風を感じて
妹が風の力を手に入れるために、能力の器が必要になった俺たちは、また新しいダンジョンに行くことになった。
一緒にいくメンバーは、問題児の優月葉。ロリっ子の楓奈。情熱のフレア。鎮火系女子のアクア。そして俺の合計5人だ。
『…で、今日はなんで私たちを集めたわけ?』
『ふっ、よくぞ聞いてくれた!お前たちに集まってもらったのは他でもない!ここにいる問題児の我が妹が、この!ロリっ子の風の力を手に入れるために器が必要だからだ!!』
『なんかわかんねぇけどー、とりあえずダンジョンに行くっていうことだよな?』
『まぁ!そーゆーことだ!』
『…あ!』
『何よ、いきなり』
『この子の紹介まだだった…』
『別にいいわよ。同じ神様だし、知ってるから』
『あ、そっか〜。たしかに……もとい!次に行くダンジョンを決める!!』
この後俺たちは、次に行くダンジョンをどこにするか、Goggle先生で難易度をを調べて決定した。
『よぉーし!じゃあ次に行くダンジョンはフランスのシャンボール城で決定!!』
『わー!フランスだ〜!!エッフェル塔ってどれくらい大きいのかな〜?優月葉ちゃん!!』
『そーだねー!どれぐらい大きいんだろうね〜!!』
相変わらず、妹と楓奈はお気楽だ。楓奈はともかく、妹は最もこの件に関わっているというのに…
『とりあえず!明日はフランスへ朝一で出発だ。今日はみんな早く寝るように。』
『『はーい!!』』
『そんなこと言われなくても、早く寝るに決まってるでしょ?これだから、雄也は…』
『…一言多いんだよ、お前は!』
そーいえば、アクアが俺のことを名前で呼んでくれたのは初めてだな。
『なに、笑ってるのよ』
『いーや!なんでもないぞ!』
『気持ち悪いわよ』
次の日、俺たちは4時に起き、タクシーで空港へと向かった。
いくら優月葉と楓奈が小さいからとはいえ、やばり運転手含め6人で乗る車内はとても窮屈だった。
『よーし!持ち物検査をクリアしたらこれで乗れるぞ!!』
順調に4人がクリアして、最後にフレア。大丈夫だろうと思ったその時…ブーーーーーーー!!!!!
『なんでお前は、ガッツリ金属のベルトをつけて平気で通れるんだよ!普通それは外すだろうがぁぁ!!』
『いや〜、わりーわりー忘れてたわぁ』
『まったく、フレア君はどこまでもバカね』
『言ったな!?』
『言ったわよ』
『まぁまぁ、ケンカはやめて!ここ空港なんだから』
なんとかおさまったようだ。本当に仲の悪いこと。「ケンカするほど仲がいい」とか言うけれども、これを見ていると果たして本当にその言葉は正しいのか疑いたくなってしまう。
その後俺たちは、無事飛行機に搭乗することができ、フランスへ向かうことになった。
予約制のダンジョンなため、遅れることは許されない。
飛行機が飛び立った瞬間、俺は安心したのだった。
そして……
『『ついたー!フランス!!イェーイ!!!』』
『あなた達、ほんと元気ね』
『さすがの俺でも、こいつらにはついていけないぜ』
飛行機の中で爆睡していた妹と楓奈は、起きた瞬間からこのテンション。
若さとは何かを痛感する瞬間だった。
パリ・シャルル・ド・ゴール空港から外に出ると、そこにはワゴン車の運転席から顔を出したダンジョンの管理人こと、母が待っていた。
『はーい!じゃあ行くわよ〜!!』
母はそういうと、俺たちを後部座席に乗せてシャンボール城へと車を爆走させた。
ワゴン車のだけあって、タクシーとは大違いの快適具合だった。
空港から車を進めて2時間。俺たちはついに、2つ目のダンジョン。シャンボール城へ到着した。
『ここはシャンボール城。通称、騎士のダンジョンというところよ。みんな、気をつけて行ってるのよ〜』
こうして俺たちはシャンボール城へと入場したのだった。
『すみませーん!誰かいませんかー??』
『Qui est-ce?』
優月葉の質問に答えたのは、銀色の鎧を着た三つ編みの女の子だった。しかし…なんて言っているか分からない。
『私に任せてくださーい!ここに流れる空気を変えちゃいまーす!!』
『楓奈、何のためにそーするんだよ』
『まぁまぁ〜お兄さん♪見ててくださーい!』
すると楓奈はやまびこをするときのようなポーズをとり、ふーっと息を出した。
『あのー、あなたたちは何の御用で?』
さっきの騎士の女の子の声が日本語に聞こえた。
どうやら、何かしらの方法で楓奈がフランス語を日本語に変えてしまったようだ。
『あぁ、すみません。予約していた神崎ですがー?』
『神崎様でいらっしゃりましたか。ではこちらへどうぞ。』
年齢は18歳くらいに見えるが随分と落ち着いている。うちのパーティーにいるフレアも同じ18歳だが、まるで月とスッポンだ。
俺たちはこの後、王の間へ通してもらった。
そこには騎士が5人スタンバイしており、ゲートは既に完成していた。
『それではお気をつけて。神の御加護があらんことを』
ダンジョンに入ると、そこは深い霧の中だった。
『全く前が見えないよ〜!』
『確かにすぐ先も見えないくらいだな〜』
『霧なんて水なのだから、炎でなんとかならないのかしら、フレア君』
『バカヤロウ!こんな凄い霧を炎なんかでなんとかなんてできねーよ!!』
『だから、2人とも!!ケンカするなって』
『お兄さん♪ わ、た、し、にー!任せてくだい!』
その直後、ものすごい突風が吹き上がりあっという間に霧は晴れたのだった。
『ここは〜、町かしら??』
『見たところ、城があるし日本でいう、城下町といったところだろうな』
『でも、人気は全くないよねー!それどころか〜灯りもほとんどないよ!』
このダンジョンでは俺たちにどんなことが待っているのか。つづく!!