能代 就役 1942年8月
矢矧 就役 1943年1月
酒匂 就役 1943年3月
要目
基準排水量:6652t
全長:162・00m 全幅:15・2m
機関出力:100000馬力 速力:35・0ノット
主砲:15・2センチ(L50)2×6 12門
副砲:7・6センチ(L65)2×2 4門
雷装:61cmTT4×2
搭載機:2機
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:20mm
改装後
基準排水量:6850t
全長:162・00m 全幅:15・2m
機関出力:100000馬力 速力:35・0ノット
主砲:10・0センチ(L65)2×4 8門
副砲:4センチ(L56・2)4×8 32門
雷装:なし
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:20mm
就役時は、史実と同じ阿賀野級です。
ただし、建造時期と期間を少し早めにしました。
しかし、戦争に投入されることで、人力装填の古くさい主砲と中途半端すぎた使い勝手の悪い副砲(高角砲)、不必要までに強力な雷装を全て下ろして、全身に新型高角砲、高射機関砲を搭載する事になるでしょう。
帝国海軍の理想と現実の狭間で翻弄されるわけです。
なお、就役から1年ぐらいで大規模な近代改装を行ったとして、排水量から単純に考えると、本来ならアメリカのアトランタクラスに近い火砲が搭載できる筈です。
しかし、まったく違う用途への改装に伴うレイアウトの悪さを考えると、せいぜい8割の能力があれば御の字でしょう。
英ダイドー級にすら劣る戦力価値しか付与できないと思います。
砲塔型の主砲のすげ替えなど、改装の効率を無視しない限りなかなかできるものではなく、苦労して改装する価値のある艦でもないでしょう。
ですが、戦隊旗艦としての装備はもともと充実しているので、さらなる強化を施しつつ機動部隊の水雷戦隊を率いることになります。
昭和25年頃では、それが順当な立ち位置でしょう。
個艦としての戦力価値は問題ではない筈です。
「改阿賀野級」二等巡洋艦
同型艦
淀 就役 1944年9月
桂 就役 1944年10月
雄物 就役 1945年2月
揖斐 就役 1945年11月
要目
基準排水量:8300t
全長:180・00m 全幅:16・6m
機関出力:110000馬力 速力:34・5ノット
主砲:15・5センチ(L60)3×3 9門
副砲:10センチ(L65)2×6 12門
搭載機:なし
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:30mm
史実で計画された、「島風級」を率いるための超高速巡洋艦ではありません。
戦時中の計画になるので、運用効率と建造コストを考え、「大淀級」簡易型の船体を使い建造した、しごくまっとうな二等巡洋艦となります。
だから「改阿賀野級」ではなく、本当は「改大淀級」です。
史実の計画になぞらえるため、名称を「改阿賀野級」としました。
また、同時期に米英でも似たような規模の艦艇が建造され、それなりの活躍を示しているので、この辺りがもっとも妥当な装備といえるでしょう。
もう少し船体の規模を大きくすれば、アメリカの「クリーブランド級」ともタメを張れる能力を得られそうです。
しかし、あんな贅沢な巡洋艦を多数量産するようなお金は日本にはないので、このぐらいの艦を少しばかり建造するに止めました。
軽巡洋艦だった頃の「最上級」の近代化版を建造しないのも、コスト面で贅沢な「最上級」をたくさん作れないからですし、この世界では「最上級」も軽巡洋艦のまま保持されているので、必要性が薄いという理由もありますね。
そして重巡洋艦の代わりとして、機動部隊や水上艦隊など様々な艦隊で重宝される事でしょう。
巡洋艦とは本来そういったものです。
史実日本海軍みたいに、一つの機能に特化したトリッキーな巡洋艦なんて、コスト面からそれに似合うものじゃありません。
「石狩級」二等巡洋艦
同型艦
石狩 就役 1943年11月
黒部 就役 1944年2月
吉野 就役 1944年5月
隅田 就役 1944年6月
空知 就役 1944年12月
天塩 就役 1945年1月
四万十 就役 1945年8月
九頭竜 就役 1946年3月
要目
基準排水量:8600t
全長:180・00m 全幅:16・6m
機関出力:110000馬力 速力:34・0ノット
主砲:10センチ(L65)2×8 16門
副砲:4センチ(L56・2)4×8 32門
搭載機:なし
舷側装甲:60mm 主甲板装甲:30mm
空母の増強、航空脅威の増大、そしてドイツとの戦いが生み出す新世代の巡洋艦です。
戦時急造になるので、規模が適当でフラッシュデッキ型の「大淀級」を簡易化した船体をタイプシップにして、その上に新世代の兵器を満載した艦になります。
この世界の第二次世界大戦中に計画・建造され、早期建造・大量建造が求められるので、既存設計の流用と量産兵器の大量搭載としました。
だからこそ、日本海軍がこの贅沢な艦艇を多数整備する事ができるのです。
価格でいえば、電波兵器、高射砲などを含めると重巡洋艦よりも建造コストがかかる筈です。
1個戦隊で戦艦1隻ぐらいのお値段ですね。
そして、戦時で最も需要の高い巡洋艦なので、最優先で建造されていきます。
また、計画内での立ち位置は、「5500t級」軽巡洋艦の後期型の代艦になります。
そしてこのクラスの建造を終えれば、帝国海軍には、都合18隻の新鋭巡洋艦が揃う事になります。
戦争様々ですね。
もっとも、日本の技術限界から、こいつは戦争の大事な時期に間に合いませんけどね。
「蔵王級」防空巡洋艦
同型艦
蔵王 就役 1946年10月
乗鞍 就役 1947年6月
剣 就役 1948年5月
雲仙 就役 1948年7月
要目
基準排水量:12800t
全長:198・30m 全幅:19・2m
機関出力:152000馬力 速力:35・0ノット
主砲:10センチ(L65)2×12 24門
副砲:4センチ(L56・2)4×12 48門
搭載機:なし
舷側装甲:100mm 主甲板装甲:40mm
「伊吹級」重巡洋艦の設計を流用した、大型の防空専門艦です。
強力なドイツ空軍の脅威に対応すべく、艦隊外周で防空戦闘を行うため1943年度計画で計画・建造されます。
また、戦時計画での建造なので、他艦種の設計流量としました。
しかし、建造中に戦争終結を迎え、その後ゆっくりとしたペースで建造が続けられ、特に後期に就役する2隻は戦訓を踏まえた新装備を導入しての就役となります。
なお、計画内での立ち位置は、「青葉級」「古鷹級」重巡洋艦の代艦になります。
いちおうアメリカの「ウースター級」の対抗馬ともなるでしょう。
おそらくこの辺りで、日本でもようやく近接信管が採用されるぐらいになるでしょうね。




