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水 新たな世界

『どうしてここに...アクア!お前がここにいるんだよ!!』

『そんなの私の勝手じゃないのかしら?フレア君』

『まぁまぁ!人の家で喧嘩するのはやめてください』

『これは失礼したわね。私の名前はアクア。一応これでも水の神様やってるの。よろしく』


楽しい会話に割り込んできた謎の声の正体は水というよりは氷のような凍てつく雰囲気を放った神様アクアだったのだ。いくら神様だからといえ、人の家に勝手に上がっている時点で問題だらけなのだが、俺はアクアのような女性も嫌いではない。顔は大学生ぐらいの大人の雰囲気をもった感じで、身長もそこそこありスタイルもいい。だが性格が...しかしこんなケースはよくある事で「可愛いは正義だ!」とか言っている奴らにとってはなんの問題でもないのだろう。


『それはそうとアクアさん?もしかしてあなたもあのおばあさんからL○NEが入ってきて神崎家に?』

『能力は無いくせにただの人間にしては感が鋭いのね。それとアクアで構わないわ』

『それ、褒めてるんだよね!?...っていうか一言余分なんだよ!!』


『それはさておいてアクア。お前もフレアと同じ理由で来たなら俺の妹に力を授けに来たんだろ?だったら、そろそろ晩ご飯の時間だしさっさと教えてやってくれよ』

『何を急いでるのかしら?今日はここでご飯を食べることになっているのよ?あんたそんなこともわからないの?』

『だから一言多いんだよ!...って俺の母さんには言ったのかよ』

俺たちがいるリビングに隣接するキッチンを見ると、両手いっぱいに丸のポーズをしたフリフリのエプロンをつけた母がこっちに合図を送っていた。こんな話を俺とアクアがしている間、問題の妹とその問題の友達は2人揃って手から炎をだして喜んでいたのだった。一時間ほど前にフレアの言っていた勝てないアイツとは恐らくアクアのことだったのだろう。現実的に水と火では相性は悪いし、何よりもあのどんなやつにでもフレンドリーそうなフレアが一切絡もうとしないところからもお察し可能と言ったところだろう。


『『『『『ごちそうさまでした!』』』』』

『みんなで食べる食事はいいわね〜!私も作り甲斐があるから嬉しいわ!』

母は料理好きで人に食べてもらうことがとても嬉しいらしい。食事という団らんの中でもフレアとアクアは一切話すことはなかった。喧嘩中のカップルのようだ。

『『誰がカップルだ!こいつと付き合うくらいなら神なんて辞めてやる!!』』

そうだった。心の声が神様にはどうやら伝わってしまうようなのだった。だが、こういうタイミングで話す言葉が被ったり妙に強く否定してくるやつらほど実はどちらかが相手のことを"好きなんです"っていうことはありがちなことである。

『そんなことより、アクア。飯も食ったんだし妹にその水の力を伝授してやってくれよ』

『そうね、そろそろ花火が始まるしさっさと終わらせるわ』

『ここ来た理由ほんとはなんなんだよ。アクアのやつ、ここに来てから人のことディスって、飯食べて、特に神様らしいことなにもしてないじゃねーか』

『消すわよ』

相変わらずの性格と凍てつく雰囲気が俺の口を黙らせた。


『次は水の力ね!どんな事ができるようになるの?』

妹がキラキラした視線をアクアに向けて問いかけた。

『そこにいるバカを鎮火してあげることができるようになるわよ』

『誰がバカだ!』

『ろくでもない力を授ける気なんだなぁ!おい!!』

『さぁ、あんた。利き手をだして』

妹は毎度のように右手を差し出した。

『...?』

『どうしたんだよ、アクア』

『どうやら私の力をコピーする枠が足りないようね』

『それってどういうことなの?』

『簡単に説明すれば、上限をあげないといけないのよ。この世界のどこかに隠されたダンジョンを攻略してね』

『それって冒険ってことか?...ってかそもそも今お前、「どこかに隠されたダンジョン」って言ったよな?...っことは探さないといけないのか?』

『異世界ゲームじゃないしそんな冒険っていうほどのものでもないわ。それにダンジョンは世間の人にはあまり知られてないだけでGoggleで調べたら一発で出てくるはずよ』

『あのー...それ全然隠されてないような気がするんですけど...』

『と、に、か、く!それ楽しいんだよね!じゃあ行こうよ!明日!!』

『『『明日ー!??』』』

こうして俺たちの非日常が本格的に幕を開けたのかもしれないのであった。



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