新世界より。
その日、世界は終わった。なんの前触れもなく、唐突に。
目を覚ますと真っ暗な空間にいた。 しっかりと瞼を開けているはずなのに、何も見えない。
「ここは神の世界だよ」
ふと、目の前に金髪のイケメンが現れた。何も見ていないはずなのに、それが分かったことが、不思議でならない。
「僕は、君が生きていた世界の神で、君はこれから世界を作る、神の見習いだ」
「いや、そんなこと言われても、わけが分からないし」
「でも、いつもの神の妄想通りだろう?」
図星だった。
神はクスリと笑い、僕の頭上に手をかざした。感覚が、そう言っている。
「え……」
いつのまにか、目の前が見えるようになっていて、見たこともない眩しい空間に、視線を奪われる。そして目の前にいる神はやはり金髪のイケメンだった。
「神の世界で人間の感覚神経は基本的に通用しない。第六感は別だが」
思考を読み取ったかのように、神は答えた。
「もう一度言おう。君は、今日から神だ。新たな世界を、君が作り上げるんだ」
この、ゴミのような世界を、作り直せる。
「ちなみに神だから基本的になんでもできるぞ。好きな時に好みの女トレースして抱けるし、人間の食い物も好きなだけコピーできる。それに、気に入らない奴は殺せる」
童貞の僕には、嬉しい報せだった。
「さあ、作れ。気の赴くままに。自分の好きな世界を」
頭に地球を思い浮かべる。そうすることで、地球が出来るそうだ。地球だけじゃない、全て同じ原理だ。
「ところで、なんで僕なんだ?」
最後に、一つ聞きたかった。
「……君が、この世で一番人類を嫌っていたからだよ」
そう答え、神は闇に消えていった。