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帝国海軍育成計画 其の弐 〜戦艦大和ヲ量産セヨ!?〜  作者: 扶桑かつみ


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序説

 さて、史実で日本帝国海軍は、第一~第五次にわたる「海軍補充計画」を計画しました。

 

 その間に日本の軍国化、日支事変、大東亜戦争を迎え、風雲急を告げるようになった第四次計画以降は、緊急軍備拡張計画を挟みつつ拡大します。

 そして大東亞戦争間に計画された第五次「海軍補充計画」に至っては、改訂されたうえに当初の目標とは似てもにつかない戦時計画となりました。

 

 しかも、なし崩しに計画は変更を続け、挙げ句に大日本帝国そのものがアメリカ合衆国を中心にした連合国にコテンパンにのされて滅亡します。

 当然ですが、「海軍補充計画」も志半ばにして計画そのものが、いや帝国海軍そのものの終焉を迎えます。

 

 国家戦略と国防が表裏一体と思えば、何とも無惨な結末といえるでしょう。

 

 では、その「海軍補充計画」とはいかなるものだったのか? なるべく簡単におさらいして見ましょう。

 


 「海軍補充計画」の初期の段階における骨子は、その名の通り海軍軍縮条約(ロンドン会議)の規定内で、できうる最良の海軍の整備を目的としています。

 

 もちろんここでの「最良」とは、当時の日本海軍の視点から見た場合ということになります。

 当然ですが、日本近海(小笠原諸島沖合、後にマリアナ諸島やマーシャル諸島沖合)での艦隊決戦を標榜とした艦隊育成を主眼となります。

 

 そうして誕生したのが、極度に武装(表面的な意味での攻撃力)を重視した艦艇達です。

 彼女たちは見た目の「格好良さ」はともかく、軍艦としては欠陥品です。船としても、奇形児と言って間違いないでしょう(「初春級」駆逐艦の日本艦艇らしからぬ攻撃的でどう猛なスタイルは私も好きです。)。

 

 実際、船体強度の不足やトップヘビーなど、自らの欠陥をさらけだして改装を余儀なくされ、後の世代への反面教師にもなりました。

 

 そんな日本の海軍整備計画は、日本の政治的な軍国化と、海軍休日終了と共にアメリカでも始まった海軍の大拡張に対抗するための法外な計画へと変化、拡大し、最後は大東亜戦争という名の総力戦を何とか戦い抜く為のものに変ってしまいます。

 

 ですが大東亞戦争の発生は、海軍にとっては想定外の状況です。

 本計画は仮想敵、つまりアメリカやイギリスに対して表面上の数字の正面(決戦)戦力で「対抗」するのが目的で、アメリカと「戦争」する事は実際に目的とはしていません。

 

 「戦争」なんて、日本とアメリカの国力の違いを比較すれば無理だというのは誰にでも分かる事でしょう。

 当時の常識として、まともな軍備計画に盛り込まれる可能性はかなり低く、戦争の仮定も「万が一」という前提で想定されている程度でしょう。

 

 そして「万が一」であっても、それは一回こっきりの艦隊決戦によって決着の付く「戦争」しか想定していません。

 それこそが聯合艦隊であり、帝国海軍でした。

 

 少なくとも計画を見る限り、これを否定する要因はほとんど見つかりません。

 基本的に日本政府にとっての聯合艦隊とは、外交上の「見せ金」、貧乏人の精一杯の背伸びということになる筈です。

 

 悲しいですが、これが感情面を排除した現実です。

 

 しょせん戦前の日本は、軍事力の突出しただけの中進国程度の力しかなかったのです。

 軍事的には、湾岸戦争の頃のイラクとさしたる違いはありません。

 

 よって、アメリカとの戦争が発生しては、本来計画の目的から外れていると判断しても問題ない筈です。

 この場合戦争の種類は長期、短期を問いません。

 日米戦になった時点で政治的な敗北と言えるのです。

 


 そこで今回は、史実の1939年以後の混乱する艦隊整備計画は基本的に扱いません。

 できるなら、日本が軍国主義に傾倒するフラグも成立させないようにしたいと考えています。

 

 日本が世界の流れになるべく穏便に乗りつつ「海軍補充計画」が順調に伸展し、「大和級」戦艦とその眷属を中心とした多数の艦艇が誕生した場合の姿を模索するのを目的とします。

 

 当然ですが、史実の計画、想定とは違ったものになる可能性も高くなるでしょう。

 また、この計画を完遂するために必要な前提条件となる、日本帝国そのものの舵取りも同時に見ておきましょう。

 でなければ、史実通り戦争に突入して、帝国海軍の滅亡以外の道が見えてきませんからね。

 

 では、前置きが長くなりましたが、そろそろ始めましょうか。

 


 なお、「海軍補充計画」はほんらい、単に「補充計画」と呼ばれていますが、見栄えがいいので勝手に海軍の文字を入れています。


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