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3話 リリーとの出会い

「なんだこれは……」


 俺は大陸の真ん中にいた。


 周りには木や岩がある。

 ただ、前世と違うのは木も岩も見たことのない大きさ。なんというか全てが規格外に大きい。


 上空には何やら鳥も飛んでいる。

 まさか恐竜とかじゃないだろうな。距離感が分からないがかなりデカイ感じだ。襲われたらひとたまりもないだろう。


 空気も前世と違う独特でなんと言うか濃い感じ……。


 イメージとしては前世の竜時代に似ている。大きいだけで前の世界とそこまで変わらない。


 にしても何もないな……というのがこの世界のはじめの感想だ。


「さて、神様って何をするんだ?」


 そもそも神様が何をしているのかも知らないし考えたこともない。当然だ。俺は今まで普通の人だったんだからな。


 身体も特別なにか変わった様子もない。顔は見えないが姿形はそのままな気がする。前世の記憶も鮮明に残っている。神様が言った通りこれが『器』ってことだろうか。


 唯一違うのが世界を変える程の力を引き継ぐ『器』があるってことか。


「神様も慣れろ? って言ってたけど、なにか特別な力があるってわけじゃないのか?」


 頭に多い浮かべると文字が浮かんでくる。

 文字は神々しく輝きそのエネルギーの力を表しているようだった。


 終焉の炎

 聖光覇剣


 なんだこれ?


 これって魔法的な?スキル的なやつか?

 

 神様が全てを覆す圧倒的な力って言ってたからな。よほどの威力なんだろう。しかし名前的にこれ使っちゃいけないやつだろ?下手にぶっ放したら世界滅びてしまうかもしれない……。


 といっても、なにかを試してみないとどんなものかもわからない。どんやものかも分からないものをいきなり使うのは危な過ぎるからな。


「試してみるか……」


 シンは迷うが使うことを選択する。

 その二つのうち安全そうな一つを選択し空に向かって試す事にした。


聖光覇剣ラグナロク……」


 呟くように唱えてみる。

 すると、手からは眼も開けていれない程のとてつもない光のエネルギーが発生し放出された。


「ちょっちょっと!まじか!?」










  それは神々をも滅ぼす最強の破壊の力……


     ーー《《聖光覇剣ラグナロク》》ーー









ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………。


「ちょっ! おいっ待て待て待てっ!!」


 その光はあっという間に膨れ上がり手では持てないほど強大になっていた。


「ヤバい!」

 

 慌てて手を空にかざす。

 するとそれは凄まじい発光と爆音と共に大気が震え天を斬りさいた。







      カッッッッッ!!!







「熱っつっ!」


シュュュュュゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥウウゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥウウウウウ…………


 空を見ると雲も空間さえも斬りさいている。


 漆黒な空間出来上がり、その空き間からは稲妻のようなものがバチバチと音を立てて走っていた。


「まじかよ……」


 シンは放心状態になっていた。


 神様の言っていた事を思い出す。『それを使って世界を変えるも良し、滅ぼすも良し、自由にやってくれ。全責任は僕がとるから』と。


 その言葉の意味を使ってみて分かった。

 世界を変えると同時に、使い方を間違えたら世界を滅ぼすことになると。


「はぁ……」


 シンはこの力の重みにため息をついた。


「どう考えてももう一つのやつも使えないパターンだな」


 この強大過ぎる力を使ってどうやって世界を変えていけばいいのか全く想像できなかった。


 大気は治る気配はない。まだ稲妻が走り空気はピリついていた。さっきまで飛んでいた大型の鳥らしき生物もいつのまにか姿を消していた。


 そのときシンの視界が突然暗くなり何かが現れた。


「なんだ?!」


 風が荒れ狂い砂煙が竜巻のように舞う。

 とてつもない大きさに目で把握出来ない。そこにはゆうに百メートルは越える大きさの黒竜が舞い降りようとしていた。


「ド、ドラゴンっ!?」


 まじか?!デカすぎる。

 訂正する。全然元の世界と違うわ!

 こんな空想上の生き物が存在するなんて。


「完全に終わった……」


 あまりに早すぎる死…。

 圧倒的な大きさと威圧感。

 死を簡単に創造させるあの空想状の生物が今目の前にいる。転生されて間もないのになんて運が悪いんだ……。


「こうなったら、さっきのでいきなり世界ごと吹き飛ばすしかないのか?」


 なんにしてもこっちに来ての情報が少なすぎて対処の仕方がわからない。フル回転で助かる道を探す。


「ダメだ……見つからない」


 シンは身構え最後の選択をしようとする。

 それは先程の『ラグナロク』をするか『死』か。


 そして迷うところでない。

 神様に頼まれた以上、ここでいきなりは死ぬ訳にはいかない。

 シンは手に力を入れ目の前に降り立った黒龍に手を向ける。

 

「お、お待ち下さいっ!!」


 しかし黒竜は舞い降りると予想に反して頭を地面に下げる。


「私は黒竜のリリーと申します。貴方様はもしや神様で間違いありませんか……?」


「へ? 神様?」


 そうだ。俺は神様になったんだ。

 姿も人間と変わらないし、今さっきなったばかりだから忘れてた。


「そ、そうっ……だけど。神様である!」


 ドラゴンに話しかけられ、また自分が神様ということに驚きアホな返答をしてしまう。


 黒龍は上空の亀裂を見る。


「やはりそうでしたか。しかしこれほど超越した力とは……」


 えっ、すぐ信じるんだ……?

 にしても、こっちの生物は喋れるのか。

 すごいな。完全にファンタジーの世界だ。

 話せるならこれやら戦闘も避けられるかもしれない。


 しかし意外だったのは自分だ。

 この巨大なドラゴンを前にしても思った以上に取り乱したりしない。心が安定してるし向かい合って話すことが出来ている。


 本来だったら間違いなく気絶してるだろうしチビってる。これも神様になった影響だろうな。


「そんなにコレ? すごいのか?」


「はい、すごいとかの問題じゃありません。私たちドラゴンは生物の頂点にいますが、ブレスを吹いてもせいぜい四~五百メートルが吹き飛ぶ位です」


 まじか……。でもそっちのほうが凄いと思うけど。俺のは使い道がない。使ってみて思ったけど、まともにこの能力を使ったらこの世界は終わる。この力は強すぎるみたいだ。となると今後は簡単には使えない。暫く封印決定だな……。


 シンは黒龍とのやり取りをして安心した。

 敵意はを感じ取れなかったからだ。

 シンのスキルの一つには『神眼』がある。


 それは相手のデータを読み取るスキルだ。

 名前、年齢、家族、魔法、スキル、装備、善人、悪人など、ありとあらゆる個人情報を見ることが出来る。


 それが無意識に発動していた。


 そんなことも知らず、シンはこの黒龍がまだ敵か迷っていた。


 こっちの世界でも神という存在があり信仰していうことか。それならこの頭の低さにも辻褄があう。

 じゃなければ三十分もしないうちに、また向こうの神様と再会するところだったよ。危なかった。


「それよりどうしてここに来たんだい?」


「はい。私の力を遥かに越える強い波動がみえたので、まさかと思い来た次第です。私たち黒竜は元々神様にお遣えする竜として神様によって作り出されました。しかし、私たちが作り出されまもなくして神様は何処かへ消えてしまったのです」


 …………。


 神様は、あの神様はだよな。世界を作って別の世界に行ったのか。つまりこのドラゴンは神様の世話係りってことだよな。これで敵って線は完全に消えたな。良かった……。


 ようやくここでこの黒龍が敵という線が消える。


「数千年が経ち、我々の本来の役目が無くなり生きる目的を失った黒龍たちは数を減らしていきました」


「そうだったのか。そうなると、元神がいなくなったからもしかして次に仕えるのは俺ってわけか……」


「はい、私はそのために存在しているのですから」


 なるほど、それでこの頭の低さだったわけか。


 納得出来た。

 だが、仕えるとしてもこのサイズでうろつかれたら目立つしトラブルにも巻き込まれるだろ。

 かといって何も知らない世界で一人旅も辛い。さてどうしたものか……。


 俺は顎を擦りながら少し考えてる。

 龍といえば最強種だ。大概上位種の個体は人形に変身できるのが相場だ。神となった今は何となく分かる。


「もしかしてリリーは人型に変化できるんじゃないか? その姿だと少し怖いんだ……」


「失礼しました。はい出来ます。すぐに変化します」


 慌ててリリーは発光し、やがてどんどん人形になっていく。


 っ!?


「ちょっ……は裸……っ!?」


 そこに現れたのは圧倒的な美少女だった。


 前の黒竜からは想像もつかないほどのとびきり美人だ。スタイルばつぐん黒髪ロング、ほんのり小麦肌、目は赤眼だ。ちなみに胸は……でで……かい……。ゴクリ……、俺は喉を鳴らす。


「はい、ドラゴンはいつも裸ですので」


「それは目のやり場に困る……」


 そのリリーの巨大な二つの『たわわ』に視線は吸い込まれるようにいってしまう。しょうがないだろ。当然、俺は前かがみになってしまう。

 

 その視線に気づいたリリーは恥ずかしそうに身体を少し背ける。


「私もあまりマジマジと見られると……」


「あっ、ごめん」


 何か作り出すようなスキルはないのか?俺は頭に願うと『クリエイト』というスキルが浮かんだ。何でも作れる便利スキルだ。


「リリー、街で服は何とかするからそれまで俺が作る服で我慢してくれるかい?」


「有難き幸せ」


 リリーは素直に頭を下げる。


「クリエイト」


 俺はリリーに似合いそうな服を頭に思い浮かべスキルを使用する。


「おぉっ!」


 シンは思わず声を上げる。

 前の世界では芸能人を入れてもこんな美人は見たこともない。格好はボディコンを彷彿とさせるタイトな服装だ。こだわりのおパンツは白にした。そう、白が至高なんだよ。


「こ、これは……ピチピチで身体に食い込んできますね。特に胸周りが……」


「それが今は流行なんだ」


「そうなのですね! とても身体にフィットして気に入りました」


 リリーは嬉しそうに服を見る。少し罪悪感……。

 俺は咳払いをして誤魔化すように話をする。


「それよりなぜ俺が神様って分かったんだい?」


「シン様を見た瞬間に身体中に電撃が走りました。まるで細胞が踊るような。それで確信したのです、この方が私の運命の方だと!」


「何か細胞に刻まれているのかもしれないな。とりあえず俺は世界を見てまわる旅をしようと思っている。でも俺はたいした事は出来ないし、こっちのことも正直よく分かっていない。むしろ何も知らない。これから知っていこうと思うんだ。旅の目的はそれから決めるつもりだ」


 するとリリーは方膝を地面に着き、まるで騎士のように格好で言う。


「シン様、どうか黒龍の私をお仕えさせて下さい。役に立って見せましょう。そしてこの世界がどのように変わっていくのかシン様と共に見てみたいのです」


 リリーは頭を下げる。


 リリーははこっちの貴重な情報源でもある。それにこんな美女と一緒に歩けるなんて夢みたいだ。今はそだけで一緒にいる理由として十分だ。


 それにこの世界では感情には素直に後悔無く生きようと思う。


「リリー、こちらこそよろしく頼むよ!」


「はい!」


 手を差し出してがっちり握手を交わしリリーを起こす。


 こうしてリリーと旅をすることになった。

次回、カーチス王国へ


 世界の常識を知るため街へ繰り出す。早速そこでトラブルに?

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