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2話 異世界へ

……………………。


………………。


…………。



「はっ!!?」


 バイクで事故ったのだ。


 俺はあわてて身体を見た。

 手もある足もある。身体も大丈夫。

 事故ってない。あれは完全に死んだと思った……。


 ん??!


 周りを見るとそこは真っ白で何も無い空間。

 何も無い上下もわからない永遠と続く空間。

 まさに無の空間にいた。


 まさかこれって……。


『そう、正解だよ。君は死んだんだ』


 気づくと目の前には人らしき人物が立っていた。

 いつの間に?それより今、なんて言った?

 聞き間違えかじゃない。確かに今……


 死んだって……


 確かに助かるスピードじゃなかった。バイク乗りだからわかる。転けた経験だって一度や二度じゃない。何度もある。経験からしてあれは生きていたら奇跡の事故だ。


「つまり事故って死んでここは霊界で、目の前の人は神様ってことになるのか?」


『そう正解だよ。ここは霊界で僕は神様だ』


「やっぱり、そうなのか」


 悔しい……。まだ夢の途中だったのに。


 本来だったら血の気が引くところだけど何も感じない。感情の浮き沈みだってそれほど無い。死んだことを実感する。


『それにしてもびっくりしたよ。君死んじゃうんだもん』


「そうだ、俺は何かを避けて死んだんだ。アレは一体何だったんだろうか?」


『アレはただのぬいぐるみだよ』


「ぬいぐるみかよっ!」


 完全に悪質なトラップじゃねーかよ!

 許せねー!


 あまりに突然過ぎて悲しみも何もない。

 とにかく考えられない。一つ言えることはこれからってときに人生終わってしまった。


「そうですか……これから俺はどうなるのでしょう?」


『意外と君は死んだことをあっさり受け入れるんだね。う~ん、普通は消滅させるんだけどね。でももったいなかったね、本来なら君は世界的に活躍するギターリストになってるはずだったのに』


 まじか、嬉しい反面聞きたくなかった。


 死んでそんなことを聞かされるなんて。せっかく積み上げてきた努力や繋がりも死んだらおしまいだ。俺のやってきたことは全て無駄に終わってしまった。


「くそっ!」


『まぁ死ぬときは皆そんなもんだよ。でも、元の世界ではやり直すことは出来ないけど、違う世界なら転生出来るけどどうかな? そうすれば君の今までの努力も無駄に終わらないかもしれないよ』


「転生?輪廻転生ってことですか?」


『そうそう、その輪廻転生ってこと。場所はこの世界じゃなくて別の異世界になるけどね』


 とりあえず地獄に行くとかじゃないから安心した。


 朝から晩までギター、休みはソロのライブ。

 ずっとギター一筋だったから当然と言えば当然だけど。

 前世ではやりたい事ばかりして、まともに世の中を見てこなかった俺が異世界で常識が通用するのだかろう。


『通用するよ。向こうには人間がいるから。言語も通じる。どうする? 行ってみるかい?』


「正直未練はあります。ですが、異世界でやり直せるならそちらでお願いしたいです」


『へー、君は正直だね。気に入ったよ! それと普通は僕とは話すことは出来ないんだ。死んだら話すどころか残留思念すらほとんど残らないからね。僕と喋れる魂なんてのは一万年に一度位しかいないね。それほど君の魂が濃いってことだよ』


『基本は僕の仕事は、ここに来た魂を消滅させ、新しく生み出して別の世界に送るんだ。だけど君の魂は濃いからその必要がない。特別な『器』がある。』


「そうなのか? 俺はそんな特別な魂だったのか」


『そういうことだね。イレギュラーな存在と言ってもいい。それと君には才能がある。ぬいぐるみを助けて死ぬ位なんだからね』


 素直に喜んで良いのか分からないな…。

 それとちょっとバカにしてない?


『全然バカにしてないよ。逆に褒めてるんだ。他の命を大切にする、助け救ってあげる、これはなかなか異世界でもやれる者は少ないんだよ。そんな君に提案なんだけど、僕の代わりにその異世界で』


『神様やってくれない?』


 んんっ??神様??

 話が分からない、ぶっ飛び過ぎてる。


「と、いいますと……?」


『さっきも言ったように形を保って、なおかつ僕と喋れる事が奇跡に近いんだよ。君は他の者よりも圧倒的に大きい『器』を持っている。記憶や力を引き継ぐ『器』が。だからそのまま別の世界に君を転生させてその世界を任せたいと思うんだけどどうかな?』


 政治家ならまだともかくとしてギター以外に何も無かった俺にそんなこと務まるのだろうか。


「僕にそんな事が出来るでしょうか……?」


『出来るよ。僕はそれを見抜く力を持っているからね』


『それと正直言うと魂の『器』を持っている子が来たときは必ず声をかけるようにしてるんだ。僕はかなり多くの世界を管理しているから管理が追い付かなくてね』


「それはつまり管理が間に合わなくて、ただたんに俺に押し付けたいだけじゃ……」


『ふふふ……それも正解だ。君に任せる世界はいずれ消える運命の世界の一つだよ。だから何かあっても責任も何も無い。生かすも殺すも君次第だよ。どうだい?』


 考えても仕方がない。

 俺は消滅するか転生するか。


 選択肢は1つしかない。


「では、転生でお願いします」


『おけ! そう答えてくれると思ってたよ』


  神様は笑顔で答えた。


『なら君はその世界では『神様』になる。もちろん神様というくらいだ。人とは全く違う色々な力が使えるようになるよ』


『そしてそれは全てを覆す圧倒的な神の力だ』


『それを使って世界を変えるも良し、滅ぼすも良し、自由にやってくれ。全責任は僕がとるから』


「自由にって……、今まで人間だったのに世界を変えるなんて想像もつかないですよ」


『じゃあ、後ろがつかえてるからさっそく飛ばすよ。説明は無しだ。ようは行って慣れろだ』


「え?」


『じゃあ、よろしく~!』


「嘘だろーーっ!」


 神様は手を振りながら視界から消えてた。







 そして俺はまた違う世界にいた。

次回、女黒龍リリーとの出会い


 目の前に黒龍が……。光に包まれると絶世の美女に

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