かんだち 緑の神
『今日はすごい風だなぁ。大雨だし、今回の台風はかなり大きいぞ』
『そうだねーこわいこわーい』
『…おい、妹よ。こーゆー時こそ勉強しなくて大丈夫なのかー?お前一応受験生だろ?ゲームばっかしてないで、30分でもしろよ』
『ちょっとお兄ちゃん!今集中してるの!!』
怒られた。メイドダンジョンを制覇して3日が経った今日の天気は、大雨。おまけに雷もなってきそうな大荒れの天気。こーゆー時は来客も来るはずがないし、妹も勉強すべきだと思うのだが…この様だ。
…って!妹に怒られて引き下がってどうする!俺はこいつの実の兄!!「神様になりたい」とか言っているこの問題児を、助けてあげられる人間が俺以外にいるか!?いや!いない!!ならば!!!
『お兄ちゃん。心の声聞こえてるから』
『…え?それは我が妹よ、どーゆーことだ??』
『だーかーらー、お兄ちゃんが心の中で、いつも中二病みたいなこと言ってるのを、知ってるよってこーと!』
『…いいいいいつから!?』
『えーっとー、ダンジョン攻略した後からかな〜』
…ということは妹と風呂に入った時から?!
おいおい!!"将来の夢以外は完璧"っていうあのクソ恥ずかしい心の声も聞こえてたってことか?!?!
それは大大大大大問題だろ!!!
『だから、うるさいってば!ゲームに集中できない!!』
『優月葉ー、お前受験なめてると、あとでひどい目にあうぞ〜』
『だいじょーぶ!私は神様になるんだから、受験ぐらい楽勝よ!!』
その時、インターホンが鳴った。俺と妹は顔を向けあって「誰だろう?」とアイコンタクトを交わした。
『はーーい!今行きまーす!』
『はじめまして♪緑川楓菜です!よろしくお願いしまーす!!』
俺は思わず扉を閉めた。
身長も胸もあまりなく、髪型は2つ結びでヒラヒラのワンピース。そう!いわばロリっ子だ!!…よし、煩悩は心の奥底に。
『…誰なんだ?あんなに可愛い子。俺の友達にいたっけなー?年齢は妹ぐらいかもしれないし、聞いてみるか』
『優月葉〜!緑川楓奈ちゃんってお前のクラスメイトか誰かかー?』
『知らなーい』
誰かはわからないが、この天気だ。中に入れてあげないのも可哀想だろう。そう思った俺は、楓奈ちゃんを家の中に入れてあげることにした。
『遅いですよー!女の子を外に放っておくなんて、なんていう趣味をしてるんですか!!…でもいいです♪来てくれてるってわかってましたから、お兄さん♡』
『…そ、そうか。とりあえず、中に入れ』
『はーい!お邪魔しまーす!!』
『この子が噂の神崎優月葉ちゃんですかー?ずっと会いたかったんですー!』
これは流石の妹でも、苦手なタイプかな?こいつ、出会って早々やらかしてしまったな。はい、おつおつ。
『はじめまして!神崎優月葉です!楓奈ちゃん??これからよろしくね!!』
『!?』
こ、これはどういうことだ!?
この性格の楓奈ちゃんを我が妹が気に入っただと!?これは全米も驚くほどの大事件じゃないか!!
『『静かに!!』』
『はい、すみません。怒られる意味がわからないんだけどな〜。そもそも喋ってないし、
…って、え?今確かに2人から怒られたよな??…ってことは楓奈ちゃんも神様ってこと?!?!』
『あー、そうですよ〜。わ、た、しー!風の神様なんでーす!!』
ここここここここのロリっ子が神様?!そんなバカなことが…いや、よく考えたら、うちのロリっ子も同じこと言ってるな。なら、あり得る話か。毎日が非現実的すぎて、俺も考え方が変わってしまったな〜ははは
『風の神様ってことは、妹に力を授けに来たんだよね?なら、ごめんな〜。今は枠が余ってないんだ〜』
『じゃーあ!ダンジョン!行きましょう!!』
こうしてまた、ダンジョンに行かなければならなくなったのだ。それに今回は厄介な奴が1人増えた。
『俺の夏休み〜!こんなはずでは〜!!』